感想:NHK番組「コズミックフロント☆NEXT」「観測史上最古!超巨大ブラックホール 誕生の謎」(2015年7月2日(木)放送)


 NHK番組「コズミックフロント☆NEXT」の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

コズミックフロント☆NEXT | NHK宇宙チャンネル
http://www.nhk.or.jp/space/cfn/

 NHK BSプレミアムでの視聴です(放送:毎週木曜 22:00〜23:00)。

観測史上最古!超巨大ブラックホール 誕生の謎


■今回の内容

7月2日の放送
「観測史上最古!超巨大ブラックホール 誕生の謎」


>近づく星、ガス、そして光さえ飲み込んでしまう暗黒の天体、ブラックホール。2011年、地球からおよそ130億光年離れた宇宙の彼方に観測史上最古のブラックホールが発見された。その質量は一般的なものと比較すると1億倍以上という超巨大サイズだ。大きな星が大爆発を起こした後に誕生するブラックホールは、まわりのガスや星々を飲み込みながら成長する。

>しかし、宇宙初期に誕生し、わずかな期間にこれほどに巨大化するのは難しいと考えられてきた。今、世界各国の科学者たちが最新の観測とシミュレーションから研究を進めているが、そこにはブラックホールと銀河の驚くべき関係が明らかになった。一体どのようにして超巨大ブラックホールは生まれたのか、未解明のミステリーに迫る。

 ブラックホール自体は真っ黒で見えないが、ブラックホールが周囲のガスを吸い込む時、ガスが摩擦で過熱され太陽の10兆倍で光り輝くため、結果として光って見える。しかし遠くに有る星からの光は波長がのびるため、赤外線カメラでないと発見できない。


 しし座方面に130億光年の位置にブラックホールが見つかった。しかも質量は通常のブラックホールの一億倍。宇宙誕生は137億年前で、光が地球まで届くのに130億年かかっているので、差し引きすると、このブラックホールは宇宙誕生から7億7千万年後という早い時間でそこまで巨大化した事になる。これは天文学の理屈に合わない。


 前述の通り、ブラックホールはガスを吸い込むと光が発生する。その光が圧力となりガスの吸収速度を遅くするので、結果としてブラックホールが一定時間で吸い込むガスの量には上限がある。これを「エディントン限界」という。つまりブラックホールの成長速度には限界があり、わずか7億年でこんな巨大ブラックホールが出来るはずが無いのである。


 説明には3つの説がある。

1)最初から超巨大恒星が存在し、それがブラックホール化したので、ブラックホールも大きい
2)銀河の中心にはブラックホールがある。複数の銀河が衝突してブラックホールが合体した
3)冷たい空気が重くなって急速に下に流れ込む「コールドフロー」現象が、ガスでも起きて、エディントン限界を超える速度でガスがブラックホールに流れ込んだ

 どれが正しいかはまだ解らない。



 銀河の中心には超巨大ブラックホールがあることが解っている。ブラックホールと銀河中心の星が集まった部分「バルジ」の質量は、どの銀河でもほぼ1:200の関係にある。つまりブラックホールと銀河の大きさには互いに関係が有るらしい。これを「共進化」と呼ぶ。


 ブラックホールはガスを吸い込む「ガス円盤」とは垂直な方向にガスを吹き出す「ジェット」または「アウトフロー」という流れが存在する。ブラックホールがガスを吸い込む時に光を発するが、それがガス円盤の方向には進めず、円盤とは垂直の方向に光が発せられる。その光の圧力で吸いこみかけたガスが垂直方向に吹き出してしまうのである。この流れでバルジの中のガスはどんどん減っていき、星が生まれなくなる。ブラックホール自体の成長も止まる。つまり銀河とブラックホールの成長は互いに密接に関係している。



■感想

 ブラックホール大特集。密度が濃すぎて頭がパンクしそうでしたが、それだけに視聴のし甲斐が有りましたな