感想:アニメ(新番組)「蒼の彼方のフォーリズム」第1話:適当な背景設定、アホ丸出しのヒロイン、いかにもエロゲ原作といった風味の低品質アニメ


蒼の彼方のフォーリズム STANDARD EDITION
関連サイト→TVアニメ「蒼の彼方のフォーリズム」公式サイト http://aokana-anime.com/
原作ゲーム http://aokana.net/
放送 AT-X
【※以下ネタバレ】

負けてからが、本当の勝負

反重力を発生させるシューズ、通称"グラシュ"の発明により、人が簡単に空を飛ぶことが出来るようになった世界。
久奈浜学院に転校してきた倉科明日香は、同級生の鳶沢みさき、日向晶也達との出会いを通じて、グラシュを使った新興スカイスポーツ『フライングサーカス』(通称FC)を知り、その魅力に惹かれていく。
学院のFC部に入部した明日香は、仲間達と共に、時にはぶつかり、励まし合い、それぞれの目標に向かいながら、強力なライバル達に立ち向かっていく――。
――目指すは、夏の大会。

http://www.at-x.com/program/detail/6905

第1話 飛んでます、飛んでますよっ!


■あらすじ

 「仇州」北西の「四島列島」の「久奈浜学院」に転入してきた「倉科明日香」。明日香はクラスメートの「日向晶也」と「鳶沢みさき」から、この島の基本的移動手段である「グラシュ」(反重力シューズ)の使い方を習う事になった。ところが学校の帰り、他校の生徒「佐藤院麗子」が何かの勝負に勝ったので、学校の名前から院の字を頂いて「久奈浜学」(くなはま・まなぶ)にしてやる、と言っているのを耳にする。明日香はそんな校名は嫌だと、状況も分からず勝負を申し込む。

 麗子たちが行なっていたのは、グラシュを使ったスポーツ「フライングサーカス(FC)」だった。明日香はFC初挑戦という以前に、グラシュも使用初日のため、麗子はハンデで一点でも取られたら負けを認めるという取り決めにする。それでも明日香は麗子とは全く勝負にならず、一方的に点を取られる。しかしそこを通りかかった晶也のアドバイスで、麗子から一点取る事に成功した。

脚本:吉田玲子


■感想

◆人気エロゲーのアニメ化

 原作は2014年に人気エロゲメーカー「sprite」http://sprite.org/ が発売したゲームで、『萌えゲーアワード2014 年間大賞』http://moe-gameaward.com/prize/2014/を受賞したという、凄いのか凄くないのか良くわからない作品です。


◆学園物+超科学?

 主人公・倉科明日香がのんびりした田舎に転校してきて、反重力靴グラシュとグラシュを使ったスポーツ・フライングサーカスに出会い、その才能を開花させていく、的なストーリー。基本的には学園エロゲなのに、突飛なSF設定が盛り込まれているというパターンで、オーガストの「夜明け前より瑠璃色な」を思い出しますね。

 こういう「見た目は学園物だが奇抜な設定が盛り込まれている」という作品は、ことエロゲにおいては、大抵ロクな物になりません。何故なら、背景からしっかり世界観を作りこむのではなく、学園物に「ちょい足し」程度に凄い設定を継ぎ足すだけなので、バランスが取れておらず、違和感が半端無いからです。このアニメもそのくびきから逃れられておらず、反重力が実用化されているのに「学生の靴に仕込んで通学とスポーツに使うだけ」程度の世界らしいのがなんだかなぁ、という気分。こんな凄い技術が開発されたなら、もっと社会全体が大変化していると思うんですけどね。

 大体、このグラシュって、ハリー・ポッターとか的な「魔法学校の生徒が使う、空飛ぶ魔法のホウキ」を科学技術で置き換えただけって感じですよね。そしてハリポタで描かれた魔法のホウキでやるスポーツを反重力鬼ごっこ「フライングサーカス」にしてみただけ、という事で多分間違いないでしょう。つまり底が浅いんですよね。まあ、この稚拙な世界観が「いかにもエロゲだわ」って感じではありますが。



◆ヒロインにイラつく

 ピンク髪ヒロイン倉科明日香についても、感情移入不可能なのが辛すぎます。登場時点からかなり天然系なことがしつこく描写されますが、終盤になるともう許容限界を飛び越えた。事情も良く把握していなのに、いきなり麗子にケンカを売り、グラシュの飛行もロクにマスターしておらず、あまつさえフライングサーカスはルールも知らないのに麗子に試合を申し込む、という展開がめっちゃくちゃイラつきましたわ。基本技術もルールも知らないのに対戦を申し込むって、行動がバカすぎるし、麗子に失礼すぎる。



◆一話目からダメダメ

 「sprite」はエロゲーメーカーとしては人気が有るらしく、前作「恋と選挙とチョコレート」もアニメ化されているという実績がありますが……、アニメ版「恋と選挙とチョコレート」も目を覆いたくなるような出来栄えでしたからねぇ。これはどういうことなのだか。


可能性1 ゲーム自体は素晴らしいが、アニメ化スタッフに恵まれていない 
可能性2 ゲームがそもそもダメダメだが、最近のゲーマーは甘いので、絵が綺麗でキャラが可愛けりゃそれでもう高評価している

のどっちなのですかね。


 まー、最初から期待はしていなかったにしろ、その想定ラインをさらに下回る低品質で「やらかしてしまった」感が半端無いです。福圓美里以下知名度のある声優をずらりと並べているのですが、こんなしょうもない作品にわざわざ参加させてもったいなさ過ぎる。そして、これでシナリオは名手・吉田玲子先生というのだからビックリするしかない。やはり基本的な部分がダメなら、誰がどう関わっても建て直しは無理、という事例なのかもしれません。


蒼の彼方のフォーリズム TVアニメ化記念特装版

<スタッフ>
監督:追崎史敏
キャラクターデザイン:中野圭哉
シリーズ構成:吉田玲子
キャラクター原案:鈴森
プロップデザイン:清水奏太郎
総作画監督:中野圭哉、小池智史
制作:GONZO
原作:sprite


<キャスト>
倉科明日香:福圓美里
鳶沢みさき:浅倉杏美
有坂真白:山本希望
市ノ瀬莉佳:米澤円
日向晶也:逢坂良太
青柳窓果:若林直美
青柳紫苑:近藤孝行
佐藤院麗子:種田梨沙
真藤一成:興津和幸
保坂実里:儀武ゆう子
各務葵:緒方恵美

http://www.at-x.com/program/detail/6905