感想:NHK番組:哲学解説番組「哲子の部屋」「人生を楽しくする哲学(2)」(2014年8月23日(土)深夜放送)


 NHK番組「哲子の部屋」(全2回)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■哲子の部屋 - NHK
http://www4.nhk.or.jp/P3233/

 NHK Eテレでの視聴です(放送:毎週土曜深夜 0:00〜0:30)(8/16 & 8/23)


■概要

 哲学者・國分功一郎氏がゲスト二人に哲学を噛み砕いて説明する番組。全2回。過去に2012年8月・2013年8月と放送していて、今年で三年目となります。今年は二週連続となりました。


※過去の放送内容→ 「哲子の部屋」内容・感想まとめ

第2回 人生を楽しくする哲学(2)『人はなぜ学ばなければいけないの?』


■内容

>映画や動物など意外な教材で語る哲学トークエンタメ『哲子の部屋』第三弾!今回は<二週連続>でイケメン哲学者・國分功一郎が「人生を楽しくする哲学」を語り尽くす!!


>第二回のテーマは「学び」。「人はなぜ学ばなければいけないの?」。「鏡を見るネコ」「ダニ」「盲導犬」などを教材に、生物学者ユクスキュルが唱えた「環世界」という概念(哲学)を解説する。「人は皆、バラバラの世界を生きている」と語る哲学者・國分功一郎。人生を豊かにするのは、人間の持つ「学びのチカラ」にあり!?注目の若手女優・清水富美加やマルチ芸人・マキタスポーツを相手に、モノの見方を一変させる哲学を語る。


>【出演】高崎経済大学 准教授…國分功一郎,清水富美加,マキタスポーツ,【語り】島本須美

●今回のロゴス『私とアナタのいる世界は全く違う!』


 生物学者ユクスキュルは「全ての生物は異なる時間と空間を生きている」と唱え、「環世界」という概念を打ち出した。環世界とは何か。例えば森に住むマダニは、目が見えず耳は聞こえない。しかし匂いと温度には敏感で、近くを動物が通りかかったと感知すると相手に飛びつく。人間なら森に入って例えば「ああ、緑が綺麗だなぁ、癒されるなぁ」とか感じるかもしれない。しかしマダニは同じ森にいても「光が無く真っ暗で音も全く聞こえない世界」で生きており、ただ匂いと温度を延々待ち続けているだけ。つまり受け取っている世界は全く違う。そのそれぞれの受け取る世界を「環世界」だとした。


 さて、同じ種族の人間の間でも「環世界」はそれぞれ異なる。ここでTVドラマ「スパイ大作戦」と、その映画版「ミッション・インポシブル」のテーマ曲が流れる。その二つには同じように聞こえても決定的な違いが有るという。それは拍子。前者が5拍子、後者は4拍子。音楽に詳しい人なら一発で解るが、音楽の知識が無いと解らない。つまり知識の有無で受け取っている世界は異なっている。


 盲導犬の話。イヌと人の環世界は異なるが、訓練をつむ事でイヌも人の環世界を受け取ることは可能になる。また映画「恋はデジャ・ブ」は、主人公が同じ一日を延々と繰り返すという話。その中で主人公は、読書・音楽・彫刻などを勉強して技術を身につけていく。つまり今まで音楽の楽しみが解らなかったのに、学びで環世界を変えていったわけである。つまり学ぶ事で環世界は変えられる。


●〆のロゴス「学びは楽しむためのトレーニング」



■感想

 今までは屁理屈をこね回して視聴者を騙して(?)説得するような話ばかりでしたが、今回はちゃんと筋が通っている展開に思えました。しかしこれで子供に「だから勉強しなくちゃいけないんだよ」とは説得できそうもないなぁ。