感想:ウォーゲーム同人誌「SLGamer vol.6」『特集:EAST FRONT 1941-1943』(2012年5月発売)

 『初心者向けSLG専門誌』を謳う同人誌(発行元:さいたまオンライン)の紹介・感想です。

■さいたまゲームサークル
http://www4.atword.jp/saitamagame/

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□付録ゲーム

(1)モスクワ大決戦

>1941年10月…ソビエトへ侵攻したドイツ軍は計画から遅延するものの、モスクワ攻略作戦「タイフーン」を発動する。
>モスクワへと進撃を開始したドイツ軍は、泥濘と強力なソ連軍と戦うこととなる。さらにナポレオンをも退けた「冬将軍」が時限爆弾のように近づいていたのである。
>果たして、ドイツ軍はモスクワを攻略することができるのか?
>【ゲームデザイン】天津老師


(2)ハリコフ攻防戦

>1943年1月…スターリングラードで完全包囲下におかれた第6軍が降服し、ドイツ軍の南部戦線は崩壊の危機に直面した。
ソ連軍の攻勢はドイツ軍を飲み込もうとしていた。南部の要地「ハリコフ市」を巡り独ソ両軍の攻防戦が展開される。
>「マンシュタインの後手からの一撃」と評された第3次ハリコフ戦をシミュレートした簡単な入門用ゲームです。
>【ゲームデザイン】天津老師


 上記のゲームはどちらもマップサイズはB5で、両方セットにしてB4サイズの紙一枚に収める形となっています。マップサイズがこれより小さいのは、コマンドマガジンの付録のハガキサイズマップくらいでしょう。ルールも僅か2ページととっつきやすくなっております。あとはこれでユニットが打ち抜きならなぁ…(凄い贅沢な注文)。

 なお、ハリコフ攻防戦にはエラッタが出ています→(http://www4.atword.jp/saitamagame/2012/05/15/%E3%83%8F%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%95%E6%94%BB%E9%98%B2%E6%88%A6%E3%81%AE%E3%82%A8%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%BF1/



(3)Androidアプリ:東方への進撃

>1941年6月〜1942年12月までの東部戦線全体を扱った1人用ゲームです。
>プレイヤーはドイツ軍を担当し、ソ連軍の防御線を突破して重要都市であるモスクワ、レニングラードスターリングラードの占領を目指します。
>本ゲームはAndroid2.2以上で動作するアプリケーションです。
>(※本誌に記載しているQRコードからダウンロードが必要です)
>【ゲームデザイン】KOSE(AlphaStrike)
>【動作環境】Android2.2以上


 意表をつく付録です。ボードのウォーゲーム雑誌でコンピューターゲームが「付録」になるとは… 雑誌についているコードを読ませるとゲームがDLできるそうで、大昔なら「CD-ROM」で提供されていたよなぁ…、としみじみです。時代は変わった…(遠い目)。

 それにしてもアンドロイド端末版のガチなウォーゲームとは、「サイフォン」がやろうとしていることを同人が先にやってしまいました…、あいにくアンドロイドのスマートフォンタブレットももってないのでした…(落涙)。


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□特集:EAST FRONT 1941-1943

・リプレイ「ハリコフ攻防戦」+戦史
・リプレイ「モスクワ大決戦」+戦史
・東部戦線ゲーム紹介(モスクワ電撃戦、他)
・ゲーム「東方への進撃」ルール

 オーソドックスな作り。やはり東部戦線ネタだと食い入るように読んでしまいますねぇ。

 なお、P11で都市名の「クルスク」が全部「クル<クス>」になっている…、読んでいるうちに「あれ、本当はクルクスだっけ? 今まで間違って覚えていたのか?」とか軽く悩みました


□その他

・シミュレーションウォーゲームにおけるカードシステムの相性

 カードドリブンシステムの解説かな?と思いきや、まず最初に取り上げられているのがアバロンヒルの西部劇モノ「真昼の決闘」(ガンスリンガー)というチョイスに驚かされます。以後、戦国大名、銀河革命、アップフロント、トワイライトストラグル、と、かなり幅広く扱っていて、なかなか読みがいが有りました。


 その他には
・世界のユニット列伝 第9回(※) 第三帝国:武装親衛隊(※6回目では?)
・歴史の散歩道 星条旗日本兵
・アニメの中の戦争 大砲とスタンプ
・歴史を支えた兵器たち Midium Tank T-34
・ゲームレビュー(Race to Tokyo、ソリティア太平洋戦争)

などなど。


□次回予告

 No.7(2012年11月発売予定)は「源平合戦〜終焉と始まり〜」。

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 ゲームジャーナルとかコマンドマガジンとかの本格派雑誌もいいですが、こういう初心者向けに徹した物も頑張って欲しいところです。21世紀版の「ドイツ戦車軍団」とか「日本機動部隊」的な、ビギナーを導く入り口であってほしいですね。