紹介:新作ゲームブック(同人誌)「ゾンビの血」(イアン・リビングストン)第一報

Blood of the Zombies (Fighting Fantasy)

■ゾンビの血
http://gamedouzin.yukihotaru.com/bloodofthezombies.html

2012年に刊行30周年を迎えたファイティングファンタジーゲームブック。それを記念してイアン・リビングストン、彼が帰って来た! 創業者コンビの一人リビングストンがこの記念すべき節目の年に用意した舞台は現代の地球、そして戦う相手はゾンビの群れだ。現代版ゾンビ物というこれまでのFF作品になかった設定と敵、それに新たな戦闘ルールを引っ下げて、シリーズ30周年記念作が日本のファンの前にそのベールを脱ぐ。君は生き残れるか?

 
 1980年代に一世を風靡し、そしてあえなく消え去ったホビー「ゲームブック」。その時代を知る人ならばイアン・リビングストンの名前にはピクッと来るものがあると思います。リビングストンはここ二十年ばかりはコンピューターゲーム業界で仕事をしているようなのですが、FF(もちろん“ファイティングファンタジー”)誕生30周年のため、何十年ぶりかで新作を書いてくれたのです。それがこの「ゾンビの血(Blood of the Zombies)」。リビングストンはもちろんコンピューターゲームでのゾンビ物の人気を知っており、初めて現代を舞台にした作品を書いてくれました。「リビングストンの新作!」。これだけでやる価値があると思いませんか? ゲームブック翻訳で有名な同人サークル「社会思想新社」がこの春翻訳版を出してくれましたので、これはプレイしないとね!

 ちなみに、リビングストンは「40周年記念にはスティーブ・ジャクソンと合作で火吹き山の新作を書きたいぜ」とか書いてました。リップサービスだとしてもなんか嬉しいですね。
 
 
■あらすじ

 君は大学の休暇を利用して、神話や伝説の中の怪物が実在していた証拠を見つけようと、ヨーロッパ各地を旅したが、全く成果はなかった。そして君は吸血鬼で有名なトランシルバニアで、謎の男たちに誘拐され、古城の地下牢に幽閉されてしまったのだ。古城の主だというギングリッチ・ユールとは何者で、君をどうするつもりなのだろうか? 君はこの地下牢から脱出することはできるだろうか? さあ、ページをめくりたまえ。

 的ストーリーです。パラグラフ数はお馴染み400個です。
  
 
■第一印象

 現代を舞台にしたホラー物というのは、実のところジャクソンの「恐怖の館」があるので、二番煎じとは言わないものの「うわー、斬新!」という気はしません。が、それでもストレートなゾンビ退治物というのはなんか今までとノリが違ってドキドキするものがあります。今までのFFの敵と異なり、ゾンビは体力点は一点ですが、数で押し捲ってくる、という戦闘スタイルのようです。

 軽く10分ほど読んでみましたが、主人公はまず惨めな地下牢の虜囚という立場から脱出しなければならず、ヒーロー物のノリではありません。今後古城内を探検しながら、ギングリッチ・ユールとやらについて調べて周り、またゾンビの襲撃に対処しないといけないのでしょう。

 しかしまあ、久々に「めっちゃやりたいゲームブック」に出会いましたよ。