感想:オムニバスドラマ「このミステリーがすごい!〜ベストセラー作家からの挑戦状〜」(2014年12月29日(月)放送)

 「このミステリーがすごい!〜ベストセラー作家からの挑戦状〜」の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■『このミステリーがすごい!』|TBSテレビ
http://www.tbs.co.jp/konomys/

 地上波TBS系での視聴です(放送:2014年12月29日(月) 21:00〜23:00)。


■概要

TBSでは年末年始の目玉となる「大型ドラマ特番」として、ミステリー&エンターテインメント小説の登竜門としては最高峰とされる宝島社“『このミステリーがすごい!』大賞”のなかでも、特に人気の大賞受賞作家たち4人による“書き下ろし短編小説”を『オムニバスドラマ』として12月29日(月)放送する。 !


ミステリーの案内人は……読書芸人・又吉直樹(ピース)×怪優・樹木希林

■あらすじ/感想


●1話目 『ダイヤモンドダスト

原作・安生正×監督・古澤健×主演・AKIRA山本耕史

大寒波が襲来し大雪に見舞われた首都・東京。その夜、スポーツ用品店で働く二人の男、奥脇巧(AKIRA)と明神和也(山本耕史)は翌日に迫った新店舗の開店準備に追われ、二人だけで残業を余儀なくされていた。夜が更けるにつれ暴風雪は増強。都市インフラが機能停止に陥るパニックの中、準備中の新店舗内で停電に遭い、作業を中断せざるおえなくなった二人は奥脇の決断で新店舗から歩いて本社に戻ることにする。大都会の真ん中にいるにも関わらず強烈な暴風雪が吹き荒れ、まるで雪山の中を歩くような感覚に襲われる奥脇と明神。容赦なく襲い掛かる暴風雪の猛威の恐怖に、二人はやがて互いの秘密や欲望がむき出しになっていく。二人は果たして無事に本社に戻れるのか? 最後に衝撃のラストが待ち受ける!

結末

 最後に性格の悪い奥脇が吹雪で行き倒れて死ぬ。その後、奥脇が担当するはずだった店長ポストに明神が就く。実は明神は前から奥脇を憎んでいて、気候が悪くなるのを知っていて、死ぬように仕向けていた。あらかじめ酒を飲ませたりして、死ぬように死ぬようにと持って行っていた、というオチ。


コメント

 もう序盤から「こいつ殺しに行っているな」というのが見え見えすぎて。底の浅いダメダメ話でした。



●2話目 『残されたセンリツ』

原作・中山七里×監督・金子修介×主演・川口春奈

天才女流ピアニストとして名を馳せる多岐川玲(とよた真帆)が3年ぶりにリサイタルを開いた。生涯で最高の演奏と言わしめる玲の超絶技巧な演奏は聴衆を魅了し、リサイタルは賞賛の嵐で幕を閉じる。

ところが、絶賛の拍手が鳴り止まない会場を後にした直後、玲は控え室で謎の死を遂げる。玲の傍らに転がっていたのは青酸カリが混入されたコーヒーの入ったボトルが一つ……。現場に出入り出来たのは、長年連れ添ったマネージャーで元恋人の安住鷹久(佐藤二朗)とリサイタルの主催者で現在の恋人である美能忠邦(長谷川初範)、そして玲と同じくピアニストで玲とは不仲だった娘の多岐川真由(川口春奈)の3人だった。捜査を担当する刑事の河原崎雄二(イッセー尾形)は彼独特の含蓄ある人間観察によって玲と3人の間に隠された意外な愛憎劇にたどり着く……。

ラストに残されたのは、“戦慄”の真実と、悲しく響き渡る“旋律”だった――

結末

 犯人は美能。この男の工場から出た汚水が地下水を汚染していて、それを井戸で飲んでいた玲は水銀中毒でここ3年手が動かなくなっていた。そして美能を恨んで破滅させるため、「リサイタルの日にお前の秘密を暴露してやる」と美能を脅して、自分を殺すように仕向けた。青酸カリの不純物が美能の工場で使われているものと一致して犯人と解った。


コメント

 普通に正統派の推理物でまあまあの出来。ところで、……、あの主人公の刑事ってイッセー尾形だったの!? 全然気が付かなかった。この人も年取ったなぁ。しかし良い感じの老け具合です。



●3話目 『カシオペアのエンドロール』

原作・海堂尊×監督・大谷健太郎×主演・藤原紀香

札幌から上野に向かう豪華特急列車のスウィートルームで起きた密室殺人事件。殺されたのは乗車していた人気シリーズ映画の撮影隊で、撮影隊の中で唯一の男性である映画監督の道明寺(田中要次)だった。

