ゲーム感想「きゃんきゃんバニー・プルミエール2」(カクテルソフト/1996年/Windows)

39版 きゃんバニプルミエール2

 カクテルソフトの名作恋愛ゲーム「きゃんきゃんバニー・プルミエール」「同エクストラ」の続編。

バッグラウンド

 カクテルソフトの恋愛ゲーム「きゃんきゃんバニー・プルミエール」(1994年)・「きゃんきゃんバニー・エクストラ」(1995年)の続編ですが、パソコン版とゲーム機「セガサターン」版が同時に作成されるという異色の作品でした。

データ

・タイトル =きゃんきゃんバニー・プルミエール2
・メーカー =カクテルソフト
・機種   =Windows
・発売日  =1996年12月26日(木)
・価格   =8,800円
・ジャンル =恋愛体験しみゅれーしょんADV(メーカーの表現)
・必要容量 =約40MB
・音声   =有り
・プレイ時間=初回=4時間30分 合計=10時間40分
・プレイ環境 PIII−450Mhz+128MB

プロローグ

 主人公「(変更可能)」は、ある日突如空から落ちてきた巨大な卵を拾い、さらにそれを追いかけてきたスワティ達七福神と再会も果たすことになります。スワティ達によれば、落ちてきたのは「神様の卵」なのですが、既に主人公と縁が出来てしまったため、天界へ持って帰ることが出来ず、10日後に生まれるまで地上に置いて居なければなりません。

 しかし、その縁がある主人公が業を背負っていれば、生まれてくるのは貧乏神か、もっと悪いものになるかも・・・・、という事で、主人公は業を消すべく周りの人を幸せにするため、ナンパにいそしむことになるのでした。

ゲームシステム

<概要>
 ゲームのジャンルは「F&C系恋愛ゲーム」の典型で、軽い主人公が女の子をナンパしまくる、例によって例のタイプ、お手軽アドベンチャー型です。

 雰囲気は、当然ながら「明るくてお調子物の主人公」が出てくる軽〜い物なので、肩が凝らずに楽しめます。

<流れ>
 ゲームの期間は、卵が生まれるまでの10日間で、一日単位で進行します。

 基本システムは、「時間経過・場所移動」型で、主人公が住む街を舞台に、朝の11時から夜6時まで15分刻みで活動します。キャラとの会話シーンは、コマンド選択(三択)と画面クリックの併用となっています。

 10日目終了時点で、ヒロイン6人のうちどれだけを幸せに出来たかでエンディングが決定します。種類は「バッド」(0人)、「ノーマル」(1〜2人)、「ハッピー」(3人以上)で、ハッピーエンドのみ、真のエンディングと各ヒロインの後日譚を見ることが出来ます。残念ながら個々のヒロイン毎のエンドは有りません。

<操作性>
 セガサターン版との共通設計だったからか、どうも使いにくかったです。コマンドは画面下に隠れていて、カーソルを持って行かないと姿を出さないし、また画面の下の方の物をクリックしようとしたら使いたくもないコマンドが出てしまって、等、扱いにくかったですね。

 また、会話シーンはコマンド選択と画面クリックの併用なのですが、唐突に変なところをクリックしないと話が進まない、という事も有り、結構ゲンナリしました。

 あと、各ヒロインの好感度は文字表示&音声併用なのですが、声を飛ばせないので、6人分まとめて確認するときにはうっとうしくて仕方無かったです。

CG

 原画はメインが「みつみ美里」さん、サブが「CHARM」氏と、数年後には業界屈指と称えられるようなコンビです。しかし「CGの綺麗さがウリのF&C作品」にも関わらず、この作品の絵はもうひとつという印象ですね。ほぼ同時に発売されたセガサターン版とかねあいから、敢えて「セル画っぽい雰囲気」にしたそうですが、そのためかいつもの塗りの美しさが感じられませんでした。また、その影響か、みつみさんの絵も、マニュアルでは凄く良いのに、ゲームの原画では魅力が20%減という感じでした。

 あと、時折全く無意味と思えるタイミングでムービーが挿入されますが、サイズが小さい・絵が汚い・キャラが似てない、と散々な代物でした。トホホ。

音楽

 特に印象無し。

音声

 F&C作品の声優陣の歴史ははここから始まった、というこの作品ですが、後の作品でおなじみの面々が既に集結しています。昔から声に関しては安心出来るブランドですね。

総合感想

 評価(10点評価で)=5点(話はともかく、システムがキツすぎ)

 カクテルソフトの名作恋愛物「きゃんきゃんバニー」シリーズは、パソコン版では「プルミエール」「エクストラ」のセットで一つの世界を作っていて「エクストラ」で感動的に完結しているため、後から歴史を変更する形でこの「プルミエール2」が発売されたので、あまり良いイメージを持っていなかったのですが・・・・

 うーん、まあ「プルミエール/エクストラ」という先輩陣には敵わないものの、【ストーリーは】そこそこ健闘していたのでは無いでしょうか。今まで抱いていたマイナスイメージを結構修正する仕上りでした。もっとも「ゲーム全体」として見ると、かなりキツい評価なのですけど・・・・・

 まず辛くなる点の筆頭が難易度です。先輩の「プルミエール」「エクストラ」は難易度の低さがウリの一つでしたが、「プルミエール2」ははっきり言ってかなり難しいですね。

 そもそも「時間経過・場所移動システム」採用、という時点で顔をしかめたくなりますが、さらにこのゲームは「ワンプレイで、ヒロイン6人中3人以上を同時に幸せにしないと、まともなエンディング(各ヒロイン&スワティ達の後日譚)が見れない」というキツい仕様になっています。

 一人一人を攻略していくだけでも結構面倒くさいのに、さらに3人一組での攻略スケジュールを組む事を考えると、げんなりしてしまうのは私だけでしょうか? そんな訳で私は先人が作成した「6人同時攻略チャート」を片手にプレイしましたが、そんな手引が無かりせば、そもそもクリアする気持ちになっていたかどうか疑問です。なんでこんな意地悪な作りにしてしまったんでしょうね?

 また、個々のヒロインのシナリオの選択肢も、ちょっと引っかけ的な物も見受けられ、やはり難しげでした。

 もっともシナリオの雰囲気そのものは、先輩「プルミエール」「エクストラ」の流れを汲む物で、まずまず楽しませてもらいました。全体のコミカルなノリは今までの作品と同じでしたし、各ヒロインのシナリオも、逸品とは呼べずともそこそこ良かったし、ハッピーエンドで見られるスタッフロール後のグランドフィナーレ(と言うべき物)も結構評価できました。

 まあ、それだけに、クリア条件のキツさが残念ですね。先輩達の様に、もっと楽にクリアできるゲームであれば、評価も高まったでしょうに。

 という事で、お話はまあまあなのですが、「3人以上同時にクリアしないと駄目」という仕様は、物語の設定上必要だとしても、大変過ぎた気がします(この厳しさはシリーズ1〜3作目までのシビアさを彷彿とさせますね)。

 せっかく、スワティ&サワディ夢の競演というネタも有ったのに、先輩達の様な「プレイして楽しいゲーム」にはなっていなかったのが残念でした。