感想:NHK番組「禁断のホラーミステリー 怪異TV」(最終回)第3話「怪談少年A」(2015年8月20日(木)放送)

流行り神 Revenge 警視庁怪異事件ファイル

 NHK番組「禁断のホラーミステリー 怪異TV」(全3話)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■禁断のホラーミステリー 怪異TV - NHK
http://www4.nhk.or.jp/P3629/

 NHK BSプレミアムでの視聴です(放送日:2015年8月6日(木)、13日(木)、20日(木) 21:00〜22:00)。


こちらもどうぞ→第1話「消えたルポライター」 第2話「呪いのタイムリミット」

■作品概要

日本各地で起こる怪事件に、架空の番組「怪異TV」のスタッフたちが挑む。謎を解くため、スタッフは民俗学の専門家や大学教授にインタビューを行い、各地に実在する民間伝承の調査を進める。浮かび上がるのは「幽霊画」「呪い」「学校の怪談」など、怪異の世界のキーワードだ。それらをヒントに、次々に謎を解き明かしていく。ドラマとドキュメンタリーが融合した知的ホラーミステリー

 ドラマとドキュメンタリーを融合させた番組です。


 基本となるドラマパートでは、「ドキュメンタリー風」に、オカルト番組「怪異TV」のスタッフ(山中崇氏演じるレポーター「山中崇」他)が、何かしらの理由で日本各地の民間伝承の調査を行なう、というストーリーが展開されます。


 途中、調査の過程でスタッフが専門家たちに取材する、というシーンが描かれますが、ここはドラマでは無く、ガチのドキュメンタリーで、相手は「俳優」では無く「現実の専門家や関係者」です。つまりストーリー自体は虚構ですが、その中に「事実」が組み込まれている、という、なんとも不思議な番組です。そして「ドラマ」と「ドキュメンタリー」のパートが交互に繰り返され、最終的にドラマにオチがつきます。なお、「ホラーミステリー」とか煽っていますが、全く怖くありません。


第3話(最終回) 怪談少年A

■あらすじ

第3話「怪談少年A」


「怪異TV」の取材班が、各地に伝わる民間伝承や専門家の話をヒントに、日本各地で起こる怪事件に挑む。ドラマとドキュメンタリーが融合した知的ホラーミステリー。第3話は「怪談少年A」。怪談にとりつかれた少年が、トイレで「不思議なもの」を見たという。その正体を追って東北の被災地にたどり着いた取材班。彼らは、怪談が持つ奥深さに触れていく。


【出演】山中崇,國武綾

1.ドラマパート

 オカルト専門番組「怪異TV」のスタッフは、「息子がおかしくなったのは怪異TVのせいだ」と視聴者からクレームを受け、事情を聞きに行く。母親によれば、小学生の息子が怪異TVのせいですっかり怪談にはまってしまい、部屋は怪談グッズばかりだという。スタッフは、その子供について調べてみると、大の怪談好きで学校ではクラスメート相手に怪談会を主催しているほどのはまりようだったが、別段異常とは思えなかった。


 ところが、ある日、その少年が学校のトイレで幽霊を見た、と言い出し、寝込んでしまったという。本人が描いた絵には、黒づくめの不気味な何かが描かれていた。



2.ドキュメンタリーパート

 俳優としての「山中崇」氏が、学校の怪談に詳しい大学の教授、「深川怪談」の集まり、東北の被災地での怪談、などについて調べていく。


・子供たちが長い時間を過ごす学校で肝試しなどをするのは自然なこと。大人は「子供は純真無垢」などと考えがちだが、子供は子供で心の中に色々と抱えている。


・人々が不安を感じる時代、関東大震災頃や戦前の国が戦争に突入しかけている時期、に怪談は流行した。そして今また現代も流行の兆しを見せている。


・怪談とは、愛、憎しみ、その他が総てつまった最高の文学だ、という考え方。


・東北の被災地での怪談。亡くなった人について語ることが癒しとなる。

etc。



3.最後のドラマパート

 怪異TVのスタッフは、その少年が心の中に何かを抱えているのではないかと推理する。母親によれば、「幽霊」は、長年可愛がっていて先日死んでしまったハムスターの絵にどこかしら似ているという。少年はハムスターを失った悲しみを表に出さないようにしていたものの、我慢しきれずに吹き出してしまったのかもしれない。その後少年の体調は元に戻り、また元気に怪談会を開くようになった。


■感想

 今回もホラーというほどでもなかったのですが、「怪談に関するウンチク番組」と捉えれば、それなりに面白かったという気もいたします。しかしあの「幽霊」の絵を見て、即座にハムスターだと気が付く母親凄い。

■総括

 番組タイトルがメチャクチャ煽りまくっているので、夏に相応しい恐怖ドラマなのかと思っていたら、わりとマイルドな展開だったので、そういう意味では拍子抜けでした。まあ、現実の関係者へのインタビューを挟み込む「ドキュメンタリー」要素も有る以上、あまりムチャクチャな展開にはできなかったのでしょうが……


 ドラマと現実の融合、という、一見すると魅力的なアイデアの番組ではありましたが、視聴者を虜にするほどの面白さを作り出せなかったという残念感が有りますね。


 でもまあ、そこそこには面白かった、とは言えるでしょう。

★参考

●"怪異TVのリポーター・山中崇"を演じてくれた山中崇さん?! 〜禁断のホラーミステリー「怪異TV」〜 BY 浜野高宏 | セレクション | SPECIAL COLUMN | NHK BSオンライン
2015年08月03日
http://www.nhk.or.jp/bs-blog/800/224389.html