【小説】バカ推理小説「更新世の殺人」がバカすぎる(小林泰三/「大きな森の小さな密室」創元推理文庫)

大きな森の小さな密室 (創元推理文庫)

●大きな森の小さな密室 - 小林泰三東京創元社
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488420116
初版:2011年10月21日
ISBN:978-4-488-42011-6

会社の書類を届けにきただけなのに。森の奥深くの別荘で幸子が巻き込まれたのは密室殺人だった。閉ざされた扉の奥で無惨に殺された別荘の主人、それぞれ被害者とトラブルを抱えた、一癖も二癖もある六人の客……表題作をはじめ、死亡推定時期は百五十万年前! 抱腹絶倒の「更新世の殺人」など七編を収録。ミステリお馴染みの「お題」を一筋縄ではいかない探偵たちが解く連作集。解説=福井健太
(単行本版タイトル『モザイク事件帳』を文庫化・改題)

 何の気なしに手にとってみたのですが、一番変そうで興味のあった「更新世の殺人」を読んでみて、その酷さに悶絶。

 ジャンルに最初から「バカミス」と書いてあるのですが、展開がもう…、主人公は名探偵「超限探偵Σ」の友人「わたし」。Σのところに知人の警部がまたしても難事件を持ち込んできた。遺跡の発掘現場で若い女性の遺体が発見されたが、その遺跡は150万年前、更新世のものだった。つまり殺人は150万年前に行なわれた事になる。何故150万年前に殺された死体が、まるで昨日殺されたみたいに新鮮なのだろうか!? 

 …、ハイ、ここで読者は100%突っ込みますよね? しかし世界屈指の名探偵「Σ」も「わたし」も「警部」も、「一体何故こんな事が…」と困惑しながら捜査するのです…、ちなみに結末はぐるっとひねったすんごいところに着地しますので心の準備をよろしく。

 あと、遺跡で次から次から新発見する「ゴッドハンド」が出たのにはクソ笑った。あの騒動の事を覚えているとさらに楽しいです。