ドラマ「X-ファイル シーズン2」(全25話)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)
■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン2
http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s2/
BSデジタル放送「Dlife」での視聴です。
第18話 恐怖の均整 FEARFUL SYMMETRY
■あらすじ
EP18 恐怖の均整
動物園から象やトラなどの動物が謎の失踪を遂げ、まったく違う場所で発見される事件が続発する。モルダーとスカリーが捜査を進めるが、動物愛護団体が疑われ・・・。
お題は「異星人による(動物の)誘拐」。
ある夜、街で透明で巨大な「何か」が暴れ、死者が出る事件が発生した。翌朝、街外れで象の死体が発見される。あまりに不可思議な事件にモルダーたちが捜査にやって来た。象は近くの動物園で飼われていたと解るが、どうやって逃げ出したのか不明で、スカリーは過激な動物保護団体「WAO」が象を逃がしたと疑う。続いて、夜の動物園に忍び込んだWAOのメンバーが、見えない猛獣に襲われて殺される事件が発生する。その後今度は虎が動物園から消えていることが発覚し、街中をうろついているところを射殺される。
モルダーは、動物園では子供が一匹も生まれていないこと、死んだ象に妊娠した形跡があったこと、さらに手話ができるゴリラの奇妙な証言、から、異星人が動物を人工授精で妊娠させたあと、誘拐して子供を取り出し、最後に地球に送り返していると推理する。だが帰還時に時空の歪みが発生したため、元の場所に戻れず、さらに透明化してしまったらしい。モルダーの推測では、異星人は絶滅の危機にある動物たちを、地球人に代わって保護しようとしていた。
一連の騒ぎで動物園は閉鎖が決まるが、今度はゴリラが消えてしまった。モルダーは今度は異星人の仕業では無く、園長がかわいがっているゴリラをどこかに隠したと考える。モルダーはゴリラの隠し場所を突き止めるが、その目の前でゴリラは光と共に消え去り、翌朝別の場所で車にはねられた死体で発見される。
監督 : ジェームズ・ウィットモア・ジュニア
脚本 : スティーブ・ジャーナット
■感想
評価は○。
基本的には「異星人による誘拐」話だが、色々な要素をごたまぜにして一つにまとめたかなり変なエピソード。しかしヘンな話なりに面白い。
冒頭、目に見えない怪物(?)が街を破壊したあと、つづいて道路を走り回る象が見つかり、さらに動物園を敵視する過激な動物保護団体が登場し、と、ストーリーがどこに向かって進んでいくのかさっぱり解らない。それだけに、モルダーが死んだ象の妊娠の形跡から強引に異星人関与説をひねり出すのにはあっと驚かされる、というか結構回りくどい話である。しかし、意外にも話に矛盾や破綻は無いのはそれなりに好印象。
また、園長のウィラの、手話のできるゴリラ・ソフィーへの拘りもちゃんと終盤の伏線になっており、終盤にウィラがソフィをかくまおうとして殺人を犯したあと、モルダーたちに「ソフィもどこかに消えてしまった」とシラをきるあたりが、超常現象話にミステリ要素を加味したトリッキー展開でちょっと楽しかった。
異星人が地球上の生物の絶滅を危惧し、自分の星に保護しようとする、というアイデア自体はそう独創的でも無いが、そこに「動物が地球に戻される際に透明化して園の外に出てしまう」という要素を加えているのはなかなか面白い。もっとも、「異星人はこんな場末の動物園から誘拐せずに、アフリカとかその辺りから連れ去ったほうが騒ぎになら無くてよいのでは」とか思ったりもしたわけだが……
途中、モルダーは特に意味も無くローン・ガンメンとテレビ電話で会話をする場面が有るが、何故かフロハイキーとバイヤーズは出てくるのに、メガネ長髪のラングリーはテレビ電話が信用できないとかいう理由で画面に出てこない。ローン・ガンメンの登場の必然性もないし、また三人一緒でない、と謎だらけの場面だった。