感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン5」第6話「クリスマス・キャロル」

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 ドラマ「X-ファイル シーズン5」(全20話)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン5
http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s5/

 BSデジタル放送「Dlife」での視聴です。

第6話 クリスマス・キャロル CHRISTMAS CAROL

■あらすじ

 お題は「奇妙な出来事」(としか表現しようが無い)。


 スカリーは、クリスマス休暇で母親と共にサンディエゴ(カリフォルニア州)の兄夫婦の家を訪問する。スカリーは母親に、自分は以前に受けた生体実験のせいで、もう子供が作れないことを告白する。やがて家に、謎の相手から『彼女を助けて』という妙な電話がかかってくるが、その声は死んだ姉メリッサそっくりだった。電話の発信元を調べてみると、その家でロバータという女性が自殺していたが、この家から電話が発信された形跡は無かった。


 ロバータの娘エミリーはメリッサの幼い頃とそっくりだった。エミリーは養子で、遺伝子を調べると、メリッサとの親子関係の確率は60パーセントだとわかり、スカリーはエミリーがメリッサが密かに生んだ娘だと確信する。エミリーは不治の難病「自己免疫性溶血性貧血」に冒されていた。


 スカリーは様々な点からロバータの自殺に疑問を抱き、最終的に夫マーシャルをロバータ殺しの犯人として逮捕する。しかしマーシャルは、彼の周りに出没する謎の男たちによって留置所で殺されてしまった。


 スカリーは両親を亡くしたエミリーを養子にしたいと申請するが、福祉委員は難色を示す。直後エミリーの遺伝子の詳しい分析結果が出るが、エミリーの母親はメリッサでは無くなんとスカリー自身だった。次回に続く。


監督 : ヒーター・マークル
脚本 : ヴィンス・ギリガン&ジョン・シバン&フランク・スポトニッツ


■感想

 評価は○。


 休暇中のスカリーが、死んだ姉からの電話をきっかけに事件に巻き込まれる、という変わった導入部のエピソード。「スカリーが主役」「スカリーの死んだ身内に関する霊的な要素が有る」「事件そのものには超常現象は関係しない」という点で、シーズン1・第13話「海の彼方に」を連想した。


 今回はスカリーの休暇先のサンディエゴが舞台となっているため、モルダーは殆ど登場せず、スカリーは代わりに地元警察のクレスギ刑事とコンビを組んで捜査に当たることになる。いつも事件を超常現象に結び付けたがる「変人モルダー」がいないため、話は普通の犯罪捜査ドラマの様な落ち着いたものとなっていて、ちょっと違和感を感じるエピソードになっていた。もっともスカリーとクレスギは名コンビで、二人で証拠を見つけあい、自殺と思われていた事件の真相を解明するなど、それはそれで面白い話となっていた。


 もっとも「今回はこのような普通な話なのか」と油断していたので、最後に唐突に『エミリーの母親は実はスカリーだった』という衝撃要素が明かされて仰天させられた訳だが……


 この話では、シーズン4・24話(最終回)「ゲッセマネ」で初登場したスカリーの兄ビルが再登場し、今回初めて海軍軍人だと明かされる。ガタイがでかくて強面なのも納得というところだろうか。


 今回はモルダーの出番はほぼゼロで、モルダーの出番は「スカリーからかかってきた電話を取る5秒ほどのシーン」しかない。しかもその後スカリーは電話を切ってしまうので、会話シーンも存在しない。実はこのエピソードの撮影時に、モルダー役のデヴィッド・ドゥカヴニーは、主演映画「不法執刀」(1997年/日本未公開)の仕事でスケジュールが空いていなかったため、スカリーが一人で活躍する話を作って凌いだ、ということだったとのこと。


 サブタイトルに「XX パート1」といった表示が無かったため、『次回に続く』という文字には心底驚かされてしまった。あのラストシーンで次に引っ張られたら、次回が見たくもなろうというものである。