感想:NHK番組:哲学解説番組「哲子の部屋」「人生を楽しくする哲学(1)」(2014年8月16日(土)深夜放送)


 NHK番組「哲子の部屋」(全2回)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■哲子の部屋 - NHK
http://www4.nhk.or.jp/P3233/

 NHK Eテレでの視聴です(放送:毎週土曜深夜 0:00〜0:30)(8/16〜8/23)


■概要

 哲学者が哲学をゲスト二人に噛み砕いて説明する番組。全2回。ちなみに、過去二回(2012・2013年)放送していたのを確認しています。もしかすると、それ以前より有ったかもしれません……


※過去の放送内容→「哲子の部屋」内容・感想まとめ

第1回 人生を楽しくする哲学(1)


■内容

>映画や動物など意外な教材で語る哲学トークエンタメ『哲子の部屋』第三弾!今回は<二週連続>でイケメン哲学者・國分功一郎が「人生を楽しくする哲学」を語り尽くす!!

>第一回のテーマは「哲学って、考えるって何?」。映画史に残る傑作ラブコメディ『恋はデジャ・ブ』を教材に、“現代哲学の巨人”ドゥルーズが唱えた「思考」と「習慣」の哲学に迫る。「人はめったに考えない」!?過去二千年以上に及ぶ哲学史の盲点を指摘したドゥルーズ。果たして、その真意は?気鋭の哲学者・國分功一郎が、注目の若手女優・清水富美加やマルチ芸人・マキタスポーツを相手に、モノの見方を一変させる哲学を語る。

>【出演】高崎経済大学 准教授…國分功一郎,清水富美加,マキタスポーツ,【語り】島本須美


 今回のテーマは「人は考えるのでは無く、考えさせられる」。

 「考える」とは何か? 考えるのは楽しい、とかいうが本当?

 まず哲学とは何か。超大物哲学者ドゥルーズは「新しい概念を作り出すこと」と言った。概念とは「物の見方」と言い換えることが出来る。例えば哲学者&数学者のデカルトは、グラフに使う有名な「座標軸」を考えた。これで数学を目で見えるようになって世の中が一変した。フロイトは「無意識」という事を提唱した。「無い物がある」と言った。こんな感じで新しい考え方を生み出すのが哲学である。


 さて、哲学者は小難しく「人間はこんな風に考える」云々と言っている。しかし、ドゥルーズは、「人は考えない」と言った。

 映画「恋はデジャ・ブ」は、主人公が同じ一日を延々と繰り返すという話。その中で主人公は何度も同じシーンに出会うのに、二回目以降でトラブルなどに全て上手く対応できるかというと、そうでもない。また、私たち自身、通学路・通勤ルートで毎日町並みを見ているはずなのに、何かの建物が無くなると「ここに何があったっけ?」と悩んだりしませんか? 見ているけど見ていない。習慣で自動的に行動している。


 「習慣」とは何か? ドゥルーズは習慣を「日々から違いを無視する事」と言った。例えば毎日朝起きて顔を洗って食事して学校や会社にいく、ということを繰り返すにしても、日々すべて全く同じ、ということはありえない。しかし何か細かい事が違う(例:洗顔で使うタオルが今日は三日目だから臭う……)からといって、そこでいちいち考え込んでいたら遅刻してしまう。だから人は細かいことは無視する。つまり習慣とは人が出来るだけ考えないように考えないようにするためにしていること。結論:人は考えたくない、考えていない。


 しかし、何か無視できない突発的なイレギュラーが発生すると、習慣どおりに行動できない。そこで初めてどうするか『考える』。人は自発的に考えるのでは無く、外部から何か割り込まれてそこで初めて考えるのである。


■感想

 今年で三回目の視聴なのですが、一番最初に「そりゃ無いだろ」的命題をぶち上げておいてから、映画を素材に屁理屈(?)をこね回して、理屈をつけて視聴者を説得していく、という流れは今年も健在でした。まあ納得できるかどうかはともかく、この理屈の捏ね回しぶりが面白い。

 この企画は好評だった模様で、なんと次週も放送されます。おやおや。