感想:特撮「怪奇大作戦」(1968年)「かまいたち」(2014年2月26日(水)放送)

怪奇大作戦 ミュージックファイル

 特撮「怪奇大作戦」の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

怪奇大作戦
http://www.nhk.or.jp/kaiki/

 NHK BSプレミアムでの視聴です(放送日:2014年2月26日(水) 15:25〜15:50)。

キャスト

的矢忠 (原保美)…SRI所長
牧史郎(岸田森)…SRI所員
三沢京助(勝呂誉)…SRI所員
野村洋(松山省二)…SRI所員
小川さおり(小橋玲子)…SRI所員
町田大蔵(小林昭二)…警視庁

あらすじ

 深夜、道を歩いていた女性が体をバラバラにされ殺害される。町田警部は凶器は日本刀だと考え、怨恨の線で捜査を進めるが、牧は流し(通り魔)では無いかと直感する。やがて死体発見場所の近くで、第二の女性バラバラ殺人が発生した。犯行時、近くにいた警官が風の唸り声を聞いていたことから、SRIは凶器は人工的にかまいたち現象を発生させる機械だと推測する。

 一方、牧は現場に来ていた野次馬の写真の中から、前にも姿を見せていた男・マツオに目を付ける。証拠は何一つ無かったが、牧にはマツオのおどおどした目つきが気になってたまらず、執拗に事件とのつながりを見つけようとする。しかしどうしても証拠が掴めない為、SRIはさおりをオトリにマツオをおびき寄せる作戦を実行した。そして、マツオは犯行の現場を取り押さえられ、凶器のかまいたち発生装置も押収された。しかし、マツオは警察の尋問に対し、動機も含めて何一つ語ろうとはしなかった。

感想

 ウン十年ぶりの再視聴ですが、古臭さというものがほとんど無い事に驚かされました。もちろん画面内で映し出される光景は昭和そのものですが、演出やシナリオにおいて「半世紀前のドラマだから……」と感じさせられる様なもったり感はほぼ皆無です。また、無駄なシーンというものが無く、かなりのボリュームの話を30分枠に見事に収めています。昔見たときは気がつきませんでしたが、2014年に見直してみるとその凄さに唸らされました。

 また、話の雰囲気が凄く良い。怪奇大作戦は「刑事物+特撮」というテーマで話をどう作るのかを、制作側が最後まで試行錯誤だったと認識していますが、この話はその辺りのバランスが絶妙に尽きる。牧が直感だけでマツオを容疑者として追い回す展開、マツオが喫茶店で「アロワナに小魚を食べさせる見世物」を見て憤りを露にするシーン、その背後で流れるパイプオルガンの曲、等、もう一般ドラマ並みの演出です。しびれまくりましたね。

 そして結局犯人の動機が解らないまま終わってしまう、なんとも落ち着かない結末……、何から何まで完璧でした。



★ついで

・牧がマツオの部屋に入り込んで色々物色していますが、SRIはどんな権限でこんな事を許されているのでしょうか。まさか不法侵入?

・牧はマツオのことを「いたちのようなおどおどした目」と連呼しますが、「いたちの目=おどおど」なんて表現はこの作品以外聞いた事がない……