感想:NHK番組「コズミック フロント」「アインシュタイン最後の宿題 重力波を探せ」(2014年9月25日(木)放送)


 NHK番組「コズミック フロント」の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■コズミック フロント | NHK宇宙チャンネル
http://www.nhk.or.jp/space/program/cosmic.html

 NHK BSプレミアムでの視聴です(放送日:2014年9月25日(木) 22:00〜22:59)。



■概要

>2014年春、岐阜県飛騨市の池ノ山地下深くに、長さ6キロの巨大なL字型トンネルが姿を現した。ここで2015年12月から観測を始めるのが、東京大学宇宙線研究所を中心に国内外60以上の機関が参加し150億円の予算を投入する大型プロジェクト、最先端の大型重力波望遠鏡「KAGRA(かぐら)」だ。今、各国の研究機関が 世界各地に巨大な観測装置を建設し、重力波観測の一番乗りを目指している。


重力波とは、物理学者アルバート・アインシュタインが、およそ100年前に一般相対性理論のなかで予言した現象だ。アインシュタインは、質量を持つ天体は周囲の空間を歪め、その歪みは波のように光の速さで伝搬すると考えた。宇宙を海とイメージすれば、天体という船が動くたびに、波のように重力波が生まれ宇宙を伝わっていくというものだ。宇宙で生まれる無数の重力波は地球に届くと、人間の耳で聞こえる周波数帯であるため、もし増幅することができれば"宇宙 のささやき"が聞こえるという。しかし、重力波はあまりに微弱で検出困難なため、多くの科学者の直接観測の試みは失敗に終わり、「アインシュタイン最後の宿題」と呼ばれてきた。


重力波は、質量を持つ全ての物質が運動する時に発生し、透過性が高いという特徴を持っている。その 特徴を利用すれば、全く新しい天文学の観測手段を手に入れられると期待されている。例えば、従来の電磁波を使った望遠鏡では観測できなかったブラックホール誕生の瞬間や中性子星と呼ばれる重い星同士の衝突など、姿は見えないが強い重力を持つ天体現象を捉えることができるようになる。アインシュタインの最後の宿題"重力波"を解明しようとする科学者たちの100年の挑戦。そして重力波によって新たな宇宙の姿を捉えようとする重力波天文学の誕生に迫る。

■内容

 日本は重力波望遠鏡「KAGRA」を建設中。2015年稼動予定。山の中に掘られたL字型トンネル内でレーザー光線を発射し、もし重力波でトンネルが歪めばレーザーの戻ってくる時間が異なるため検知できるはず。


Front 1 最大の難問 重力波を捕まえろ

 アインシュタインは重力とは空間の歪みだと考えた。また巨大な質量が揺れ動くと、空間の歪みが波の形で光速で伝わると考え「重力波」と名付けた。前者は「重力レンズ」という現象で確認されたが、重力波は未だに見つかっていない。


Front 2 重力波に人生をささげた研究者たち

 1960年代、アメリカの学者ウェーバー重力波を観測したと発表した。しかしその後他の研究者が誰も確認できなかったことから誤報扱いになった。そして、『そもそも重力波など存在しないのではないか?』という説すら出てきた。


Front 3 重力波のしっぽを見つけた!

 1970年代、天文学者が「連星中性子星」を発見した(二つの中性子星がグルグル回っている。ダンベルが握りのところを中心に回っているイメージ)。相対性理論によれば、この二つの星は重力波でエネルギーを放出することで回転速度が遅くなるはず。そして観測結果は理論に完璧に合致したため、間接的に重力波の存在が確認された。


Front 4 量子力学の限界を突破せよ

 その後、レーザー光線の往復時間を使って重力波を検知するアイデアが出たが、「ハイゼンベルク不確定性原理」によれば、正しい観測は出来ないはず、という事になっていた。ところが日本の学者が式の誤りを指摘し、レーザーで検知可能と理論から確認された。


Front 5 重力波が聞こえた

 重力波は3キロヘルツで、人の耳に聞こえるらしい。


Front 6 観測レースが始まった

 アメリカも日本もレーザー式の重力波望遠鏡で重力波検知一番乗りを目指しいる。


Front 7 重力波で見える? 新しい宇宙

 宇宙論の「ひも理論」によると宇宙には超巨大な「宇宙ひも」というものが漂っていて、それが変形する時に重力波を出すので、それが観測できれば宇宙論に大きな進歩となる。



■感想

 SFアニメだと気楽に「重力波探知!」とかやってますが、現実の世界は大変なのですね。

 天文分野の最新情報が確認できて、なかなか面白うございました。