感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン3」第16話「アポクリファ」

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 ドラマ「X-ファイル シーズン3」(全24話)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてあります。ネタバレにご注意ください)

■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン3
http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s3/

 BSデジタル放送「Dlife」での視聴です。


第16話 アポクリファ APOCRYPHA

■あらすじ

http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s3/
EP16 アポクリファ
政府が第二次大戦時に米軍が落としたUFOを引き上げた。それを知ったモルダー捜査官は、さらに詳しい情報を得るため、ウェル・マニキュアドマンに接触するのだが・・・。

 お題は「地球外生命体、政府の陰謀」。


 第15話「海底」の続き。


 1953年。モルダーの父ビルやスモーキング・マンたち国務省の人間は、被爆した潜水艦の乗員から事情聴取をしていた。その証言で、潜水艦の艦長が黒い液体の様な生物に乗っ取られていたこと、その生物は艦長の体を捨てると艦の外に脱出したこと、が判明する。


 現代(1996年)。モルダーはクライチェックを連れてアメリカに戻るが、秘密組織の人間に襲撃され、クライチェックに逃げられてしまう。クライチェック(の体を操る宇宙生物)は、スモーキング・マンの元に乗り込むと、「MJ」テープと引き換えに何かの隠し場所を教えろと要求する。


 一方、秘密組織の幹部たちは、スモーキング・マンがスキナー襲撃という過激な行動に走ったことを憂慮していた。そしてウェル・マニキュアード・マンは、スモーキング・マンの行動をけん制するため、モルダーと接触し、現状についての情報を与える。それは、太平洋戦争中、軍が「フー・ファイター」と呼ばれていたUFOを撃墜し、回収しようとしたが失敗したこと、その後秘密組織がUFOを引き揚げた、というものだった。


 一方、スカリーはスキナー襲撃犯が、姉メリッサを殺害したのと同一犯であると知る。犯人はスキナーを再襲撃するがスカリーに捕らえられ、命乞いをしてクライチェックがノースダコタ州の廃棄されたミサイル基地に向かったと教える。モルダーとスカリーもクライチェックを追い基地に侵入するが、スモーキング・マン率いる兵士たちに捕まって追い出される。クライチェックを支配していた未知生物は、求めていたUFOにたどり着き、クライチェックの体を捨ててUFO内に戻っていった。


 その後、スキナー襲撃犯は独房の中で殺されているのが発見された。そして最後、誰もいないUFOの隠し場所で、正気に戻ったクライチェックが「ここから出してくれぇぇ」と叫んでいるシーンで〆。



監督 : キム・マナーズ
脚本 : クリス・カーター&フランク・スポトニッツ



■感想

 評価は○。


 前編の第15話「海底」とは異なり、話がすっきりしてきて理解しやすくなっている。未知生物の行動に、モルダーたちと秘密組織の両方が振り回される展開が面白い。


 とはいえ、今回もストーリーにやや無理がある。スカリーがスキナー襲撃犯捜査の陣頭指揮をとっていたが、スカリーがそんな仕事を任されるほどの地位とは思えない。ヒラ捜査官のスカリーに叱りつけられた他の捜査官たちの気持ちはいかばかりかと思いやらずにはいられない。


 今回は秘密組織の幹部たちも一枚岩でないという描写が興味深かった。特に穏健派(?)のウェル・マニキュアード・マンは、スモーキング・マンが信用できなくなり、モルダーと接触して情報交換しようとするさまが、もう誰が敵で誰が味方かわからない混沌感を出している。今回、スモーキング・マンは、シーズン2の第24話「アナサジ」で盗まれてから行方不明だった「MJ」のテープをようやく手元に取り戻して、一安心というところだろうか。


 最後の、クライチェックが誰もいない真っ暗闇の基地の中に取り残されて悲鳴を上げているシーンにはゾッとした(もっともこの後、クライチェックは不死鳥のごとく復活するのだが……)。


■一言メモ

 今回のサブタイトル「APOCRYPHA」は、「聖書外典」という旧約聖書から取り除かれた文書の事。さらに語源はギリシャ語の「隠された、秘密の」。今回の話の内容から考えると、秘密組織が引き揚げて隠したUFOを指す「隠された」の方の意味ではないかと思います。