感想:NHK番組「ニューヨーク白熱教室 〜最先端物理学が語る驚異の未来〜」(最終回)第4回「変貌する“心の未来”」(2015年4月24日(金)放送)

 NHK番組「ニューヨーク白熱教室 〜最先端物理学が語る驚異の未来〜」(全4回)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

NHK ニューヨーク白熱教室
http://www.nhk.or.jp/hakunetsu/newyork/index.html

 NHK Eテレでの視聴です(放送:毎週金曜 23:00〜23:54)(2015年4月3,10.17,24日)



■番組概要

4月からの「白熱教室」の新シリーズに登場するのは、世界で最も有名な理論物理学者の一人であり未来学者としても知られるニューヨーク市立大学のミチオ・カク教授。日系3世のカク教授の専門分野は超弦理論と呼ばれる最先端の世界であるが、その興味は今、私たちの未来へと向かっている。21世紀に入ってもなお驚異の発展を続けている現代物理学は、これまでSFとしか思われてこなかった異次元や時間旅行などといった奇妙な世界が、私たちの身近に現実に存在することを解き明かしつつある。現代科学がこのまま進歩したとすると、一体私たちはどこへ行き着くのか?
ハイパースペース(異次元空間)を通っての恒星間旅行や、テレパシーでの交信、さらには私たちの意識や心が肉体を離れレーザービームに乗って宇宙を飛び回り、不老不死が実現する可能性までもが見えてきているという。それは決してSFや絵空事ではない、最先端科学が裏打ちする驚異の未来論である!

第4回(最終回) 変貌する“心の未来”

今回の内容

物理学の発展を背景に、この15年ほどで脳と心、意識とは何かについての理解が急速に進んだ。今後は日々の記憶や仕事のノウハウを互いに送りあったり、人間の人格そのものだと考えられる“神経回路の全体図”をデータとして送信できたりするようになると考えられる。すると宇宙旅行もレーザービームに人間の意識を乗せ、光の速さで行うことが可能になるというのだ。大変貌を遂げる人間の脳と心の未来に最先端の理論物理学者が挑む。

 人の脳は大きく3つに分かれている。

「は虫類の脳」 一番原始的。体を動かす部分。
「哺乳類の脳」 礼儀や社会性を司る
前頭前皮質」 人らしさを担当

 10代の若者が大人から見て無茶なことをするのは、まだ前頭前皮質が発展中だからだ。危険なことをすると命に関わる、と理屈では解っているが、それよりも仲間との見栄の張り合いとかそういったことを優先してしまう。



 技術の発展により人の脳をリアルタイムで調査可能になった。何をすると脳のどの部分が活発に活動するか、などがMRIでわかる。その技術の応用で、脳と機械を繋ぐことが可能になった。これを「ブレイン・マシン・インターフェース」という。怪我や病気で体が不自由になった人たちが、この技術でロボットアームを操ったり、車椅子を動かしたりすることが可能になっている。

 「サロゲート」という遠隔操作ロボットが開発されている。自分の意識で動かせる分身的なロボット。宇宙開発に役に立つ。宇宙に行くのに費用がかかるのは生命維持のシステムが必要だからだ。ロボットは水も空気も食料も要らない。なにより戻ってくる必要が無い。



 脳の記憶は保存できる。マウスに何かを記憶させ、その際の電流を記憶する。時間が経ってマウスが忘れた頃にその電流を送ると、マウスは記憶を取り戻した。将来、認知症の人のために、記憶を保存する「記憶のペースメーカー」が開発されるかもしれない。

 記憶を取り出すことも可能だ。被験者にある映像を見せたあと、MRIを使って脳から電流を拾い、映像を再現することに成功した。かなりぼやけてはいたが、およそ何を見ていたかは判別できた。



 意識とは何か。私は「周囲の環境を評価する方法の集合体」と定義している。サーモスタットは温度を評価するから意識は一単位。植物なら10単位くらい。

意識レベル1 は虫類レベル。温度など空間を評価する。
意識レベル2 ほ乳類レベル。社会を評価する。
意識レベル3 人間レベル。時間を評価する。

 動物には時間の概念は理解できない。人のみが理解できる。心理学でマシュマロテストという物が有る。4〜6歳くらいの子供にマシュマロを一個与え、20分我慢できたらもう一個あげる、という。その後数十年追跡調査すると、そのとき我慢できた子供は社会的に成功していた。欲望を先送りできるかどうかが分かれ目。



 「ヒトコネクトーム」とは神経の回路図のこと。将来的には個人のヒトコネクトームを完全解明できるかもしれない。貴方のヒトコネクトームが残っていれば、あなたは不死だともいえる。将来はヒトコネクトームが保存された「魂の図書館」ができるかもしれない。例えば死んだ祖父が孫と会話するようなことが実現するかもしれない。またヒトコネクトームを送信して他の場所に移動することが出来るかもしれない。隣の恒星系にもわずか4年少しで到達できるのだ。

 ネットの世界も「ブレイン・ネット」と呼ばれる、感情をやり取りできるものに変わっていくだろう。映画もただ映像と音を受け取るだけでは無く、主人公の感情を受け取りながら見る物になるかも知れない。

感想

 最終回。いつものように「勉強」というより、テレビ番組を見ているような楽しいおしゃべりの集合体でした。まあ、これはこれで面白かったので良しということで。