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感想:アニメ「アクティヴレイド -機動強襲室第八係-」第12話(最終回)「誰がための秩序」


Golden Life/OVERNIGHT REVOLUTION

TVアニメ「アクティヴレイド -機動強襲室第八係-」公式サイト http://activeraid.net/
放送 BS日テレ。全12話。

【※以下ネタバレ】

第12話(最終回) 『File12 誰がための秩序』

あらすじ

 ついにミュトスは全てのオロチを制し、日本のあらゆる情報システムがミュトスの支配下に入った。さらに以前から多くのPCで使用されていたフリーソフト「Liko」がウイルスソフトに変貌し、PCを乗っ取ってしまっていた。Likoはミュトスが作ったもので、今までにもPCから情報を盗み取る事でロゴスの「協力者」を見つけていたらしい。

 政府はミュトスが未成年と知りつつ殺害して事態を収拾することを考えるが、そもそもミュトスの居場所がつかめない。アメリカは日本政府に軍隊の派遣すら提案してくる。ミュトスは、自分の殺害を計算に入れ、収監されているバード/八条司稀(はちじょう・ともき)に連絡を付けさせ、暗号でオロチの上位権限のパスワードを教える。

 陽は自分のPCではLikoがまだ動作しており、以前にレポート作成の為にLikoに集めさせていた「惨劇の果実」事件のデータが揃っている事に気がつく。このPCは以前バードが利用していたことも有り、他のPCの様には乗っ取られなかったらしかった。

 ミュトスは政府に国外脱出用の飛行機を用意させ、ウィルウェアでそこに向かうが、第八のウィルウェアに行く手を塞がれる。ミュトスはバードに以前国外脱出ルートを伝えていたが、バードは自分の保釈の条件としてミュトスを売ったのだった。第八は電波のジャミングを仕掛けてミュトスのウィルウェアをネットから遮断、その隙に政府は技術者を総動員してミュトスの管理権限を奪いにかかる。

 「惨劇の果実」事件とは過去に起きた宗教団体の信者による集団自殺事件で、まだ子供だったミュトスはその団体の教祖として祭り上げられていた。事件後、ミュトスの妹は国外に出国するが、ミュトス自身は海外にいる信者への影響を考慮して出国を認められなかった。ミュトスの行動は自分をはじき出した日本という存在への報復だった。

 政府は統合自衛隊を派遣し、ミュトスを第八のメンバーごと射殺しようとするが、船坂はミュトスのLikoの集めたデータの中に、ミュトスの妹が生きている情報があったことを伝え、生きているほうが良いと提案する。それを知ってミュトスは投降、また政府もオロチの権限を取り戻した。

 結局、バード/八条司稀はシンガポール経由でどこかに逃亡し行方不明となった。第八は事件後の打ち上げで朝まで飲むぞとか盛り上がり、あさみが20歳になったと聞いてじゃあ誕生日祝いも兼ねるぜ、というところで〆。


脚本:荒川稔久


感想

 評価は◎。


 国家の基盤システムを乗っ取った情報テロリストと警察組織の対決、という第一期のラストを飾るに相応しいテーマで実に見ごたえがあった。

 前回のラストでミュトスがシステムの全てを掌握して詰みになってしまい、ここから警察の一部署に過ぎない第八が何が出来るのか、と思わせたが、バードの裏切りという予想外の展開で話を上手く決着させたのには驚かされた。また、群像劇としても申し分の無い出来で、第八メンバー・陽・司稀・ミュトスたちのドラマが上手く配され、30分とは思えない高密度なストーリーとなっていたのも評価できるところ。

 最終回のストーリーは「まさしくこれを待っていた」という展開。SF警察モノとして、犯人逮捕に至る部分は警察組織の一員として動きつつ、SF要素でスーツ同士の派手なバトルを入れる、という魅惑のストーリーで30分間引き込まれっぱなしだった。

 今まで背景設定的にチラとしか触れられてこなかった「惨劇の果実」事件を、ようやく最終回で説明する事になったが、それでも「尺が足りない」「最終回ならではのやっつけ」感が無かったのもお見事だった。クライマックスは、黒騎たちが他の権力からの圧力にさらされながら警官の本分を貫き通したり、犯人が説得に従ってがっくり崩れ落ちたり、と刑事物の王道パターンが随所に使われていたが、それも上手く生かされていた。

