感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン3」第15話「海底」

X-ファイル シーズン3 (SEASONSコンパクト・ボックス) [DVD]

 ドラマ「X-ファイル シーズン3」(全24話)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてあります。ネタバレにご注意ください)

■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン3
http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s3/

 BSデジタル放送「Dlife」での視聴です。


第15話 海底 PIPER MARU

■あらすじ

http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s3/
EP15 海底
サルベージ船の乗組員が、全員何らかの放射能を浴びた状態で発見された。唯一の生存者を追って捜査を続けるモルダー捜査官の前に、父親を殺したクライチェックが現れる。

 お題は「地球外生命体、政府の陰謀」。


 スカリーは、スキナーから(第1話「祈り」で)射殺されたスカリーの姉メリッサの捜査が打ち切られたことを知らされる。スカリーはスキナーに、何者かの圧力によるものだと不満を漏らす。その後スキナーの前に情報部員と名乗る男たちが現われ、部下にメリッサの件について詮索させるなと脅しをかけてくる。


 モルダーは、サンディエゴに入港したフランスのサルベージ船「パイパーマル」の乗員たちが、大量の放射線を被爆して大火傷を負っているという情報を掴む。パイパーマルが作業していた場所は、(第9話「二世」で登場した)タラパス号が海底からUFOらしき何かを引き上げたのと同じ海域だった。船員の中で唯一被爆していない男がいたが、実はその男は海底で「何か」に取り付かれていた。


 モルダーたちはパイパーマルを調べ、船員が引き上げようとしていたのは、海底に沈んでいた太平洋戦争当時のアメリカ軍の戦闘機P-51だったことを知る。スカリーは父親の友人の軍人に会いに行き、そのP-51についての話を聞く。太平洋戦争中、軍は原爆を積んだまま海底に沈んだ飛行機を潜水艦で回収に向かわせたものの、乗員が次々と謎の大火傷を負ったため、成果の無いまま帰還せざるを得なかったのだった。


 一方、モルダーは唯一被爆していない船員に会いに行くが、男に取り付いていた「何か」は、今度は男の妻に乗り換えて姿をくらましていた。モルダーはフランス政府にP-51の情報を売った女情報屋を尾行して香港にたどり着くが、そこでクライチェックと再会する。モルダーはクライチェックに(第2話「ペーパークリップ」で)彼が持ち逃げした異星人関係のテープを渡せと脅す。クライチェックはそれに同意するが、空港のトイレで「何か」が取り付いた女に襲われ、今度はクライチェックが取り付かれてしまう。


 同じ頃、スキナーは何者かに撃たれて重傷となっていた。続く。


監督 : ロブ・ボウマン
脚本 : クリス・カーター&フランク・スポトニッツ



■感想

 評価は○。


 久々の異星人・UFO関係のエピソードだが、今回の話は、第1話「祈り」・第2話「ペーパークリップ」・第9話「二世」の完全な続編となっており、そろそろマニアにしか理解できない展開になりつつある。


 X-ファイルでは、異星人関係の話は他の単発エピソードと比較してレベルが高いが、今回の話は例外で、突っ込みどころが実に多い。冒頭、海底に沈んでいた戦闘機の中の人間から「何か」が潜水スーツを着た男に乗り移るのだが、潜水スーツは当然完全密閉されているので、例えアメーバー状生物でも乗り移りは不可能であろう。またスカリーが父親の友人に話を聞きに行くと、丁度その人物が問題のP-51についての当事者だったという都合の良さも苦笑物だし、また軍事用の潜水艦では、目標地点に到達しても引き揚げ作業は出来そうにもない。


 しかし、ストーリーの練りこみの甘さはともかく、海底から浮上してきた謎の生物の描写は秀逸だった。この生物に取り付かれた人間は、白目の部分に黒い液体状のものが動き回り、時には目全体が真っ黒になってしまうのだが、これが非常に不気味である。また、取り付かれた人間は放射線を発して周囲の人間を被爆させて殺すという超能力を発揮するようになり、突如全身を光らせて邪魔な情報部員たちを一掃するシーンが印象的だった。