NHK番組「謎解きLIVE 美白島殺人事件」(全2回)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)
■NHK 謎解きLIVE 美白島殺人事件
http://www.nhk.or.jp/nazo/index.html
NHK BSプレミアムでの視聴です(放送日:2015年7月19日(日) 22:50〜0:20)。
※過去の「謎解きLIVE」の情報→ 「謎解きLIVE」シリーズ内容・感想まとめ
ファン待望のミステリー番組『謎解きLIVE』。鬼才我孫子武丸が仕掛けた離島ミステリーにマキタスポーツ、市川紗椰らくせ者ゲストが挑む!今夜、衝撃のラストを目撃せよ
ファン待望のミステリー番組『謎解きLIVE』の第3弾。舞台は“美白島”の異名をもつ絶海の孤島。満月の夜の悲劇、姿を消したアイドル、謎のダイイングメッセージ…鬼才、我孫子武丸原作の本格ミステリーにマキタスポーツ、市川紗椰、イシイジロウら曲者ゲストが挑む!データ放送で謎解きに参加できる双方向エンターテインメント。見事推理できれば放送でニックネームが表示される。今夜は解決編。衝撃のラストを見逃すな!
出演者ほか 【ゲスト】イシイジロウ,市川紗椰,マキタスポーツ,【出演】金澤美穂,椎名琴音,森岡龍,大鳥れい,テイ龍進,鯨井康介,東亜優,宇野祥平,狩野見恭兵,御伽ねこむ
http://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2015-07-19&ch=10&eid=15242&f=2906
視聴者参加型推理番組の第三弾。原作は我孫子武丸。推理ドラマの内容を一定の区切りごとに放送して、その度にゲスト三人に段階的に推理をさせるというもの。また視聴者も推理に参加し、データ放送で自分の考えを送信できる。一夜と二夜の間にも、公式サイト上で番組中に放送されなかった新しい手がかりが随時表示される。
第二夜
■あらすじ
河野創太が何者かに頭を殴られ、持っていたビデオカメラを奪われる。
以下に事件の真相・犯人を書いてあります。
■犯人
犯人は「山下隆弘」(広告代理店プロデューサー)。
■推理の流れ
容疑者たちは以下。
河野創太 高校生
宮脇千夏 アートディレクター
貴島翔(きじま・かける)カメラマン
木村章一 社長秘書
香坂ほのか 社長専属メイク
山下隆弘 広告代理店プロデューサー
殺害現場を見ると、血だまりが二箇所ある。つまり犯人が死体をずらしたことが解る。となれば、ダイイングメッセージは被害者では無く犯人が書いたニセ物と判断できる。「ショウ」と書かれていれば一番に疑われるのは「木村章一」。犯人が自分に疑いがかかるような工作をするはずは無い。
★木村章一 は犯人ではない。
野々村社長のノートパソコンの書きかけのメールは「ご依頼のエッ」という文章で終わっていた。野々村社長はローマ字入力である事が前日描写されていた。ローマ字入力では普通に入力していれば「ッ」で終わることはない。つまり「それ以後にあった文字が削除されている」ことを意味する。おそらく続く文章には犯人を示す本当のダイイングメッセージが残っていたが、犯人が削除した。
メールは深夜2:12に自動保存されていた。3分毎に保存するので、犯人がメールを削除したのは2:09頃。その時間帯に貴島翔は海岸で写真を撮っていたことが解っている。犯行現場まで15分はかかるので、貴島翔は犯人ではありえない。
★貴島翔 は犯人ではない。
河野創太が襲われた理由は、船の中で撮影した画像に有ると推測される。実は船の中で野々村社長がバッグを落としたとき、フラッシュメモリが入っていたのに、犯行現場には残っていない。犯人はメモリを盗んだことを気づかれないように、証拠画像を消してしまいたかった。ところが、宮脇千夏は船に乗っていなかったので、創太がメモリを撮影している事を知らない。つまり創太を襲う理由が無い。
★宮脇千夏 は犯人ではない。
犯行の夜、仁科三子と河野創太が居なかったのは、創太が三子を呼び出して告白したから、しかし創太はふられたので、他人に黙っていてくれと頼んでいた。
★河野創太 は犯人ではない。
三子は香坂ほのかに自分がメモリのデータのコピーを持っているとかまをかけ、香坂ほのかは動揺し取り返そうとした。ほのかは結局「漆原朱里がNNM社の化粧品のせいでかぶれが起きた事」「野々村社長がそれを隠蔽するため、朱里の事務所に口止め料を払っている事」「ほのかも口止めのための金をもらっていること」「その金の流れのデータがメモリに入っていること」を白状した。
犯人の目的はデータを世間に公開し、朱里の醜聞を打ち消そうとしたもののはず。その場合データのコピーが残っていても問題は無いので、取り戻す必要は無い。
★香坂ほのか は犯人ではない。
■真相
山下は、犯行当日、自分が気に入っていたアイドル「漆原朱里」が、半年前業界から姿を消した理由を知る。それは化粧品のポスターの撮影当日、野々村社長の会社の化粧品が原因で肌がただれてしまい、撮影不可能になったためだった。野々村社長はその不祥事をもみ消すため、朱里の事務所に大金を送って口封じを行なう一方、朱里自身に問題があったような醜聞をでっちあげ、自分たちから目をそらさせていた。
深夜、木村章一からそれを聞いた山下は野々村社長の部屋に行き、真実を明かすように要求するが拒否されたため、メール作成中の野々村社長の頭を殴りつけた。そのあと慌てて指紋を拭き消した。またパソコンに刺さっていたフラッシュメモリの内部に金の流れのデータがあったため、メモリを奪った。
