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感想:海外ドラマ「X-ファイル 2016」第4話「バンドエイド・ノーズ・マン」

ドラマ

X-ファイル 2016 ブルーレイBOX [Blu-ray]

X-ファイル 2016|FOX|FOX ネットワークス http://tv.foxjapan.com/fox/program/index/prgm_id/20683
放送 FOXチャンネル。全6話。

【※以下ネタバレ】
 
X-ファイル 2016(ニーゼロイチロク)の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら
perry-r.hatenablog.com
 

第4話 バンドエイド・ノーズ・マン HOME AGAIN

 

あらすじ

ホームレスの強制収容計画を進める住宅都市開発省の職員が惨殺され、モルダーとスカリーが捜査にあたる。しかしそこへ、スカリーの母が危篤との連絡が入り、彼女は病院へ向かう。残されたモルダーは監視カメラの映像から、現場近くの看板の絵が犯行時刻にはまだ描かれていなかったことに気づき、描いたアーティストを捜す。

 お題は「怪人/都市伝説」。

 フィラデルフィアで強引なホームレスの立ち退きを指揮していた役人が殺害され、モルダーとスカリーが捜査の応援に呼ばれる。死体は物凄い力でバラバラに引きちぎられており、犯人の素足の足跡が残されていたが指紋が全く無かった。直後、スカリーは母親マーガレットが心臓発作で倒れたと知らされ、すぐさま病院に向かうがマーガレットは意識不明の昏睡状態だった。

 モルダーは、犯行直後に近くの建物の壁に大男の絵が描かれていた事に気が付く。ホームレスはその男を「バンドエイド・ノーズ・マン」と呼び、彼が現れ自分たちを守ってくれると信じていた。やがて第二の惨殺事件が発生するが、犠牲者は立ち退かされたホームレスが自分たちの近所に収容されることを嫌がっていた人物だった。

 マーガレットは結局最後に一瞬意識を取り戻して、スカリーの息子ウィリアムの名前を呼ぶと、そのまま亡くなった。スカリーは悲しみを忘れるため、強引に仕事に復帰する。

 やがてバンドエイド・ノーズ・マンの絵を描いたのが「トラッシュマン」と名乗るアーティストだと判明し、モルダーたちはトラッシュマンから話を聞く。トラッシュマンはホームレスを人間扱いしない役人や町の有力者への抗議のためバンドエイド・ノーズ・マンを創造した。ところが、バンドエイド・ノーズ・マンはいつの間にか実体化し、しかもトラッシュマンの怒りを反映して、ホームレスを排除しようとする人々を殺そうと徘徊し始めたのだという。

 モルダーたちは、次に狙われているのは最初の犠牲者の同僚だと考え急行するが、既にバンドエイド・ノーズ・マンに殺されており、しかもバンドエイド・ノーズ・マンは姿をくらましていた。

 その後。トラッシュマンはバンドエイド・ノーズ・マンに関する創作を全て破棄してどこかに立ち去った。スカリーはモルダーに、養子に出した息子のウィリアムが今母親の自分をどう考えているのか知りたいと嘆く。


監督 グレン・モーガン
脚本 グレン・モーガン


感想

 評価は〇。

 ダークホラー系の話だが、超能力や心霊現象ではなく「都市伝説」がテーマという、今までに無いパターンのエピソード。いたずらに恐怖をあおるでもなく、適度に抑えた展開がいかにも都市伝説風味で、なかなか見ごたえがあった。


 本エピソードの監督/脚本を担当したグレン・モーガンは、シナリオライターとして、オリジナルシリーズのシーズン1~4に、ジェームズ・ウォンとコンビを組んで活躍した人物。特にシーズン1の第12話「海の彼方に」は名作として評価が高い。なお、2016の第3話「トカゲ男の憂鬱」の脚本/監督を担当したダリン・モーガンはグレンの実の弟である。

 今回の怪異は「都市伝説の中の怪人」。正体不明の大男「バンドエイド・ノーズ・マン」が、どこからともなく現れ、ホームレスを虐げようとする者に残酷な死をもたらすと、そのまままた消えてしまう、というとりとめもない設定が、いかにも都市伝説らしくて面白い。しかも、登場するときはごみ収集車で乗り付け、引き上げるときも収集車の回転盤のところに潜り込んで圧縮されながら消えていく、というところなど、あまりにも荒唐無稽なシュールさが良い感じである。

 さらに、その正体が現実的な何かではなく、アーティストの創作物がいつの間にか実体化して動き回るようになった、という現実離れしているところが実に好みだった。似たような設定は、シーズン6の第18話「ミラグロ」でも見られたが、こちらの方が設定的に遥かにスマートで効果的に使われていた。

 今回の事件ではモルダーとスカリーは、事件の解決に何一つ寄与していない。第二・第三の殺人を防ぐことができなかった上に、そもそも犯人のバンドエイド・ノーズ・マンの姿を見ることすらなく(トラッシュマンの工房で等身大の人形は見たけど)、犯人が姿をくらましたので引き上げるしかなかった、的に話が終わってしまう。しかしこの展開が、これはこれで「都市伝説」というテーマにぴったりだったと思う。


 さて、今回は謎の都市伝説的怪人を登場させつつ、同時に21世紀版の「海の彼方に」という感じのエピソードでもあった。「海の彼方に」はスカリーの父ウィリアムの急死から始まり、スカリーがその悲しみから回復できないまま捜査に戻ると……、という話だったが、今回の展開は「父親」を「母親」に入れ替えた以外はほとんど同じである。ただ、「海の彼方に」は、ウィリアムの死が事件と密接に関連していたのに対し、今回のエピソードはマーガレットの昏睡・その後の死が事件と何のかかわりもなかったのがイマイチではあった。


 ところで、今回はやたらとモルダー&スカリーの息子ウィリアムのことが話題として持ち出された。今更気が付いたのだが、この「いなくなった肉親をやたらとクローズアップする」という流れは、オリジナルシリーズにおけるモルダーの妹サマンサの扱いと同じである。オリジナルシリーズでは、定期的に自称サマンサが登場しては話を引っ張っていたのだが、ウィリアムは21世紀のサマンサということになるのだろうか。スタッフはネタに困ったら、成長した15歳のウィリアム(多分ニセモノ)を出しては話をつないでいくつもりなのかもしれない。


X-ファイル 2016(ニーゼロイチロク)の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら

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