11月21日の公開以降、好評が伝えられているガルパンの映画「ガールズ&パンツァー劇場版」を鑑賞してきた。テレビシリーズ放送終了(2013年3月)から二年半が経過しており、既に作品への関心も薄れていたため、劇場版の公開の話を知ったときには今更感が否めなかったが、いざ実物を見た途端、そんな醒めた気持ちは吹っ飛んでしまった。これは凄い。ありきたりな言葉だが「大画面で見るべき作品」だと思う。
- アーティスト: 浜口史郎,ボコ(藤村歩),吉田玲子,澤口和彦
- 出版社/メーカー: ランティス
- 発売日: 2015/11/18
- メディア: CD
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関連サイト→ ガールズ&パンツァー(GIRLS und PANZER)|公式サイト
※ネタバレなしの感想はこちら→ 「ガールズ&パンツァー劇場版」感想【ネタバレ無しVer】
【以下ネタバレ】
1. あらすじ
大洗女子学園が戦車道全国大会に優勝した少し後からスタート。大洗では、エキシビションで「大洗・知破単学園合同チーム VS 聖グロリアーナ・ブラウダ合同チーム」の戦いが行なわれていた。試合後、選手たちは(風呂で)健闘を称えあうが、その最中に生徒会長の杏は文部省に呼び出され、大洗女子学園の廃校を告げられる。
以前、大洗女子学園は戦車道大会で優勝すれば廃校は取り消すという話になっていたが、それは「取り消しを検討する」というだけのことであり、結局廃校が決まったという。みほたちは突然の知らせに愕然とするが、抗議も虚しく、生徒たちは学園艦を下ろされ、それぞれ別の学校に転入するまで一時的に仮施設に待機する事になった。
杏は、戦車道の関係者に働きかけ、全国大会優勝校を廃校にするのはおかしいと言う方向にもっていく。そして文部省に、このままでは迫る戦車道のプロ大会の開催に協会が協力しない、と圧力をかけさせ、文部省に一つの案を飲ませる。それは大洗戦車道部が大学選抜チームと戦い、勝利すれば廃校を取り消す、というものだった。大学選抜チームを率いる「島田愛里寿」は、島田流戦車道の家元の娘で、大学選抜は社会人チームにも勝利するほどの強豪だった。
選抜チームの車両は30両で、しかも試合形式はフラッグ戦では無く一発逆転の狙えない殲滅戦と決まる。みほは殆ど勝つ見込みの無いことに苦悩するが、試合開始直前、他校(黒森峰、プラウダ、アンツィオ、サンダース、聖グロリアーナ、知波単、継続)の生徒たちが、大洗に仮転入したといって、戦車持参で駆けつけてきた。大洗は数の上で対等となり、みほの指揮の元、戦いに挑むことになった。
試合は一進一退となるが、最後はみほと姉まほとのコンビネーションで、残り一両となりながら勝利する。大洗の廃校は取り消しとなり、一行は懐かしい学園艦へと戻っていった。
2.感想
とにかくサイコー! ファンがやって欲しかった全てがここにありました。以下に気に入った点を列挙してみます。
(1)大迫力の戦車シーン
まずは、とにかく戦車の動きが凄すぎる! さすが劇場版だけあり、大量の戦車が画面を縦横に走り回ることにもう大興奮。CG技術の進歩に乾杯である。
一画面に多数の戦車が動くところも凄いが、さらに個々の戦車の機動性のアピールも凄い。重量のある戦車とは思えないようなすさまじい動きのオンパレードで、思いつくだけでも、アンチョビの乗るCV33が「ジェットコースターの線路の上」に乗って走り回るシーンや、CV33が選抜チームの60センチ砲自走砲を潰すため「空中を飛びながら砲口めがけて射撃する」シーン、クリスティ戦車がキャタピラを失い半壊しても、片輪走行で走り回るシーンなど、『現実ではありえない』と解っていても燃えてしまうシーンの連発である。メカ好きならばもうここまでで熱くなれる。
さらに、クライマックスの「みほ4号戦車&まほティーガー 対 愛里寿パーシング」のバトルシーンは、三両が人工の小山を中心に猛烈な動きで走り回りながら、相手の砲撃をかわしつつ主砲を撃ちまくるという展開で、カーチェイスシーンと人間のガンファイトシーンを組み合わせたような新次元のバトルを展開しており、心底興奮させられた。テレビシリーズのクライマックスの、みほ4号対まほティーガーの戦いの拡大発展版と言えるものだったが、時間も迫力も段違いで、戦車道の描写はここに極まれリ、と感激させられた。
また、クライマックスにいたる前までにも、みほと愛里寿の互いの作戦の読みあい、斜面を転落してくる観覧車、立て看板を使った偽装作戦、T28戦車を破壊するため橋の下から戦車の底を狙い打つ奇策、など、取り上げたくなるシーンの目白押しで、長時間のバトルシーンにも全くだれるところが無かった。
この戦車道バトルシーンだけで、後世に残る伝説を打ち立てたと確信する。
(2)物語もまた熱い!!
