感想:アニメ(新番組)「昭和元禄落語心中」第1話:このアニメはどうやって利益を出すつもりだろう? 落語アニメの円盤を誰が買うの?


昭和元禄落語心中音曲噺其の一
関連サイト→アニメ「昭和元禄落語心中http://rakugo-shinju-anime.jp/ 原作サイト http://itan.jp/rakugoshinjyu/
放送 BS-TBS
【※以下ネタバレ】

昭和の落語界を舞台にした噺家の愛おしき素顔と業を描く話題の本格落語漫画がついにTVアニメ化


刑務所の落語慰問会で見た大名人・八雲の「死神」が忘れられず、出所した与太郎が真っ先に向かった先は、寄席だった。拝み倒して八雲の住み込みの弟子となった与太郎だが、八雲の元では小夏という女性が暮らしていた。八雲と小夏には他人が容易に触れられない因縁があるらしく・・・


繊細な人間描写で高い評価を得る雲田はるこ原作による、昭和の落語界を舞台にした噺家の愛おしき素顔と業を描く期待の一作。

http://rakugo-shinju-anime.jp/index.html#slide4

第1話

■あらすじ

 時代は昭和30〜40年代頃。刑期を終えて出所した「与太郎」は、その足で落語の名人「有楽亭八雲」を訪ね弟子入りを直訴する。与太郎はかつて八雲が慰問の為に刑務所で「死神」を演じた時の事が忘れられず、自分も落語家になりたいと切望していた。与太郎内弟子として八雲の家に世話になることになり、そこで「小夏」という女性と出会う。小夏は八雲のライバル的落語家だった故「助六」の娘で、八雲が面倒を見ていた。

 与太郎は落語家として力を付けていくが、そのうち助六の落語に傾倒していき、助六の物まねの様なスタイルになってしまう。しかも師匠の八雲の口座の最中に居眠りをしてしまう始末だった。八雲は与太郎に破門を言い渡すが、八雲は必死にそばに置いてくれと懇願する。八雲は与太郎を許し、与太郎と小夏に自分と助六の因縁を語りだす。


■感想

◆ガチの落語アニメ

 主人公与太郎役の関智一と、有楽亭八雲役の石田彰が、劇中でガチに落語を演じています。「落語家役」を演じるだけでは無く、そのキャラクターとしてアニメの中で本気で落語をやっているんですよね。特殊な演出とかBGMでの盛り上げとかは無く、ただひたすら声優の喋りだけで持たせている。二人ともキャリア20年超えのベテランですから芝居が出来るのは当然ですが、きちんと聞かせる落語が出来るのには心底感心しました。骨太というか作るほうも本気でやっているのが伝わってきます。

 それにしても、あの石田彰が老け役をやるステージに来てしまったのか……


◆人間ドラマもイイ

 作者が女性の漫画が原作ですが、「少女漫画」とか「レディコミ」ではない模様で、甘ったるい要素が無く文芸作品風。今時のアニメとは全く異なる作風に驚きを禁じえない。今時良くこんなアニメの企画が通ったものです。


◆しかし、どうやって利益を出すのか?

 ちらとネットで感想を見た限りでは、かなり好意的に評価されている模様で、確かに同感ですが……、しかし関係者はこのアニメでどうやって利益を出すつもりなのでしょうか? テーマがテーマゆえに、グッズ販売はほぼ不可能。頼みのブルーレイも、「落語のアニメ」を誰が買ってくれるかというと……

 視聴して『本格落語アニメで、これは素晴らしい!』と評価している人であっても、金を出せといわれたら『え、ブルーレイ購入、ですか……? いや、それはちょっと……(苦笑い)』と返事をするのが目に見えている。質は高いが、興行的には大爆死、という未来が今から見えるようで、考えるだけで痛々しい……

スタッフ情報
【原作】雲田はるこ昭和元禄落語心中」(「ITAN講談社刊)
【監督】畠山守
【シリーズ構成】熊谷純
【キャラクターデザイン】細居美恵子
【落語監修】林家しん平
色彩設計】佐野ひとみ
【撮影監督】浜尾繁光
【音楽】澁江夏奈
【音楽制作】スターチャイルドレコード
【音響監督】辻谷耕史
【音響制作】ダックスプロダクション


キャスト
与太郎関智一
有楽亭八雲(菊比古):石田彰
助六山寺宏一
小夏:小林ゆう
みよ吉:林原めぐみ
七代目有楽亭八雲:家中宏
松田:牛山茂
アマケン:山口勝平
ヤクザ兄貴:加瀬康之
アニさん:須藤翔
萬歳:茶風林
萬月:遊佐浩二
猫助師匠:林家しん平