【ゲームブック】感想:ゲームブック「超時間の檻」(山本弘)【クリア済】

超時間の闇 (The Cthulhu Mythos Files)

 ゲームブック「超時間の檻」(山本弘)の感想です。

http://www.amazon.co.jp/dp/4798830100
超時間の闇 (The Cthulhu Mythos Files) [単行本]
山本 弘 (著), 小林 泰三 (著), 林 譲治 (著), 小島 文美 (イラスト), 金魚の夢 (イラスト), 小澤 麻美 (イラスト)
単行本: 370ページ
出版社: 創土社 (2013/11/7)
言語: 日本語
ISBN-10: 4798830100
ISBN-13: 978-4798830100
発売日: 2013/11/7

http://www.soudosha.jp/Cthulhu/chojikan.html
1つのクトゥルー作品をテーマに3人の作家が小説、ゲームブック、漫画などの様々な形で競作するオマージュ・アンソロジー・シリーズ。

《超時間の檻・山本弘》   
底知れぬ暗い空間を、私は落下していた。上も下もなく、前も後ろもない、無限の奥行きのある暗黒の空間。何かにぶつかって停止し、突如感覚の洪水が襲ってきた。様々な感覚が統合されたとき、私は雨の降る中、山道で車を走らせていた。だが、なぜ? 山本弘22年ぶりのゲームブック!

 

データ(個人的補足)

 クトゥルー神話アンソロジー本の中に収録された作品。作者はSF作家で「と学会」の学長でもある、あの山本弘先生です。山本氏は1980年代後半頃にゲーム雑誌にゲームブックをいくつも発表しており、本作は22年ぶりのゲームブック復帰作となります。


あらすじ

 主人公「私」は、ふと気が付くと大雨の中、夜の山道で車を走らせていた。しかし「私」には記憶がなかった。「私」は何者で、ここはどこで、何故車を運転しているのか?


内容紹介/感想

 パラグラフ数200。パラメーター無し、サイコロ不要。ただし、かなり複雑に入り組んだ構成ですので、フローチャート書きと手がかりのメモは必須。主人公の性別が選択可能で、男女それそれで別の展開が楽しめます(あまり大きくは違いませんが……)。


 山本弘氏と言えば、今でこそSF小説の仕事で有名ですが、1980年代後半から90年代にかけてはゲーム(テーブルトークRPGゲームブックなど)方面で大活躍でしたので、氏が久々にゲームブックの仕事をした、というのは個人的には凄いニュースであり、内容には大いに注目しておりました。

 そして、本作品はその期待に違わぬ面白さ! 主人公が記憶喪失の状態からスタートし、五里霧中のまま手探りで周囲の状況を調べ現状を確認しようとするものの、次々と事件が発生し……、というサスペンス作品で、スピーディーかつ先の読めない展開に、パラグラフを辿っていくのがもどかしいほど。ノートにフローチャートを書き付けながら、時間を忘れて没頭してしまいました。また、ある仕掛けによって、ゲームブックではお馴染みの「何度も繰り返してプレイする事」に必然性があり、SF好きならばニヤリとする事でしょう。


 クトゥルー神話の知識は無くても、パラグラフの中の説明だけで十分背景設定は理解可能ですし、映像が浮かんできそうなくらいなサスペンス展開、適切な難易度、など、「簡単すぎず面倒すぎず途中で飽きる事が無く、話は絶妙の面白さ」という好作品です。「ゲームブックは好きだけど、クトゥルー神話は知らないしなぁ……」という人でも何の問題もなく遊べます。これは文句なしにお勧めです。

その他

・プレイ時間 約5時間
・難易度 5段階評価(5が最高)で3
・面白さ 5段階評価(5が最高)で5
 
SBN:978-4798830100:detail