ところが殴られた野々村社長は死んでおらず、瀕死の状態でパソコンのメールに山下の名前を書き残した。山下はそれに気がつき、慌ててもう一度殴りつけ今度こそ本当に殺害し、メールの文章を削除した。
そして「貴島翔」(きじま・かける)に罪をなすりつけようとして血でニセのダイイングメッセージを残すが、「翔」を「ショウ」と勘違いしていたため、「ショウ」と書いてしまった。
また犯行後、「SK」のイニシャルのかばんを「ショウ、キジマ」のものだと思って、野々村の部屋の鍵を隠したが、実際は「木村章一」(ショウイチ、キムラ)のものだった。
■最後
桃が山下に拉致され、居場所の写真として海岸線が写っていた。三子たちは「夕方に月が浮かんでいるから東の空」と判断して助けに行き、桃を救出したものの、山下は取り逃がしてしまった。
■感想
うーむ…… 論理によってキッチリと犯人を割り出せる、という点では問題は無いのですが、超有名作家の我孫子武丸氏の原作なら、もっと凄い色々があるはずだと思っていたので、ちょっと拍子抜けというか……
結局、貴島の祖父の事とか、河野創太の怪しげな台詞とか、放送部員が廃墟で撮影した画像、とか、全部ただの目くらましだったという……、後半で総てが見事に連動して壮大な絵が描かれるのかと思っていたので、「実はそれらは事件には何の関係も無かったよーん」と言われて唖然としました。いやまあ、易々と真相にたどり着かせないため、擬似餌をばらまくのは解るけど、期待が凄すぎて意外に話の底が浅いのでガッカリしたというか。まあそういいながら推理は全く当たらなかったので大きなことは言えませんけとね。
野々村社長のバッグから「細長いもの」がなくなっているのは気が付いていたのですが、てっきり「ライター」だと思っていて、「えっあれメモリーだったのか」とか驚いていた時点で、推理に参加する資格はなかったのか……
最後の謎解きは
●「菜の花や月は東に日は西に」。この俳句が詠まれた日はいつなのか?(tenki.jpサプリ 2015年4月3日) - 日本気象協会 tenki.jp
http://www.tenki.jp/suppl/romisan/2015/04/03/2481.html
夕方に満月が浮かんでいるから、それは東の空、という事なのかな? しかしこの局面、視聴者の選択が東の方が多かったので東に行って正解でしたが、もし西に行っていたら桃は殺されていたとかのダークな結末だったとか?
既に第四弾が企画されているみたいで、しかも原作は綾辻行人が書くみたいです。またまた楽しみだなぁ。
前編のあらすじ・感想→ 美白島殺人事件 第一夜
■参考
http://www.nhk.or.jp/nazo/bihaku/about/index.html
ミステリーを愛してやまない諸君に送る極上の2日間、謎解きLIVE。喜んでほしい、諸君に満足いただけそうな事件がまた起こりそうだ。
しかも今度は離島らしい。“島”と言えばミステリーの本場だ。アガサ・クリスティ『そして誰もいなくなった』、横溝正史『獄門島』、そして前回放送した『忍びの里殺人事件』でCATSにお招きした論客、綾辻行人氏による『十角館の殺人』など数々の名作の舞台となった伝統と格式のある閉鎖空間だ。
しかも原作は、あの、我孫子武丸氏だ。大いに期待してもらいたい。
事件が起こるのは7月18日と19日の2日間。
今回は2夜目の放送時間が30分延びて、両日とも90分となった。就寝時間が遅くなるが7月20日は海の日だ。夜更かしできる諸君は思う存分推理の世界に浸ってほしい。そういうわけにはいかない諸君もそれぞれのやり方で楽しんでいただければ幸いだ。
今回も、諸君の推理力をいかんなく発揮してもらえるよう、当ホームページで捜査情報の随時公開を行う。事件の分析に役立ててほしい。
なお、特別企画として、現場検証にバーチャルリアリティー技術を導入した。これは事件現場の映像を360度全方位撮影することで、あたかもその場にいるように全てを見ることができるというものだ。
一夜目の放送中にホームページでアクセス可能にする予定だ。是非とも試していただきたい。また自説を披露したい諸君に向けた投稿機能は今回も用意している。プレミアムメンバー試験を受けてパスする必要があるが、今回は少々簡単すぎたかもしれない。優秀な諸君なら瞬殺だろう。
(そういえば、忍びの里に登場した、おばさんズのブログを見るに出てきた7文字の合言葉がおわかりになった諸君はいるだろうか?この合言葉でも投稿機能は使えるようにするので利用してもらいたい。なお、正解は一夜目のドラマパートの冒頭に登場するとの報告を受けている。)もちろん放送を楽しむのに試験は必要ない。データ放送を使って簡単な操作で推理の結果を送信することができる。つまり、一夜目、二夜目それぞれ成績優秀者は二夜目の放送終了時にニックネームを紹介させていただく予定だ。
また、スタジオにCATSが誇る名探偵にお集まりいただき、推理のお手本を披露していただくのもこれまで通りだ。今回も一癖も二癖もある論客をご招待した。ひとの推理に耳を傾けるのもまた名探偵への一歩である。
では、諸君の健闘を祈る。
演出 前野朋哉 脚本 登米裕一
出演 金澤美穂 椎名琴音 森岡龍 大鳥れい テイ龍進 鯨井康介 東亜優 宇野祥平 狩野見恭兵 御伽ねこむ 前野朋哉 横山真哉 大沢逸美