廃校を免れたかと思うと、一転約束は反故にされ、そこから再度廃校回避のため、一大決戦に挑む。あらすじだけ書くと、単にテレビシリーズのストーリー拡大再生バージョンである。しかし、選抜チームとの試合前、絶望的な状況の大洗チームの前に、今まで戦ってきたライバル校のメンバーが次々と助っ人に駆けつけてくれる展開は、ほぼわかり切っていたこととはいえ、手をたたきたくなるくらいの燃える展開だった。
少年漫画のバトル物に往々にして見られるのが、死闘の末に破った宿敵が、より強大な敵との戦いの際には味方となる、というパターンだが、劇場版ではまんはそれをやってくれていて、心底熱くなった。アンチョビはともかく、黒峰森やプラウダ、その他のメンバーと一致団結して戦う、というシチュエーションに燃えない人間はいないだろう。
特に感激するのが、終盤のみほとまほのコンビネーションで、二人の戦車だけが残った際に、言葉を交わさずに手のサインだけで次々と連携攻撃を決めていく場面は、テレビシリーズの決勝戦の死闘を知っていればこそ、実にグッと来た。フィニッシュも、まほのフォローでみほが愛里寿と相討ちに持っていくことで、まほが勝ち残る、というシチュエーションは完璧だった。
また地味なところではあるが、知波単の福田が、最初は隊長同様「突撃」だけしかやらない単純キャラなのに、大洗チームとの共同作戦で教育されていき(?)、最後には隊長にトリッキーな作戦を提案するまでに成長する、というところも結構印象的だった。
結論として
このアニメは、話が熱ければバトルシーンも燃える大傑作だった。テレビシリーズ放送終了からかなりの年月が経ってしまい、このアニメの事も忘れかけていたが、改めて放送当時の熱い気持ちを思い出させてもらった。ファンなら100人中100人が満足できる、完璧な続編だった。大満足である。
[参考]キャスト一覧
あんこうチーム
・西住みほ: 渕上舞
・武部沙織: 茅野愛衣
・五十鈴華: 尾崎真実
・秋山優花里: 中上育実
・冷泉麻子: 井口裕香
カメさんチーム(生徒会チーム)
・角谷杏: 福圓美里
・小山柚子: 高橋美佳子
・河嶋桃: 植田佳奈
アヒルさんチーム(バレー部チーム)
・磯辺典子: 菊地美香
・近藤妙子: 吉岡麻耶
・河西忍: 桐村まり
・佐々木あけび: 中村桜
カバさんチーム(歴女チーム)
・カエサル: 仙台エリ
・エルヴィン: 森谷里美
・左衛門佐: 井上優佳
・おりょう: 大橋歩夕
ウサギさんチーム(一年生チーム)
・澤梓: 竹内仁美
・山郷あゆみ: 中里望
・丸山紗希: 小松未可子
・阪口桂利奈: 多田このみ
・宇津木優季: 山岡ゆり
・大野あや: 秋奈
カモさんチーム(風紀委員チーム)
・園みどり子: 井澤詩織
レオポンさんチーム(自動車部チーム)
・ナカジマ: 山本希望
アリクイさんチーム(ネット戦車ゲームチーム)
・ねこにゃー: 葉山いくみ
聖グロリアーナ女学院
・ダージリン: 喜多村英梨
・アッサム: 明坂聡美
・オレンジペコ: 石原舞
サンダース大学付属高校
・ケイ: 川澄綾子
・ナオミ: 伊瀬茉莉也
・アリサ: 平野綾
プラウダ高校
・カチューシャ: 金元寿子
・ノンナ: 上坂すみれ
・ニーナ: 小笠原早紀
・アリーナ: 佐藤奏美
黒森峰女学園
・西住まほ: 田中理恵
・逸見エリカ: 生天目仁美
アンツィオ高校
・カルパッチョ: 早見沙織
・ペパロニ: 大地葉
OTHERS
・五十鈴 百合: 倉田雅世
・冷泉久子: 愛河里花子
・西住しほ: 冬馬由美
・秋山淳五郎: 川原慶久
知波単学園
・西絹代:瀬戸麻沙美
・玉田: 米澤円
・福田: 大空直美
・細見: 七瀬亜深
継続高校
・ミカ: 能登麻美子
・アキ: 下地紫野
・ミッコ: 石上美帆