感想:NHK番組「阿部寛の 宇宙への挑戦」(2013年8月17日(土)放送)


 NHK番組「阿部寛の 宇宙への挑戦」の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

阿部寛の 宇宙への挑戦 | NHK宇宙チャンネル
http://www.nhk.or.jp/space/info/challenge.html

 衛星放送・NHK BSプレミアムでの視聴です。(放送日:2013年8月17日(土) 21:00〜23:00)。


■概要

>テレビが伝えた世紀の瞬間! 世界を変えた衝撃の宇宙映像!!

>6億人の人がテレビにかぶりついたアポロ11号の月面着陸の瞬間。火星人の夢を打ち砕いた探査機バイキングが撮影した火星の赤い大地。テレビは、いつも私たち人類の"宇宙への挑戦"を伝えてきました。

>テレビ放送がスタートした60年前は、ちょうど宇宙開発の黎明期。時には生命をもかけて宇宙へ挑んできた人類の激動のドラマの一部始終をテレビは克明に記録してきたのです。こうして得られた宇宙の映像は、人々の常識を覆し、世界を変えるものでした。月から撮影された宇宙に浮かぶ青い地球「アースライズ」は、地球はひとつという新たな地球観を生み出しました。

>そして今、この瞬間も、宇宙ステーションや、火星探査機「キュリオシティ」が、新たな映像を撮影し続けています。ほんの百年前までは想像さえできなかった、宇宙の驚きに満ちた素顔。人類の叡智と情熱が結集した、珠玉の映像の数々をめぐる、2時間の大冒険にお連れします!


>ナビゲーター 阿部寛

>5歳でアポロの月面着陸を目撃。人類の"宇宙への挑戦"を、常に同時代で体感してきた阿部寛さんが、宇宙開発を彩る映像の数々を情熱的に伝えます。


■内容

 阿部寛がナビゲーターとなり、「ガリレオの時代から現代まで400年間の天文関係の映像記録が収められた場所」を舞台に、様々な映像を取り出して披露する、という展開。扱われたのは以下のテーマ。


1 スプートニク1号打ち上げからアポロの月着陸
・米ソの有人宇宙飛行&月到達の開発競争
地球は青かった、というけど写真撮影はなし
・10ヵ月後にアメリカの宇宙船が飛んで、初めて宇宙からの姿が撮影された
NASAは国民の宇宙開発への理解を求めるため映像を大いに利用した
・月から写された「地球の出」写真
・月着陸シーンを生中継するための機器の開発
・アームストロングの月面の第一歩を写すための工夫


2 宇宙ステーション
・アメリカのスカイラブ
ソビエトのミール
・現代の国際宇宙ステーション
・長く滞在し続けると心が不安定になる
・窓から地球を見ていると心が落ち着きました


3 「はやぶさ」の出発から帰還まで
・行きは順調
・着陸に失敗して破損して燃料漏れ
・なんとかイトカワの表面のホコリを回収するものの通信途絶
・苦労して通信回復
・エンジンが破損して帰還不能に
・技術者がこっそりエンジンに仕込んでいた秘密の工夫のおかげでエンジン回復
・大苦労して地球に帰還し、ホコリを載せたカプセルを地球に送り込んで本体は燃え尽きた


4 火星探査
・火星は遠いので探査は次々と失敗
・アメリカの宇宙船が側を通り過ぎて初めて表面の撮影に成功
バイキングでの探査。最初「青い空の写真」が届いたのでみんな大喜びしましたが、数日後に「現像ミスでした」と赤い空写真に訂正
・生物はいそうにないと解って、火星への興味が薄れる
・1990年代になって火星からの隕石に生命の痕跡
・再び火星探索ブーム
・地面の下に氷、さらに液体の水もあることが判明
・現在無人探査機「キュリオシティ」が活動中


5 ヴォイジャー1号・2号
・1970年代に地球から打ち上げられた探査機。現在人類が地球から最も遠くに送り出した機械
木星の大赤斑、土星の輪の構造、天王星に輪があること、などを次々と発見


■感想

 「コスモス」のちょっと地味版という感じでしょうか。阿部寛がいつもの演技で、はやぶさやキュリオシティの3D映像が側に出てくるたびに、あたかも実物がそこにあるフリして、いちいち「オオッ」とか驚きながら機械を説明していく、とか、月で使われたカメラを手に取りながら説明して見せるとか、ナレーターの語り一辺倒では無く、番組を飽きさせないような工夫が随所にありました。

 月着陸シーンをどうやって撮影したの?という素朴な疑問の答えとか、「月面で旗が揺れていた! あれは月では無く地球で撮影したんだろ!!」という懐疑論者への回答とかもあって、色々面白かったですねぇ。あと、はやぶさの旅をみっちり紹介したのですが、「ああ、こりゃみんな映画にするわなぁ」と言いたくなるようなドラマチックな展開でビックリ。最後は「ET」のテーマ曲に乗って、太陽系を去っていくヴォイジャーネタで〆るのですから、そりゃ感動しましたわ。

 この番組、衛星放送ではなくて、総合テレビで夜20時台くらいに二夜連続で放送するくらいの扱いにしてもよかったのに!と思いますね。ホント好番組でした。



★おまけ

阿部寛の“宇宙への挑戦” | NHK注目番組ナビ! | NHKオンライン
http://www2.nhk.or.jp/navi/detail/index.cgi?id=09_0086

>日本でテレビ放送が始まって60年になります。「テレビの時代」は、実は「宇宙の時代」でもあったのです。1969年は、世界中の人々が固唾をのんで見守ったアポロの月着陸がありました。アームストロング船長が月に降り立った世紀の映像は、NASAがTVで“見せる”ために綿密な計画を練ってきた成果でした。当時、ソ連に宇宙開発で先行されたアメリカは、積極的にTVで映像を発表することで国民を一致団結させ、威信を取り戻そうとしていたのです。ところがその戦略は意外な結果を生みました。アポロ17号が撮影した有名な「ブルーマーブル」です。宇宙に浮かぶ宝石のような青い地球の姿を、TVを通じて世界の人が目にし、地球がひとつの星であることを誰もが認識することになったのです。

>そして現在、私たちはTVを通じて、壮大な宇宙の映像を目にしてきました。国際宇宙ステーションから見た「宇宙の渚」、探査機がとらえた「火星の赤い大地」、そして十数年の旅路の末に探査機ボイジャーがとらえた「太陽系の家族写真」などです。

>番組では、大の宇宙好きで知られる、俳優の阿部寛がナビゲーターとして登場し、TVが伝えてきた貴重な宇宙映像の数々を紹介します。地球から飛び出し、月へ、さらに遠い宇宙へと挑み続けた人類の営みを通して、この60年の間に一変した“人類の宇宙観”を描き出していきます。