感想:NHK番組「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」(NHK総合版)『File-33 雪男“イエティ”の真実 後編』(2015年3月14日(土)放送)


 NHK番組「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」(NHK総合版)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー - NHK
http://www4.nhk.or.jp/darkside/

 NHK総合での視聴です。(放送:毎週土曜 22:30〜22:50)

『File-34 雪男“イエティ”の真実 後編』


■内容

>天空近く、謎の未確認生物の正体が明らかに!?世界最高峰エベレスト初登頂の偉業に隠された、イエティ伝説の舞台裏。取材班が到着した絶景の聖地で、高僧が語る真実とは?


>吹雪とともに現れ、天空近くの雪原に謎の足跡を残す、全身毛で覆われた巨大生物“イエティ(雪男)”。その正体を求め、現地ヒマラヤで聞き込み調査をおこなうシリーズ。後編では、ついに謎が明らかに!?伝説の村に伝わる「イエティの頭皮」の分析結果は?世界最高峰エベレスト初登頂の偉業に隠された、足跡発見への疑惑とは?標高4000メートル近く、取材班がついに到着した絶景の聖地で、高僧が語るイエティの真実とは?

 BSプレミアム版の「File-11」(2014年12月28日(日)放送)から。


 イエティは具体的な存在の証拠が未だ見つかっていない。チベットでイエティの骨、毛皮、舌、フン、と言われる物は

手の骨=人骨
毛皮 =ヒグマ、カモシカ、など
舌  =カモシカ
フン =ヒグマ

と全て別の動物のものであることが解っている(もっとも「イエティの頭の毛皮」はニセモノと判明していても良い観光名物になっていますが……)。



 イエティ騒動は、1951年にイギリス人登山家エリック・シプトンがヒマラヤでイエティの足跡を見つけたのが始まりだが、そもそもシプトンはホラ吹きで有名だったという。また、既に1930年代にドイツの学者がイエティの話を知っていて、本で「正体はヒグマだろう」という説を書いたところ、シプトンが「本を英訳しないで欲しい」と頼みに来たという。当時世界各国がエベレスト初登頂を狙っており(初登頂は1953年にイギリス隊が達成)、そして登山隊には莫大な費用が必要だった。シプトンは出版業界から登山費用を引き出すため、「エベレストの未知の生物」をでっち上げた可能性が高い

 また、1954年に現地にイギリスのイエティ調査隊が乗り込んだ際、住民に「イエティの手配書」として「類人猿の姿をしたイエティ」の絵を渡し、情報を求めたという。つまり現在の現地での「イエティ=巨大類人猿」というイメージは、現地の伝承では無く『外国人が持ち込んだイメージ』から来ていると思われる。



 チベットの聖地に近づくと、イエティ像は類人猿では無く「坊さんの手伝いをする生き物」「神様」へと変化していく。さらにチベット仏教では、イエティは実在の動物などでは無く、『神マハ・カーラの眷属』で、悪人を懲らしめる存在だという。イエティは、「大自然の脅威のイメージ化」といった、日本でいえば「妖怪」に該当する存在と見て良さそうである。


 しかし、例えば日本の「ナマハゲ」を外人に説明する時、「ナマハゲはナマハゲだ」としか言いようが無い。悪魔でも怪物でも無いからだ。ところが、外人には対応するイメージが無いので、自分に理解できるように強引に既知の存在に当てはめて解釈しようとしてしまうだろう。おそらくイエティにも同じことが起こり、「神の遣い」を強引に理解可能な「巨大類人猿」に変えてしまった、というのがイエティ騒動の真実ではないだろうか。



■感想

 まあ、ロマンもへったくれもない結論ですが、こういう「無いものは無い」とキッパリやるところが良い。