感想:雑誌「Game Journal(ゲームジャーナル) No.12」『日本史の宴』(2004年9月1日発売)


 ちょっと思い立って古いゲームジャーナルを読んでいます。発売日は「2004」年であり、2014年では有りません。


 発売日:2004年9月1日(3,6,9,12月の1日発売)

ゲームジャーナル公式サイト
http://www.gamejournal.net/

■今号のページ
http://www.gamejournal.net/item_list/gj_012/index.html


■付録ゲーム

壬申の乱ゲームデザイン:高梨俊一)

「高梨作品に外れ無し」とまで言われ、日本を代表する名デザイナーとして今日でも評価が高い高梨俊一氏の往年の名作、「壬申の乱」が本誌収録作品として再販される。
「日本のポエニ戦争」という評がなるほどと思わせる逸品。
ぜひ一度プレーし、古代のロマン豊かな名作を味わって欲しい。

 システムはともかく、このテーマのゲームの発売をOKしたアドテクノスという会社はつくづく凄いと思います。



□特集:日本史の宴

 「壬申の乱ヒストリカルノート、松田大秀氏のリプレイ漫画、ユニット紹介、リサーチノート、デザイナーズノート、など。テーマがどマイナーなので背景説明がたっぷりですが、あいにく全く興味持てず。


 ただし面白い企画もあり、ひとつは「8人のサムライが贈る!私のお薦め日本史ゲーム」。カラーページでソンシー浅野氏他がそれぞれお勧めゲームについて一つずつ書いてあります(壬申の乱戦国群雄伝太平記新撰組、信長最大の危機、真田軍記、織田信長、戦略級関ヶ原)。バンダイ新撰組の説明が紙媒体で読めるのは珍しい。


 もうひとつが、ひゅーらー中村氏の「ウォーゲームデザイン序論 番外編 日本史ウォーゲームの懐古と展望」。これは、 最新号であるNo.51(2014年6月1日発売)に載っていた『日本史ウォーゲーム 20年前の 宿題の採点は?』の2004年バージョンといえる物です。こちらでも、高梨先生が翔企画版シミュレイター14号で提示した日本史ウォーゲームの問題について書いてあります。そして、その答えが、ひとつは中村氏が「南北戦争革命」と呼ぶ、アメリカ製南北戦争ウォーゲームで採用されるようになった「行動の不確実性」システム、もう一つはカードドリブンシステムによる「エピソードの再現」、であるとしています。これらの要素は、特にカードドリブンによるエピソード再現は、その後の戦国物ゲームでも当たり前のようになっているので、してみるとこれは「予言の書」だったのでしょうか。

 あと、時代を感じるのは「日本史ウォーゲームとは何ぞや」という問い。「日露戦争」テーマを日本史とか呼ばないし……、等とあります。その後、GJでもコマンドマガジンでも戦国物とかのゲームがどんどん付録になり、挙句に「ウォーゲーム日本史」という雑誌すら存在する今となっては、『昔は日本史物と呼べるゲームがそんなに少なかったんだなぁ……』とか遠い目をしたくなりますね。


□その他

[連載](最終回)フリードリヒ大王と啓蒙時代の戦争 二木"Markgraf v.Sapporo"太郎

 創刊号から七年戦争について読者を啓蒙し続けた連載が最終回。最終回に当たり、筆者は「国産の戦略級七年戦争ゲーム登場が最大の関心事」と書いています。これってGJ No.50の「フリードリヒ最大の危機」で実現していますね。古い雑誌を読むとこういう発見があって感慨深い。


・シモニッチ氏新作独占インタビュー!!

 え、マジ?


★余談

 今頃気が付いたのですが……

本号の掲載記事「私のお勧め!日本史ゲーム」の記事中、一部欠落した文章がありました。以下の通り、お詫びして欠落した各作品のデータボックス部分の末尾を補足指せていただきます。

なお「信長最大の危機」「戦略級関ヶ原」「新撰組」各推薦者の紹介部分の末尾にも一部欠落した部分がありますが、こちらは時期を逸してしまっているため次回紹介時の紹介をご参照ください。

 次回っていつ? あれから10年経ってもまだ紹介して無くない?



 日本史系ゲームというものはこの10年で物凄く発展したなぁ、と感じる号で有りました。