撮影隊で貸し切りになっていたスウィートルームに出入り出来るのは道明寺と共に乗車していた撮影隊の4人の女たち……。女盛りをちょっと過ぎたプロデューサーの吉川かなえ(いしのようこ)、無駄に色気満々のアシスタントプロデューサー・賀茂泉(矢吹春奈)、今回の映画で大抜擢された新進気鋭の若手女優・樫村愛菜(川島海荷)、そして国民的人気を誇る人気シリーズ映画の主演女優・望月ゆかり(藤原紀香)だった。それぞれ一癖も二癖もある容疑者の女たちを相手に、偶然、出張で同乗していた二人の刑事、スウィーツ好きの変わり者警視・加納(吉田栄作)と部下の玉村(浜野謙太)が捜査に乗り出すが……。

結末

 犯人は樫村愛菜。自分の姉が監督に遊ばれた末に自殺したので恨んでいた。でも、そういう殺すような状況に持っていったのは望月ゆかり。自分が演じている「貴婦人刑事」シリーズの主演から降ろされそうだったので、監督を亡き者にしようとしていた。


コメント

 まあ、そこそこ面白かった。あくまでそこそこ程度でしたが。しかし主役の刑事のキャラが面白いなぁと思ったら、えっ、吉田栄作!? マジかよ。この人の老け具合って……、なんか若い頃の面影がまるっきり無くなっている様な。あと、藤原紀香も歳をとりました……、K-1でコメントしてた頃はホントに輝くような美人でしたが……



●4話目 『黒いパンテル』

原作・乾緑郎×監督・星護×主演・勝村政信

中年半ばの須藤(勝村政信)は今でこそ建設会社に勤めるしがない現場監督だが、30年前の20代、実は戦隊モノのヒーローとしてテレビで人気を博した駆け出しの役者だった。須藤は当時共演者でヒロイン女優だった栄子(高橋ひとみ)と結婚し、現在は二十歳になる一人娘・千明(小池里菜)がいる。ある日、須藤は栄子から須藤が役者当事身に着け、仕舞い込んでいたヒーロー・ブラックパンテルの衣装とマスクを見せられ、30年前の出来事を思い出す。それは須藤が出演する戦隊モノの撮影現場で起きた悲惨な事故だった。当事、須藤が主人公の戦隊モノは佳境を迎え、最終回の撮影を行っていた。ところがそのロケ現場で火災事故が起こり、須藤は先輩俳優で共演の敵役・ドラクル男爵を演じていた二ノ宮(城田優)を見殺しにしてしまったという苦い経験を味わったのだ。久しぶりに衣装を見て自責の念が再燃する須藤。そんな中、須藤の元に娘の千明を誘拐したとのメールが届き、誘拐犯は須藤になんとブラック・パンテルの姿で救出に来るよう指示してくる!須藤は千明の恋人・戸倉(山本裕典)と救出に向かうが……。悲哀に満ちた中年サラリーマンは、果たして娘を無事救出することができるのか!?

結末

 ブラック・パンテルの前に死んだはずの二ノ宮がドラクル男爵の格好で現われる。さらに工場が爆発し、娘とその恋人のどっちかを助けないといけない状況になってしまう。しかしパンテルは迷わずドラクル男爵を攻撃し、男爵が倒れた瞬間、爆発も、地球に接近していた小惑星も消え、最後に男爵も居なくなる(二ノ宮は幽霊だった模様)。で、最後に主人公が家に帰ったら娘が「お父さん、お母さんとの馴れ初めのことを聞いたよ〜」とか話してきて、最後にパンテルの衣装一式もどこかに消え去ったとさ。おしまい。


コメント

 これは……、「ミステリー」じゃない。「推理」でもなけりゃ「サスペンスとかホラーとかああいう意味のミステリー」でもない。まあ面白かったことは認めますが、トワイライトゾーンみたいなSF話でしたな。と文句を書こうとして番組の趣旨を調べてみたら「ドラマは推理とかミステリーものです」とかは、どこにも書いてなかった……、こいつぁ一本取られたな、ハッハッハ。

 あと言わせて貰うと、30年前でも当時の特撮はあんな鞍馬天狗調じゃなかったぞ。



■総括

 まあ(1話目を除けば)悪くは無かったんじゃないかなぁと思います。そこそこは面白かったし。又吉直樹樹木希林のコントも楽しかったし。