感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン3」第9話「二世」

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 ドラマ「X-ファイル シーズン3」(全24話)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてあります。ネタバレにご注意ください)

■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン3
http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s3/

 BSデジタル放送「Dlife」での視聴です。


第9話 二世 NISEI

■あらすじ

http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s3/
EP9 二世
モルダー捜査官がエイリアンの解剖ビデオを捜査していたところ、そこに旧日本軍731部隊のある医師が浮かび上がるが、スカリー捜査官はその医師の顔に見覚えがあった。

 お題は「地球外生命体、アブダクション」。


 モルダーは、通販で「異星人解剖ビデオ」を購入するが、内容は四人の日本人が何かを解剖しているというもので、最後に手術室に軍隊が突入するシーンでいきなり終わっていた。映像は衛星放送アンテナで偶然に受信されたものだという。モルダーは真偽確認のため販売者を訪問するが、既に殺されており、現場で不審な日本人サクライを逮捕する。


 サクライは日本の外交官だったため、すぐに釈放されるが、直後に誰かに殺害される。モルダーはサクライの持っていた写真から、サクライたちが太平洋で『何か』を引き上げ、アメリカに持ち込んだことを知る。モルダーは、マディソン上院議員からの情報で、数週間前に四人の日本人医師が殺されたこと、また四人が太平洋戦争中に非道な人体実験を行なっていた「731部隊」に所属していたこと、をつかむ。


 一方、スカリーはサクライの持っていた「UFOサークルの名簿」の調査に当たるが、サークルのメンバーからスカリーを知っていると言われ困惑する。メンバーは全員女性で、全員誘拐体験があり、さらに首の後ろに「マイクロチップ」を埋め込まれていたという。そしてメンバーの一人は実験のせいで全身にガンが転移しこん睡状態だった。スカリーはマイクロチップを調査し、異星人では無く人類の最先端技術の産物であることを知る。


 手がかりを追うモルダーは、特別列車に宇宙服の様なものを着た誰かが連れ込まれるのを見て、異星人だと確信する。ミスターXはスカリー経由でモルダーに深入りするなと警告するが、モルダーはかまわず列車の屋根に飛び乗る。続く。


監督 : テビット・ナッター
脚本 : クリス・カーター&ハワード・ゴードン&フランク・スポトニッツ


■感想

 評価は◎。


 第2話「ペーパークリップ」の直接の続編で、さらなる異星人・政府の陰謀関係のエピソードが展開される。X-ファイルの「本筋」とも言えるエピソードのため、さすがに力が入っている。


 1990年代に真偽が話題になった異星人解剖フィルムが、上手く話の導入部に使われている(※この話のアメリカでの放送は1995年)。正体不明の謎の映像が偶然受信され、それが回りまわって手元に届く、といった展開は、都市伝説系の王道で、オカルト好きには堪えられないものがある。


 ただし、サクライと遭遇してからの展開はかなり慌しく、話を追うのが難しくなる。ただでさえモルダーとスカリーが別行動をとる上、モルダーはローンガンメンの溜まり場・港・上院議員事務所・操車場・駅、などを駆け回るため、状況の把握だけで一苦労。さらに、二人の知らないところでアメリカ政府のエージェント(多分)が暗躍して暗殺を繰り返すため、正直、状況の把握はきわめて困難である。もちろん、故意にこの様な構成にして、続編への期待をあおるというテクニックかもしれない。


 スカリーがUFOサークルのメンバーに取り囲まれて、全員に「あなたを知っている」と言われた上、全員が得意げにマイクロチップの入った小瓶を取り出すシーンは、実に不気味だった。見知らぬ他人十数人全員から「UFOに誘拐されました、そしてあなたのことは前から知ってます」とか告げられたら、スカリーでなくても気味が悪くなって当然だろう。


 今回は、モルダーが謎の兵隊に追い詰められて背広のまま真冬の海に飛び込んだり、橋の上から走っている列車の屋根に飛び降りたりと、似合わないアクションシーンを連発するが、スペシャル編ならではのサービスだろうか。


■一言メモ

 このエピソードと、続編の第10話「731」は、1990年代のテレビ朝日地上波放送では未放映だった。残虐シーン等があるわけでもなし、不思議な話だが、「731部隊」絡みのエピソードという事で、テレビ朝日が厚生省とか製薬会社に気を使って自主規制したのだろうか。


■もう一言

 モルダーがサクライを捕まえるシーンで、サクライはカラテの蹴りでモルダーを吹っ飛ばすんですよ……、1995年になっても、アメリカ人の感覚は「日本人=みんなカラテの達人」だったんですね……、トホホ。あと、サブタイトルの「二世」が今回の内容と全く関連していないのはどういうことなのでしょうか。