感想:アニメ「ハルチカ〜ハルタとチカは青春する〜」第12話(最終回)「共鳴トライアングル」


TVアニメ『ハルチカ~ハルタとチカは青春する~』OP主題歌「虹を編めたら」

アニメ『ハルチカ〜ハルタとチカは青春する〜』公式サイト http://haruchika-anime.jp/
放送 BS11。全12話。

【※以下ネタバレ】

第12話(最終回) 『#12 共鳴トライアングル』

あらすじ

 東海大会まで一週間というある日、ハルタとチカは学校に浜松シンフォニーの人間が草壁を訪ねてきたことを知る。二人は浜松シンフォニーが草壁を指揮者としてスカウトに来たことを察し動揺する。次の日、ハルタとチカは草壁が自宅とは別の方向の列車に乗ろうとするのを見て、慌てて後を追いかける。ハルタたちは草壁が浜松シンフォニーに受諾の返事をしにいくのだと考え落ち込むが、草壁が向かったのは墓地だった。二人は草壁に見つかってしまい、草壁は二人に迷ったときにはここに来るのだと語る。ハルタとチカは墓地を離れるが、ハルタは亡くなった人の命日が8月1日で、草壁がかつてドイツで指揮を放り出していなくなったのと同じ日だったことに気が付いていた。ハルタは草壁がその人が亡くなったために、指揮に行けなくなったことを察する。

 東海大会で吹奏楽部は銅賞を獲得した。草壁は吹奏楽部部員に向かい、これからも自分についてきて欲しいと語りかける。芹澤直子はチカに対して、吹奏楽部に入部する気になったと告げる。帰りのバスで、片桐から次の部長が指名される事になり、チカは自信満々で受諾する気だったが、指名されたのはマレンだった。おしまい。

脚本 : 吉田玲子


感想

 評価は◎。

 今回は謎解き要素はウェートが軽いものでしたが、学園部活物という方向でのストーリーに全力投球しており、まさに絶品でした。クライマックスの吹奏楽部の演奏に合わせて、スタッフロールが流れ、過去二年間の出来事が次々と描写され、さらに観客席で過去のエピソードに出てきた関係者がずらりと揃って聞いている、という構成が素晴らしくて、じんわり泣けてきました。この演出は本当に良かった。部活物としてパーフェクトなラストだと思いました。

 帰りのバスで成島美代子と芹澤直子が、両側からチカの腕をとって引っ張り合いをしているにちょっと笑いました。チカはあの男らしい性格だから女の子にモテそうではあります。ところで最後の最後にスタッフロールを初めて真面目に見て気が付いたのですが、このアニメは主役はチカで、ハルタはナンバー2なのね。


一言メモ

 このアニメで、ハルタたちがごく当たり前に「ふもんかんを目指す」と言っていましたが、その『ふもんかん』とは「普門館」と書き、東京都の杉並区にある建物です。全日本吹奏楽コンクールの会場として使用され「吹奏楽の甲子園」というべき建物、「でした」。何故過去形かというと、2012年に耐震強度不足が指摘され、結局その問題がクリアできなかったため、2012年以降コンクールの会場ではなくなったからです。吹奏楽の知識のある視聴者からすると「古い話をしているな」と苦笑いしていたのかもしれませんね。



総括

 評価は◎。


 学園青春推理物+部活物というジャンルのアニメですが、予想以上のクオリティで大満足できる作品でした。


 穂村千夏(ほむら・ちか)は、中学時代は部活動のバレーボールに明け暮れていたが、おかげで全く青春を謳歌できなかったことを悔やみ、高校では優雅な吹奏楽部に入ろうと考えていた。そして千夏は幼い頃の友人だった上条春太(かみじょう・はるた)と再会するが、春太も吹奏楽部部員だった……


 このアニメの基本的な展開は、ハルタとチカが全国大会に行くため吹奏楽部の部員を増やそうと奮闘するうち、毎回なんらかの謎に突き当たり、それを推理して解き明かす、というもの。毎回、学園部活動モノと青春推理モノという二つの要素を上手くバランスをとったストーリーが展開され、どちらの要素でも楽しめることには好感が持てました。

 特に「推理物」としてちゃんと納得いく作品になっている事が心底嬉しかった。推理小説好きとして、過去に見た「推理物アニメ」で納得いくような作品は、今まで一作も見たことが有りませんでしたからね。毎回謎が提示され、手がかりが示され、ちゃんとした筋道の元に推理が行なわれ、解決が導かれる、という当たり前の事を当たり前に毎回しっかりとやってくれたのが好印象でした。ちなみに、ハルタの推理の際に、画面にキーワードが次々と表示される描写は、BBCのドラマ「シャーロック」の影響でしょうか。

 扱われる謎自体は、あくまで「日常の中で遭遇するレベル」のものであり、殺人や誘拐やそういった本格的な犯罪は扱われませんでしたが、それで物足りないという事は無かったし、時には高校生が扱うにはかなり重いテーマの回も有ったりして、謎解きそのものに不満を感じる事はありませんでした。やはりしっかりした原作小説があると違いますね。


 キャラクターデザインは、主人公たちが高校生というわりにはかなり幼く見えて当初は戸惑いましたが、慣れると違和感もなくなりました。回が進むと、メガネっ娘成島美代子なんかめちゃくちゃ愛おしいキャラになっちゃいましたしね。あと、ハルタの姉の南風(みなみ)(生天目仁美)が一回こっきりのゲストキャラというのも惜しかったなぁと。


 会話は、今風の軽い感じでは無く、あくまで落ち着いたトーンだったのがマルでした。時々、チカとハルタの掛け合いによる漫才のような場面もありましたが、羽目を外さない程度に抑えられていて、軽く笑えるという程度でしたしね。


 推理物と部活物の両要素をどちらもおろそかにすることなく成立させ、30分で謎の提示から解決まで終わらせる、という構成は見事でしたし、キャラデザも慣れてくると結構好きでした。放送開始前は、もっと今風の「軽い」アニメだと思っていましたが、予想以上の充実した内容で満足感で一杯です。これは本当に良いアニメでした。


TVアニメ「ハルチカ~ハルタとチカは青春する~」ED主題歌「空想トライアングル」

【原作】初野晴(KADOKAWA 角川文庫刊)
【キャラクター原案】なまにくATK
【監督】橋本昌和
【シリーズ構成】吉田玲子
【キャラクターデザイン】西田亜沙子
総作画監督】大東百合恵
【キャラクターデザイン補佐】大東百合恵
【楽器作画監督】杉光登
総作画監督補佐】杉光登
美術監督】佐藤歩
色彩設計】井上佳津枝
【CG ディレクター】平田洋平
【撮影監督】並木智
【編集】高橋歩
【音響監督】飯田里樹
【音響効果】中野勝博
【音響制作】グロービジョン
【音楽】浜口史郎
【音楽プロデューサー】吉江輝成
【音楽制作】ランティス



穂村千夏:ブリドカットセーラ恵美
上条春太:斉藤壮馬
草壁信二郎花江夏樹
成島美代子:千菅春香
マレン・セイ:島粼信長
芹澤直子:瀬戸麻沙美
檜山界雄:岡本信彦
片桐圭介:山下誠一郎
後藤朱里:山田悠希
朝比奈香恵:小見川千明