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原子と分子と元素はどう違うのかを説明します

科学


 日常で原子・元素・分子という言葉はよく目にしたり聞いたりする言葉だと思います。しかし「原子と元素の違い」や「原子と分子の違い」を説明出来ますか? 私も実は悩んでネットで調べてみたのですが、実に多くの人が同じようにこの疑問に突き当たっています。しかしその疑問に対する答えで腑に落ちるものが一つも無かったため、自分でも勉強してみました。

■原子とは

 昔の人は、「身の回りには数多くの物質があるが、それらは実は限られた少数の物質の組み合わせで成り立っているのではないか?」と考え、その「素材」となる物を探し続けました。そして化学的な手段(煮たり焼いたり電気分解など)で「素材」である、鉄や金や銀や銅や酸素や水素を見つけていきました。

 例えば、理科の実験で有名なように、水は電気分解すると酸素と水素に分けられます。しかし水素も酸素も化学的な手段ではこれ以上は分ける事はできません。

 しかし例えば酸素ガスを半分に分け、また半分に分け、また半分に、と果てしなく分割していくと、やがて小さな粒にたどり着きます。この小さな粒を「原子」と呼びます。酸素を作っているのは無数の「酸素原子」なのです。水素は「水素原子」、鉄は「鉄原子」、金は「金原子」、で構成されているのです。

■分子とは

 ところで原子は普通一粒単位でバラバラに存在していることはなく、複数の原子が組み合わさって安定した状態になっていることが多いのです。例えば酸素原子は二個が組み合わさった(化学結合した)「酸素分子」という状態となります。私たちが呼吸する酸素ガスは、酸素分子の集合体なのです。

 水素ガスも水素原子二個が結合した「水素分子」で出来ています。ただし、分子は必ず原子2個からできているとは限りません。例えば硫黄(S)のように8個の原子が結合するものもあります。また逆に、ヘリウム(He)は組み合わせを作らなくても安定しており、原子単体で存在するため「単原子分子」と呼ばれます。

同素体とは

 先に「酸素原子が二個で酸素分子になる」と説明しました。ところが酸素原子が三個という分子も存在します。これは「オゾン」と言います。「大気のオゾン層が……」というニュースで耳にするあのオゾンです。オゾンは常温常圧では気体ですが、酸素と違い有毒です。同じ酸素原子から出来ているのに、酸素(O2)とオゾン(O3)は化学的性質の違う全く別の物質です。このような「構成する原子は一緒の、異なる物質」のことを「同素体」と言います。同素体は酸素の他に、例えば炭素にも存在します。鉛筆の芯の「黒鉛」と宝石の「ダイヤモンド」は、見た目も性質も異なりますが、どちらも炭素の同素体なのです。

 この様に分子は「物質の化学的性質を持つ最小の単位」だという事が出来ます。

■元素とは

 さて、ここで疑問がわいていきます。「元素」とはなんでしょう? 最初に昔の人が物質の「素材」を探し続けていたと説明しました。昔の人はそれを「元素」と呼んでいました。元素と言えば「周期表」です。あれに載っているものが元素のはず。

 酸素は元素でしょうか? 周期表には載っていますから元素の様に思えます。水素も元素のようです。ではオゾンは? オゾンは化学的にこれ以上分けられないのに、周期表にのっていません。何故?

 と考えると、周期表に載っているのは物質的な「水素」や「酸素」ではなく、「水素原子」や「酸素原子」の事だとわかります。現在の定義では、元素とは原子の事なのです。

 ところが原子の事が解ってくると「同位体」という概念が出てきました。水素原子は「陽子1個と電子1個」から構成されています。しかし世の中には「陽子1個、中性子1個、電子1個」で出来た「重水素」や、「陽子1個、中性子2個、電子1個」で出来た「三重水素」、があることがわかりました。しかし、中性子の数は異なっても陽子の数は同じですので、化学的な性質は変わりません。このように陽子数が同じ原子を「同位体」と言います。

 そして現在では元素の定義は単に「原子」ではなく「同じ数の陽子を有する原子(の集まり)のこと」と決められています。つまり水素であれば、「水素原子、重水素原子、三重水素原子」をまとめて「元素としての水素」と扱っているのです。

■あとがき

 元素の正確な定義にたどりつくのに一苦労でした。ネットの回答では「元素とは概念」とか「グループ」とか「ブロックの集まり」とか「動物の種類」とか、それこそ抽象的な説明ばかりでしたから。「原子=元素」、という回答にたどり着くのにどれだけ回り道した事か……