もう一年以上前に発売された雑誌の話題になりますが、エロゲ雑誌「バグバグ2014年6月号」で、エロゲのシナリオライター出身のラノベ作家たちの匿名座談会が記事になっていたので、内容をご紹介。この手の「エロゲシナリオ書き→作家様に」というキャリアアップについて知りたかったので、なかなか興味深かったですよ。
作品がアニメ化された経験が有るライターが混じっているとのこと。誰だ?
ラノベやエロゲの原稿料の価格からレーベル同士の争い等、ラノベ業界の裏ネタ満載!!巷で話題沸騰な「ラノベライター匿名座談会」は現在発売中のBugBug6月号に全7ページ15000字超の大ボリュームで掲載中!! pic.twitter.com/dXOpGNwGEk
— BugBug編集部 (@bugbug_info) 2014年5月7日
●BugBug編集部
https://twitter.com/bugbug_info/status/463987139399528448
ラノベやエロゲの原稿料の価格からレーベル同士の争い等、ラノベ業界の裏ネタ満載!!巷で話題沸騰な「ラノベライター匿名座談会」は現在発売中のBugBug6月号に全7ページ15000字超の大ボリュームで掲載中!!
内容
◆作家になったきっかけは?
飲み会で知り合いの編集者に誘われた、という人ばかり。
◆今(2014年時点)の業界の状況
新刊が以前より売れなくなっている。パイ自体はそのままだろうが、作家も刊行点数も多すぎるため、一冊あたりの売り上げが落ちている。ゲームの成熟期の状況に近い。数が多すぎて「見栄えのいいもの」「解りやすいもの」が売れる。そしてみんな右に倣えで同じようなものばかり出す。
◆企画書
編集者に新刊の提案をする企画書。ゲーム業界からラノベに進んだ人は企画書が通りやすいと思う。理由はゲーム業界時代に、自分の作品をアピールする企画書作りに慣れているため。ラノベを冷静に「商品」として見ているから、商売として通用するか分析して作っている。それにゲーム業界時代に通らなかった企画を溜めているから(笑い)、若々しくなくてこしゃくな企画が多い(笑い)。
◆アニメ化
作品がアニメ化されても、別に声優と親しくなれたりはしません(笑い)。ただし放送に合わせて重版がかかるのはありがたい。それに原作料も入る。しかし、他の作品が売れるということはない。ラノベのファンはあくまでシリーズに付くのであって、(よほどの大物でもなければ)作家個人には付かない。アニメ化されれば次の作品は必ず本屋に置いてもらえるのはメリット。
◆収入
エロゲライターよりラノベ作家の方が儲かる。エロゲライターは頑張っても年収500万円。業界の悪習として企画やプロットに金を出さない。またメインライターもサブライターもテキスト代がほぼ同じなので、メインは儲からない。一番割が良いのはヘルプライター(※本来書く人が書けなかった時の助っ人)。ただしヘルプのままでは将来は暗い。
単価は、ゲームのライターなら、普通はキロ1000〜2000円。凄くいいところならキロ2500円。耳にした最高は3000円。ラノベなら新人の1冊目でキロ5000円。ラノベは印税率は8〜10パーセント。アニメ化されるとアップする。
(※文字数について。1キロバイト=1024バイト=512文字、という計算だと思います)
◆イラストレイター
収入は、ラノベでは表紙を含めたカラー3〜4枚とモノクロ10枚で30万円。ただし印税は低くて2パーセント付く人はほぼいない。
誰に描いてもらうかは、自分の希望もあれば、編集者が候補を出すこともあり。
ゲーム業界では「絵描き:主、ライター:従」だが、ラノベでは「ライター:主、絵描き:従」と、関係が真反対。
◆アニメの脚本
アニメのシナリオライターは一番割が良い。1本15〜20万円。量は50〜70キロ。シリーズ構成を担当すればDVD発売時にロイヤリティも入る。数年前までは、アニメのライターは基本的にエロゲライターを馬鹿にしていた。「エロゲなんて自分たちがアルバイトで受ける程度のもので、それを本業にしている連中なんて……」という態度。
◆志望者へのアドバイス
就職して社会経験を積め。シナリオの会話の機微は相手への思いやりから来る。社会経験が足りなくて、会話相手をゴミのように扱う酷いキャラを作る人がいる。ゲーム会社でもいいから就職しなさい。
作品は完成させましょう。いつまでもこだわって完成させられないのはダメ。
人として当たり前ですが、時間を守るとか言われた事に従うとか、約束を守りましょう。
感想
匿名だからぶっちゃけトークが多くて面白かった。収入の話なんぞ、ネットならともかく、出版物として出てくるのはなかなか無いのでは? こういう事をこそっとやってくるから、バグバグも侮れないですな。
Bug Bug (バグバグ) 2014年 06月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: マガジン・マガジン
- 発売日: 2014/05/02
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