感想:NHK番組「伊福部昭の世界〜「ゴジラ」を生んだ作曲家の軌跡〜」(2014年8月30日(土)放送)

 NHK番組「伊福部昭の世界〜「ゴジラ」を生んだ作曲家の軌跡〜」の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■NHKネットクラブ 番組詳細 伊福部昭の世界〜「ゴジラ」を生んだ作曲家の軌跡〜
https://pid.nhk.or.jp/pid04/ProgramIntro/Show.do?pkey=001-20140830-33-15553

 NHK Eテレでの視聴です(放送日:2014年8月30日(土) 23:00〜23:59)。


■概要

>番組内容
>映画「ゴジラ」の音楽で知られる作曲家・伊福部昭。生誕100年を機に、芸術を探求し続けた91年の生涯を、貴重な資料や関係者の証言、代表作の演奏を通して描く。

>詳細
>今年生誕100年を迎えた作曲家、伊福部昭。映画「ゴジラ」の音楽で知られる。北海道で生まれ育ち、アイヌの文化に影響を受けた伊福部は、自分が作るべき音楽について、若くして明確な目標を定めていた。映画音楽と並び、伊福部が心血を注いだ舞踊音楽の世界とは。そして、一貫して強い信念のもとに作曲活動を続けた伊福部が晩年に到達した境地とは。91年の生涯と創作の軌跡を、貴重な資料や関係者の証言、代表作の演奏で描く。

>出演者ほか
>【語り】高嶋政宏,【インタビュー出演】作曲家…池辺晋一郎,作曲家…吉松隆,筝曲家…野坂操壽,舞踊家…金井芙三枝,作曲家…和田薫,音楽評論家…片山杜秀


■内容

 伊福部昭の伝記ノンフィクション。

 独学で作曲を学び、大学時代に発表した曲が海外の日本人才能発掘のためのコンクールで一位になり巨匠に絶賛される。卒業後は北海道で仕事の傍ら作曲。戦後東京に出てきて、映画・テレビ・舞踏舞踊の音楽などを手がける。西洋と東洋の音楽の融合的なことを目指す。「憧れだけで流行り物を取り入れるというのは、綺麗な花をただ挿しただけみたいなもので、大地に根付いていないので枯れてしまう」云々。1970年代頃から日本的な曲にこだわり続ける姿勢が時代遅れと見なされるようになる。同じ頃音楽大学の学長になり、後進を育成。最終的に「琴だけで演奏する曲」とかシンプルさの極致に到達。2006年に91歳で没する。



■感想

 ゴジラ音楽であまりにも有名な人ですが、番組は特撮話ではなさそうだったので「つまらなかったらさっさと止めよう」と思っていたら、最後までじっくり見てしまいました。

 特撮オタとしては「ゴジラとかの曲の人」としか知らなかったのですが、番組ではそのあたりはさらっと流し、作曲家としてどういう仕事をしてきたかをじっくり描いていて、なかなかの見ごたえでした。うむ、これは見ておいて得したな。

 それはそれとして、高嶋政宏がナレーションの仕事をするようなキャラだったとは。


★マメ知識

 ゴジラの「伊福部マーチ」はそれ以前に作った曲(1948年『バイオリンと管絃楽のための協奏風狂詩曲』)が元ネタだったという話。またゴジラ終盤に流れるあの物悲しい合唱曲は、「フリギア旋法」という「ミで終わるメロディ」で作られている。これは悲しさをかもし出す有名な技法。伊福部はこの技法を「泣かせ節」と呼んでいたとか。


★おまけ

-------------------------------------------------
楽曲情報
「盆踊(部分)」
(ピアノ)岡田将
「日本狂詩曲(部分)」
(管絃楽)東京フィルハーモニー交響楽団、(指揮)高関健
「ピアノと管絃楽のための協奏風交響曲(部分、ピアノパートのみ)」
(ピアノ)岡田将
「舞踊音楽“エゴザイダー”(部分)」
(ピアノ)岡田将
バイオリンと管絃楽のための協奏風狂詩曲(部分、ピアノ伴奏版)」
バイオリン)佐藤久成、(ピアノ)岡田将
シンフォニア・タプカーラ(部分)」
(管絃楽)東京フィルハーモニー交響楽団、(指揮)高関健
「ピアノと管弦楽のためのリトミカ・オスティナータ(部分)」
(管絃楽)東京交響楽団、(ピアノ)山田令子、(指揮)大植英次
「二十絃筝とオーケストラのための交響的エグログ(部分)」
(管絃楽)東京交響楽団、(二十五絃筝)野坂操壽、(指揮)大植英次
「二十五絃筝曲 琵琶行(部分)」
(二十五絃筝)野坂操壽
-------------------------------------------------