感想:NHK番組「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」(NHK総合版)『File-13 大江戸・日本人はUFOを見ていた!?』(2014年8月16日(土)放送)


 NHK番組「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」(NHK総合版)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー - NHK
http://www4.nhk.or.jp/darkside/

 NHK総合での視聴です。(放送:毎週土曜 22:30〜22:50)

『File-13 大江戸・日本人はUFOを見ていた!?』


■内容

>円盤形の乗り物と謎の美女が描かれた古文書。江戸時代、UFOに乗って宇宙人が来ていたのか?近年急速に進む研究を徹底追跡!カギを握る伝説の女神像と黒幕の正体は!?

>超時空歴史ミステリー!江戸時代、関東北部・鹿島灘にUFO出現!?珍しい事件を集めた古文書に描かれた、金属製の円盤と異国の服を着た謎の美女。その正体はこれまで不明のままだった。しかし近年、新史料が続々と発見され、謎が解き明かされつつある。新発見史料で浮上した、忍者と円盤の関わりは?美女の正体は私たちの暮らしに関わる伝説の女神?宇宙文字らしき記号のヒントは浮世絵にあった?事件の仕掛け人はあの有名作家?

 BSプレミアム版の「File-01」(2013年4月24日(水)放送)から。


 1824年、「八犬伝」の作者「曲亭(滝沢)馬琴」は、世の中の面白い話を披露しあう「兎園会」という場で、「うつろ舟の蛮女」という話をしたという。内容は『1803年2月、茨城県鹿島灘の海岸に、丸っこい謎の物体が漂着し、中から美女が出てきた。美女は箱を持っていた。乗り物には奇怪な文字が刻まれていた。最終的に、住民は面倒ごとを避けるため、女を乗り物に乗せそのまま海に送り返してしまった』というもの。


 この話は、今までは小説家馬琴の考えたフィクションだと思われていた。柳田國男は1922年に「謎の文字は世界のどこの文字でも無い。つまりこの話自体がでっち上げなのは明白」と結論付けている。しかしUFOスキーは「この文字は宇宙文字。つまりうつろ舟は円盤で、美女は宇宙人だった」的に解釈している。


 近年、同時代の資料で、この事件について書かれた「瓦版」(=新聞)や伝聞を書きとめたメモなどが見つかり、事件が馬琴一人のでっち上げでは無い事が明らかになってきた。この話を調べている研究者は、資料の中で、瓦版が1804〜1805年あたりに作られた最も古いものであると解釈した。その瓦版の絵の美女は、あるお札に描かれた女性と似ていた。その女性とは『金色姫(こんじきひめ)』。海の向こうから茨城にやってきて養蚕を伝えた女神で、この女神は片手にカイコの入った箱を持っている。あまつさえ、このお札を描いたのは馬琴だった。どうやらうつろ舟の話は、金色姫伝説を少し改変しただけの話に思える。

 ということで、2013年4月24日放送回では「馬琴は、まず金色姫のお札を描き、その後金色姫伝説をベースにウソニュースの瓦版を書き、1822年には過去に有った実話のように自作話を語ったのではないか?」という結論で〆ていた。



 ところが2014年1月、当時の忍者が書いた報告書の中にうつろ舟の話が見つかった。その報告書に書かれた「謎の文字」をじっくり調べたところ、ついに元ネタらしき「浮世絵」が見つかった。その絵の周りには「蘭字枠」という、オランダ語をベースにした模様が描かれていた。この枠の模様はもう図式化が進んでオランダ語からはかけ離れているのだが、それを見ると物凄くうつろ舟の「謎の文字」に似ている。元ネタはこれか? またその報告書で今まで謎だった舟の漂着場所が「舎利ヶ浜」だとわかった。これは当時の地図にも書かれている現実に存在した場所である。


 という事で、「馬琴が全てでっち上げたウソ話」なのか「本当にあったこと」なのかはまたまた謎に包まれてしまいました。


■感想

 いやー、おもしれー。BSプレミアムで放送した後に見つかった事実が追加されていて、前は「馬琴の空想力って凄いね」で締めていたのですが、今度は「ウソかホントなのかやっぱりわからない」という方向で落としてワクワクしましたよ。ミステリー物はこういう感じで無いとね。