NHK番組「コズミック フロント」の感想です。
（※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください）
■コズミック フロント | NHK宇宙チャンネル
http://www.nhk.or.jp/space/program/cosmic.html
NHK BSプレミアムでの視聴です(放送日：2014年12月4日(木) 22:00〜22:59)。
ついに見た！？ 宇宙の始まり インフレーション
■概要
＞宇宙はどのようにして始まったのか。人類が抱くこの大いなる問いに対して、最新の科学が導き出した答えが、「１３８億年前、宇宙誕生直後のビッグバンのさらに前に、想像もできないような急膨張"インフレーション"が起きた」というものだ。１秒にも満たない一瞬の間に、光速を超えるスピードで宇宙空間が膨張したというインフレーション理論は、今から30年以上前に宇宙物理学者・佐藤勝彦博士らによって提唱された。
＞当時、その証明は難しいと考えられていたが、観測技術の進歩によってインフレーションの痕跡を探す観測が可能になり、いま、南極やチリの高地などで、発見の一番乗りを目指して競争が繰り広げられている。さらに、インフレーションは宇宙の始まりを説明するだけでなく、驚くべき宇宙の姿をも予言している。宇宙は一つではなく、無数の宇宙が生まれているというのだ。発見間近と言われるインフレーション。その研究の最前線を追う。
■内容
Front 1 インフレーション観測の最前線
今世界中の天文学者が「インフレーション」という現象の証拠をつかもうと必死で競争している。
Front 2 ビッグバン理論 ２つの大きな問題
今のところ「宇宙は138億年前にビッグバンという爆発で始まった」というのが定説。しかしこれには二つの問題があった。
(1)地平線問題
今でも138億年前のビッグバンの名残の温度を確認できる。ところがそれらは全て同じ温度。大爆発の全ての部分で温度が均一だったということはありえない。地平線の端と端にいる人が、それぞれ入れたお茶の温度が同じ、というようなもの。
(2)平坦性問題
宇宙は「閉じた宇宙」でも「開いた宇宙」でもなく「平らな宇宙」であることが確認されている。しかし平らな宇宙になる確率は恐ろしく低い。例えばマフィンを焼いてみたら、膨らんでもへこんでもおらず、完璧にまったいらだった、というくらいありえない。
さらに、もっと根源的な話で「ビッグバンは何故起きたのか」ということの説明が出来なかった。
Front 3 インフレーション理論はこうして生まれた
これを解決したのが「インフレーション理論」という仮説。1980年に二人の学者がそれぞれ独自に思いついて発表した。実は「真空」は一見何もない空間だが、「真空のエネルギー」という物が存在する。これは空間が広がっても薄まらないという不可思議なエネルギー。宇宙の最初期にはこれが指数関数的に大きくなったという計算が導き出された。
つまり、
最初に物凄く小さな宇宙がある
→真空のエネルギーによって空間が光速以上の速さで猛烈に広がる
→空間は広がってもエネルギーは薄まらないからどんどん増える
→やがて「相転移」という現象（例：水から氷への変化のような状態の変化）で物凄い熱が生まれた
→その熱でビッグバン発生
→ビッグバンは猛烈な速度で一瞬に広がった
という流れ。
ビッグバンの爆発は温度にムラのあるものでは無く均等な拡張だった→これで地平線問題は解決。宇宙はインフレーションで猛烈に引き伸ばされたので、その結果まったいらになった→平坦性問題も解決。ビッグバンの爆発がどこから来たか、も解決。
Front 4 宇宙は一つではない？
インフレーション理論を研究すると、「インフレーションは未だに止まっていない。その結果宇宙が無数に生まれる」という計算になった。ある宇宙から別の宇宙がどんどん切り離され、その子宇宙からまた別の孫宇宙が切り離され、というイメージ。切り離しの瞬間がビッグバン。
Front 5 インフレーションは証明できるか？
このインフレーション理論が正しければ、「原始重力波」という長さ数百億光年の重力波が存在することになる。どうやって原始重力波を見つければよいか？ もし原始重力波が存在するなら、宇宙最初期の光「宇宙背景放射」が渦巻きのようになって観測されるはずで、それを見つければよい。
Front 6 インフレーション発見 一番乗りを目指せ
2014年3月。アメリカのチームがついに「渦巻き」を発見したと発表した。しかし宇宙にはチリ（ダスト）があり、その影響で渦巻きに見えた可能性も有る。未だ結論は出ていない。
Front 7 私たちの起源 インフレーション
インフレーションがあって星が生まれたから私たちが存在するわけだよね。
■感想
ビッグバンがどうとか、ダークエネルギーがどうとか、「宇宙論」といいますか、宇宙の大元に関する話といいますか、そういう話がとにかく好きで好きでしょうがないので、今回の話も大ヒット。いやー、ビッグバンのまだ前があったなんて今回初めて知りました〜。
