感想:小説「ディーン牧師の事件簿」(2011年)(ハル・ホワイト)


 小説「ディーン牧師の事件簿」(2011年)(ハル・ホワイト)の感想です。

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■データ(公式)
http://www.amazon.co.jp/dp/4488220037/
ディーン牧師の事件簿 (創元推理文庫) [文庫]
ハル・ホワイト (著), 高橋 まり子 (翻訳)
文庫: 362ページ
出版社: 東京創元社 (2011/1/8)
ISBN-10: 4488220037
ISBN-13: 978-4488220037
発売日: 2011/1/8

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■データ(個人的補足)

 推理小説。引退した元牧師のディーンが、素人探偵となって不可能犯罪を解決する短編集。<収録作品>
01 足跡のない連続殺人(Murder at an Island Mansion)
02 四階から消えた狙撃者(Murder from the Fourth Floor)
03 不吉なカリブ海クルーズ(Murder on a Caribbean Cruise)
04 正餐式(せいさんしき)の予告殺人(Murder at the Lord's Table)
05 血の気の多い密室(Murder in a Sealed Loft)
06 ガレージ密室の謎(Murder at a Fall Festival)

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■あらすじ

 主人公サディアス・ディーンは、80歳になったことをきっかけに引退した元牧師です。ディーンは一見穏やかで平凡な老人ですが、実は切れる頭を持っており、知り合いの刑事(50歳以上年下)に頼まれて事件解決に知恵を貸したり、偶然遭遇した事件の謎解きをしたりします。本書は、そのディーンが「人間消失」「密室」等の不可能犯罪に挑む作品集です。


01 足跡のない連続殺人(Murder at an Island Mansion)

 ディーンは、知り合いから身内の不審な死について相談を受ける。被害者は砂浜で殺されていたが、周辺には犯人の足跡が残っていなかった。さらに次々と殺人が発生し、しかも、いずれも有るべき犯人の足跡が見付からなかった・・・


02 四階から消えた狙撃者(Murder from the Fourth Floor)

 ディーンの目の前で知人がビルの四階から狙撃される。しかも、犯人が潜んでいるはずの部屋には、人の出入りが無いにもかかわらず誰もいなかった。犯人は何処からどうやって逃走したのか?


03 不吉なカリブ海クルーズ(Murder on a Caribbean Cruise)

 ディーンは知人の好意でカリブ海クルーズの旅を楽しむが、船内で知り合った人間が自殺してしまう。ディーンはすぐさま自殺ではなく偽装した殺人だと見抜くが、部屋は内側から鍵がかかっていて・・・


04 正餐式(せいさんしき)の予告殺人(Murder at the Lord's Table)

 ディーンは友人の牧師から、礼拝中に「天使」や「キリスト」が現われ彼に警告を与えている、という奇怪な話を聞かされる。ディーンは悪戯だと考えるが、日曜の正餐式の最中友人が殺害され・・・


05 血の気の多い密室(Murder in a Sealed Loft)

 ディーンは友人のマーク刑事から「密室殺人」について知恵を貸してくれるように頼まれる。何重にも鍵のかかった部屋の中で人が殺され、誰がどうやって殺したのか見当も付かないというのだが・・・


06 ガレージ密室の謎(Murder at a Fall Festival)

 ディーンは収穫祭のボランティアに参加中、殺人事件に巻き込まれる。ガレージの中で男が死んでしたが、推定死亡時刻には誰一人としてガレージに近寄ったものはいなかった・・・


■感想

 作者のデビュー作。作者はディクスン・カー他の古典的推理物のファンだそうで、この本は2008年に刊行されていますが、実にクラシックな雰囲気です。ディーンがパソコンでインターネットのサイトにアクセスするくだりに「ええっ」と思わせるくらいで、1960年代が舞台と言われても通用しそうです。しかし、それだけに、古典的な正統派謎解きが好きな人にはグッとくるのではないでしょうか。

 各作品は、トリック自体はそんなに凄いものでは有りませんし、やや話がもたもたした冗長な感じもつきまといますが、それなりに出来はよく、読後感は良好でした。何も情報無しに、タイトルだけで買ったにしては当たりでしたね。

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■評価

(5段階評価の)4点。