感想:アニメ「監獄学園 プリズンスクール」総括

 2015年7月〜9月に放送した「監獄学園 プリズンスクール」は、笑いとお色気を絶妙にミックスされた大当たりアニメだった。大満足したので、感想を書いておきたい。


関連サイト→ TVアニメ『監獄学園 プリズンスクール』公式サイト 原作
※視聴 BS11。全12話。
【※以下ネタバレ】


ストーリー

 「私立八光(はちみつ)学園」は、全寮制で、元々女子校だったが、今年度から共学校となった。初の男子生徒となったキヨシ・ガクト・シンゴ・ジョー・アンドレの五人は、女子1000人に対し男子五人ならハーレム状態だろうと夢想していたが、現実は入学一ヵ月後になっても女子とロクに口もきいてもらえない悲惨な状態が続いていた。


 ある日、男子五人は出来心で女子風呂を覗くが、たちまち発見され、謎の組織「裏生徒会」の三人によって、退学か、懲罰棟(通称プリズン)で一ヶ月の刑期を過ごすか、の選択を迫られる。覗きで退学ではあまりにも外聞が悪いため、五人はプリズンでの刑期を選ぶが……


バカギャグだった

 あらすじだけ読むと、あたかも生徒同士が血みどろで殺し合いを演じるような、バイオレンス物系の物語ではないかと思えてくる。そもそもタイトルが「監獄学園」である。名作「暴力脱獄」を連想させ、その親戚筋と思っても不思議ではない。


 ところが、蓋を開けてみたら、ただのバカギャグアニメだった(笑) 確かに五人は囚人服を着せられて、監獄に閉じ込められ、看守の裏生徒会から暴力を受けるのだが、暗さというモノはまるで無縁のお色気系バカギャグで、もう大ウケだった。


 主人公キヨシはまともな人間なのだが、真面目にやっていることが色々な偶然やらなりゆきやらによって常に笑えるシチュエーションを生んでしまい、見ている方に笑いが絶えない。また、三国志オタクで常にハイテンションに「ゴザル」台詞を連発するガクト、一見温厚だが実はドMで裏生徒会からのお仕置きを待ち構えているアンドレ、など、男子たち五人が集まっているだけで笑えるシチュエーションが続発する。


 さらに裏生徒会の方も、新陳代謝が良すぎるのか常にエロイ格好をしている芽衣子や、一見お嬢様っぽいがその実空手の有段者の人間凶器・花といったメンバーと、男子たちの絡みがまた笑えてしまう。真面目なのだがそんな中に細かいボケを入れてくる芽衣子、偶然が偶然を呼んでキヨシと他人に言えないような関係にはまり込んでいく花、二人のエピソードも面白い。とどめで、一見お堅い教育者だが、実は女の尻の事ばかり考えている学園長など、変キャラぞろいだった。こんなキャラが動いていれば、もう面白いに決まっている。


声優たちの怪演

 声優陣は男子五人が「キヨシ 神谷浩史」「ガクト 小西克幸」「シンゴ 鈴村健一」「ジョー 浪川大輔」「アンドレ 興津和幸」と、全員ハンサムキャラで主役を張った経験のあるメンバーだが、全員揃ってバカを演じており、その普段のイメージとのギャップがおかしさを誘っていた。理事長役の藤原啓治氏も、重々しい口調で尻の魅力について熱く語るなど、普段のシリアス系の演技を知っていればいるほど笑えて仕方なかった。


 また万理役・大原さやかはミステリアス美女役という事でぴったりだったが、芽衣子役・伊藤静は、シリアスな口調でバカみたいな事をしでかすし、花役・花澤香菜は普段のゆるふわキャラとはほど遠い殺伐系の演技を見せていた。


 要するに、主要キャラはほぼ全員が「怪演」と呼んで良い演技ばかりで、他の作品とのイメージの違いがもうそれだけでギャグになっていた。


お色気もあるよ

 見逃せないのがお色気要素。芽衣子は新陳代謝が凄くて汗かきという設定らしく、常に凄い露出の制服を着ているが、さらに筋トレ好きという設定のため、暇さえあればスクワットなどをしている。そしてスクワットしているのをキヨシが偶然下から見上げる形になって、尻が行ったり来たりするのを凝視するシーンがあるとか、「こんなエロシチュエーションを良く思いつくな」というシーンが続出。またお色気と言って良いのか微妙だが、キヨシと花の間に発生する諸々のシチュエーションも、それはそれでエロかった。


手に汗握る展開

 基本的に変なキャラクターたちが引き起こす、笑いとエロの物語なのだが、その反面、手に汗握る展開も存在した。1〜4話は、プリズンから脱獄しデートを目指すキヨシとそれをサポートするガクトの脱走計画が描かれ、あの名作映画「大脱走」を髣髴とさせるような(?)物語が展開された。さらに、6話以降は、裏生徒会が男子生徒を追い出すために仕組んだ陰謀「DTO(男子・退学・オペレーション)作戦」の進行と、男子の大逆転が描かれ、全編でスリルとサスペンスがみなぎっていた。


つまり

 ということで、バカな笑いあり、お色気あり、脱獄サスペンスあり、陰謀あり、の充実したアニメで、とにかく面白くて仕方なかった。アニメは実に気を持たせるところで最終回となってしまったが、原作はまだまだ継続して連載されている。アニメ第二期の制作を願って止まない。



愛のプリズン(TVアニメ「監獄学園」OPテーマ)

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