【クトゥルフ小説】Q:「前略、お父さま。」という小説はラヴクラフトのどの作品の翻案でしょうか?

超訳 ラヴクラフト ライト1 クトゥルーの呼び声他

 先日創土社から発売された小説「超訳 ラヴクラフト ライト1」という小説の事を知ったのだが、これがオールドタイプなクトゥルフ者には爆笑必至の要素があり、注目せざるを得ない状況となっている。


《『超訳 ラヴクラフト ライト』とは?》
難読と言われる「ラヴクラフト全集」が『超訳LL』として生まれ変わりました。主人公を少年少女におきかえて、親しみやすく、より読みやすくなっています。
クトゥルー神話」には興味があるけど読みにくくて…という方々に超お勧めです!


単行本: 336ページ
出版社: 創土社 (2015/11/19)
言語: 日本語
ISBN-10: 4798850012
ISBN-13: 978-4798850016
発売日: 2015/11/19

 近年クトゥルフ神話知名度はとみに上昇しているらしい。原因はニコニコ動画。動画でTRPGのリプレイ形式でクトゥルフTRPGが紹介され、そこからクトゥルフ物に興味を持つ世代が出ているらしいのだ。動画を全く見ないので信じられない話だが、クトゥルフの人気が出ることには文句は無い。


 そんな動きに目を付けたのが、クトゥルフ小説に強い創土社で、「初心者向けラノベ風味のクトゥルフ小説」というモノを打ち出してきたのだが、なんとオリジナルでは無く、ラヴクラフト御大の作品を初心者向けに「超訳」して提供するという手に出た。そして第一弾として選んだのが定番中の定番「クトゥルフの呼び声」ともう一編は「ダンウィッチの怪」。登場キャラを考えれば、納得のチョイスである。


 表紙絵はツインテールの爆乳金髪美少女で、胸の谷間があらわ+スリット付きのミニスカ、という服装でこちらをねめつけている、実にキャッチーなイラスト。欲を言えば、「電撃文庫」と見まがうような感じのアニメ絵で攻めても良かったと思うのだが、今までは



 こういうノリが定番だったのだから、かなり若者に寄り添っていると言えるだろう。




 しかし、だ……、作品タイトルを見て吹いたわ(笑) これですよ、これ(笑)

The Call of Cthulhu(クトゥルフの呼び声)

邪神の存在なんて信じていなかった僕らが大伯父の遺した粘土板を調べたら……


The Dunwich horror(ダンウィッチの怪)

前略、お父さま。


 笑い死にさせる気か(笑)



 こうなると内容が気になるところだが、公式サイトの情報を追ってみると「超訳」というより「ラヴクラフトの小説をベースにした別物」らしく、オリジナルキャラの少年が登場したりするらしい。しかし、これはこれでアリだろう。昭和時代に各社が競って出版していた「○○社 少年少女SF全集」の類( [例]あかね書房 : 少年少女世界SF全集)では、大人向けの小説を、小中学生向けに内容を改変したりしながら紹介していた。これはこれで面白かったし、クトゥルフ世界を多くの人に広める手としては良いのかもしれない。


 もっとも、ラヴクラフト先生が、あまりの改変ぶりに怒って墓の下から飛び出してこなければ、だが(笑)
 
ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))