 今度のエピソードでは脇役的立ち位置に終始したバードが、最後に超法規的措置で悠々と国外に逃亡していく、というオチも第二期への引きとして文句なしだった(なんか星雲仮面マシンマンを微妙に髣髴とさせるというか)。

 最後が「また飲みに行くか」というシーンで、いつもの日常に戻りました、という光景で締めるのも心憎いというかだった。大満足の(第一期)最終回だった。


総括

 評価は○。


 近未来を舞台にしたSF警察物アニメで、序盤が評価△、中盤が評価×、だったが、終盤の猛烈な追い上げが凄く、最後は評価○にまで盛り返した。


 近未来の東京。パワードスーツ「ウィルウェア」による犯罪が急増したため、警察は対ウィルウェア犯罪の専門部署「第五特別公安課第三機動強襲室第八係」、通称第八を設立した。そして第八の存在意義を確認するため、本庁からエリートの花咲里あさみが派遣されてくるが……


 総監督が「コードギアス 反逆のルルーシュ」の「谷口悟朗」ということで、オシャレな警察アニメかと思っていたら、蓋を開けると特撮ヒーロー物のノリだったため驚いた。実際シナリオライター陣は、メインの荒川稔久をはじめ、井上敏樹、荒木憲一、石橋大助、と特撮番組経験の有るライターばかりで、この起用の意味はイマイチ図りかねるものがある。


 実際、このアニメを初期(1〜4話)、中期(5〜8話)、後期(9〜12話)と分類した場合、「初期」はほとんど特撮ヒーロー物のフォーマットで作っており、ある意味馴染みやすく、はっきり言えば安っぽい。何か事件が発生し、第八が出動し、事件を解決したもののその背後で謎の人物が関与していることが暗示される、という古臭い図式はかなり失望させられた。またその一方で列車型の本部がパトライトを光らせながら線路を疾走する描写など、戦隊物か巨大ロボ系アニメか、という雰囲気も有り、この辺りで評価を下げた事は認めざるを得ない。


 さらに「中期」は、捨て回とでもいうエピソードぞろいで、第八の各キャラの個性をつけるためにかなり妙なノリのエピソードが揃っており、このあたりで視聴テンションはだだ下がりとなった。


 ところが「後期」からクオリティが一変し、見所満載のエピソード揃いで評価は急上昇。今まで小出しにしていたロゴスについての動きや、「オロチ」「惨劇の果実」といった設定、群像劇要素の充実、など、別作品かと思えるほどストーリーの質が上がり、後期に関してはまったく文句の無い出来栄えだった。まさしくこの時期の展開こそが自分がアクティヴレイドに視聴前に求めた「SF警察物」ものであり、最後の一ヶ月は堪能させてもらった。


 1クールを終わった後から全12話を俯瞰してみると、このアニメは終盤の四話のみが全力投球で、それまでの話は「予告編」または「捨て回」にしか見えなかったりする。実際各話で「ロゴスの陰謀」云々の要素は多少は有るが、殆ど添え物の様な感じで、流して作ったような感さえある。「この設定とこのビジュアルで何故この程度の話しか無いのか」と歯噛みしたくなるようなストーリー群だった。「前期〜中期」でもっと話のレベルが高い話が存在していれば、このアニメの評価はもっと高かった事だろう。


 しかし、終盤4話のエピソードはまさしく期待していた通りのクオリティで、最終回は満足して見終わることが出来た。さらに次期の敵となるべきキャラクターも用意され、続きのエピソードへの期待も良い具合に高まった。第二期も(多分)夏から放送されるはずで実に楽しみである。

スタッフ情報
【キャラクター原案】佐伯俊
【総監督】谷口悟朗
【監督】秋田谷典昭
【アニメーションキャラクターデザイン】西田亜沙子
【シリーズ構成】荒川稔久
【音楽】中川幸太郎
【3DCG制作】オレンジ


音楽
【OP】AKINO with bless4「Golden Life」
【ED】相坂優歌透明な夜空


キャスト
黒騎猛:島粼信長
瀬名颯一郎:櫻井孝宏
花咲里あさみ:小澤亜李
星宮はるか:石上静香
山吹凛:倉田雅世
八条司稀:村田太志
山吹陽:相坂優歌
ミュトス:花江夏樹
舩坂康晴:大川透
天野円:大西沙織
協会さん:鳥海浩輔
稲城光太郎:緑川光
小湊恵里子:大原さやか
ドック:山下大輝
Liko:黒沢ともよ