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感想:アニメ「影鰐-KAGEWANI-」第13話(最終回)「還御」

アニメ


影鰐-KAGEWANI- [DVD]
関連サイト→ 影鰐-KAGEWANI-公式サイト
放送 BS11。10分アニメ。全13話。
【※以下ネタバレ】

第13話(最終回) 『Episode 13 還御』

■あらすじ

カメ奇獣の突然の襲撃ー。木村は、一人セーフティーゾーンで窮地を脱した。
奇獣たちの行方を捜索、監視映像を再生すると驚愕の事実が発覚!
番場、木村、そして影鰐ー。それぞれの思惑が交錯する中、物語は終焉を向かえる。

http://kagewani.com/

 木村はシェルターから助け出されるが、殺されたと思っていた番場が無事だと聞き驚く。木村は施設の監視カメラの映像を再生し、番場を襲おうとしていたカメ型奇獣がクローン影鰐に殺された事、そのあと影鰐は番場の顔の傷の中に溶け込んでいった事、を知る。木村はすぐさま番場を確保しようとするが、影鰐も番場も消えていた。直後、番場は施設内に戻ってきて木村と対峙し、影鰐を見つけて倒すと告げるが、次の瞬間番場は影に飲まれ、出現した影鰐が木村を殺す。


 夜の街を歩く番場の前に、老女(影鰐を追っていたあの女性)が現われ、番場を殺そうとするが、番場はまだ人間の心を残していた。それに気が付いた老女は、番場に影鰐に飲まれたらお前を殺すという。その言葉を背に番場はどこかへと去って行った。


■感想

 見事。9話頃まではまともに完結できるのかどうか怪しんでいましたが、きっちりと余韻の残る結末に導かれて大満足。


■総括

 現代。「奇獣」と呼ばれる未知の生物たちが出現し、人間を襲っていた。高名な生物学者・番場宗介(声:杉田智和)は過去奇獣に関わりがあり、奇獣に関する事件を独自に調査していく……、というモンスターパニック系ホラーアニメ。事前の告知もほとんど無く地味にスタートしたが、これがUMAネタの大好きなオカルトマニアには堪えられない作品に仕上がっていた。


 番場宗介は基本的に物語の語り手で話に関わってこないため、毎回場所も登場人物も全く異なるストーリーが展開される。それだけに話のバリエーションが豊富で「人間がモンスターに襲われる」というテーマは共通でも、手を変え品を変えて奇獣が出現して来るのが実に嬉しかった。

 第1話「駑馬」では、インチキUMA動画を撮影してネットにアップしようとした若者たちが本物の奇獣と遭遇し……、という今風の内容。続く第2話「氷牙」では、雪山で遭難し瀕死の状態で救助された女性登山家の口から彼女の恐怖体験が語られる、という「クトゥルフ神話」的な話。かと思えば第4話「双弓」では、小学生男子二人が下水の中に入ったところ奇獣と遭遇してしまう……、という「昭和怪獣特撮物」を髣髴とさせる展開となっている。このように、モンスターパニック物でも「B級SF映画風」「怪談風」「昭和特撮風」など切り口が色々で、毎回どのような話になるのか楽しみで仕方なかった。

 中でも傑作なのが第6話「深淵」で、南極海にやってきた観光客があるモンスターに襲撃される、というエピソードだが、モンスターの姿が半漁人なのである。オカルト好きの間では、南極海に人間に近い姿をもつUMA「ニンゲン」がいるというのは有名な話だが、それをモデルにしたのは間違いない。ニンゲンは21世紀に入ってから有名になったUMAだが、それを話に盛り込んでくる辺り、「スタッフは解っている」とニンマリさせられた。


 また絵も絶品で、綺麗でも凄くもないのだが、雰囲気が出ているのである。動きはほとんど無く、アニメというより紙芝居という方が近いもので、実写調の背景の前に置かれているキャラクターの絵が微妙に動く、という程度だが、雰囲気で見せる作品なので、動きの乏しさはマイナスとはならなかった。全てのシーンが異様に薄暗く、またキャラクターたちがみな生気が無い顔つきのため、何か起きる前から不気味な雰囲気が漂っていて、視聴しているだけで不安になってくる絵柄で、ストーリーにマッチしすぎだった。


 エンディング曲がハードロック調の「Arrival of Fear」なのだが、これがまた素晴らしくマッチしていた。監督のインタビューを読むと、

──M.S.S Projectの主題歌「Arrival of Fear」はいかがですか?

高嶋 かなり気に入っています。というのも「Xファイル」の1stシーズンが放送されたとき、主題歌がB'zの「LOVE PHANTOM」だったんです。そのことが頭にあって、SF怪奇ものにはハードロックが似合うというイメージが強かった。

https://akiba-souken.com/article/25681/?page=2

 と、趣味が合いすぎである。


 9話まではオムニバス形式で奇獣たちの活躍(?)を描き、第10話以降は、番場と奇獣の過去の因縁やタイトルの「影鰐」の意味の説明、そして予想外のラスト、と怒涛の展開を見せ、最後は杉田智和のあの声で余韻が残るナレーションで〆る、と終わり方も最高だった。


 「トワイライトゾーン」「ウルトラQ」「X-ファイル」といった、超常テーマドラマが大好きなだけに、嗜好のストライクゾーンのど真ん中だった。地味で見る人を選ぶ作品だが、はまる人にはたまらない物となること請け合いである。


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