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感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン6」第21話「トリップ」

ドラマ


X-ファイル シーズン6 (SEASONSコンパクト・ボックス) [DVD]

■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン6 http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s6/
放送 Dlife。全22話。

【※以下ネタバレ】


※シーズン6の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら→「X-ファイル シーズン6」あらすじ・感想まとめ

第21話 トリップ FIELD TRIP

■あらすじ

http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s6/
EP21 トリップ
3日前にブラウン山へハイキングに行き、行方不明になっていたシフ夫妻が白骨死体で発見された。たった3日間で白骨と化した2人の死に、モルダーとスカリーは疑いを持つ。

 お題は「幻覚、未知の粘菌」。


 ノースカロライナ州ブラウン山で夫婦の白骨死体が見つかるが、二人は三日前まで生きており、これほど短期間に自然に白骨化するとは考えられない。スカリーは夫妻が黒魔術などの儀式の犠牲者と考えるが、モルダーはブラウン山山頂では過去700年間謎の光が目撃され続けている事から、UFO関係の事件だと確信していた。

 スカリーが二体の白骨を調べる一方、モルダーは一人で白骨の発見場所に向かうが、そこで死んだはずの夫婦を発見する。二人は『彼ら』に拉致されて実験された挙句、ようやく解放されたので隠れているといい、白骨は二人が死んだと思わせるために『彼ら』が作ったニセモノだと語る。モルダーは何か変だと思うが、やがて宇宙人「グレイ」を発見し、夫婦と共に自分のアパートに連れて帰る。そこにスカリーがやって来たので、グレイにあわせると、スカリーはグレイからテレパシーで話しかけられ、ついに宇宙人がいた事を認める。

 一方、スカリーは、白骨を調べ、付着していた粘液が植物の生成する消化液だと突き止めた。そのあとモルダーを探しに現場に向かうと、白骨死体を見つけるが、それはモルダーのものだった。しかし骨には粘液がついていなかったため、スカリーは仕方なく、モルダーは何らかの儀式の犠牲になって殺されたと報告する。スキナーもローン・ガンメンもその結論を疑わず、スカリーだけが真相は別のはずだと訴えるが誰も相手にしない。

 そこに突然モルダーが帰ってきて、宇宙人を見つけたと話し出すが、スカリーは話が変すぎることを怪しみ、この状況は全て幻覚だと指摘する。二人は現場近くでキノコを踏みつけたが、そこから発した胞子が二人に幻覚を見せており、現実は二人は巨大な粘菌に捕まって、先の夫婦同様に消化液で溶かされている最中に違いないという。すると次の瞬間スカリーや周囲の光景が全て消え、モルダーは幻覚から醒め、粘菌に消化されかかっていることに気がつき、地面から抜け出してスカリー共々脱出する。

 FBI本部に戻ったモルダーとスカリーは一連の出来事をスキナーに報告した。ところがモルダーは自力で幻覚から脱出できるはずはないので、これは現実ではないと言い出し、証明するといっていきなりスキナーを撃つ。するとスキナーの体から粘液が吹きだし、次の瞬間モルダーは消えてしまう(つまり今までがスカリーの見ていた幻だった)。


 最後、スキナー以下の捜索隊が地面の下からモルダーとスカリーを見つけて掘り出し、慌てて救急車に運び込む。二人が救急車で運ばれていくシーンで〆。



監督 キム・マナーズ
脚本 ジョン・シバン&ヴィンス・ギリガン


感想

 評価は○。


 モルダーとスカリーが超常の存在によって二人とも死に瀕し、外部からの救援でようやく命拾いする、という展開は、シーズン1・第20話「」やシーズン2・第19話「歪み」を思い出させるが、「闇」「歪み」同様に楽しめるエピソードだった。


 今回モルダーたちが遭遇した怪異は、「粘菌」の中のさらに「変形菌」に分類されるものの様である。変形菌は、キノコの様な生態とアメーバの様な生態を併せ持つ存在で、今回のエピソードでは幻覚胞子を撒き散らすキノコ部分と、人間を溶かして食べる地下部分の役割分担が有った事から、まず間違いないと思われる。広大な自然が広がるアメリカだと、こんな生物がまだ見つからずにその辺りの山野にひっそり存在している、という設定もそれなりにリアリティがあると思えてしまう。

 「闇」や「歪み」では、モルダーとスカリーが怪異の正体を調べそれに対抗しようとする様が描かれたが、今回はそれらとは趣向を変え、二人が見る幻覚が物語の大半を占めているという構成となっている(怪異に対抗する暇も無く、幻覚に引きずり込まれたので当然では有るのだが……)。そしてそれぞれが見る幻覚の内容が、二人の性格が良く出ているのが面白い。

 モルダーが見た幻覚は、UFO・アブダクション・人体実験・グレイと、モルダーの好きそうな要素のオンバレードで、さらに最後に懐疑派のスカリーが「宇宙人は本当にいたのね、認めるわ」云々とモルダーに降参する様が描かれている。モルダーがスカリーにいつかはこう言わせたい、と思っていることが実によく解る。一方、スカリーが見た幻覚の方は、怪しげな未知の要素は取り除かれていて、常識的な「白骨死体は悪魔系の儀式の犠牲者」という線に落ち着いてしまう。一応(幻覚の中の)スカリーは、それはおかしいとは言っているのだが、スカリーがとにかく超常現象に懐疑的だという姿勢が、幻覚にもキッチリ出てしまっている。

 終盤の、「二人がようやく粘菌から脱出してFBI本部に戻った、と思ったら、全部幻覚で、本当はまだ粘菌に溶かされている最中だった」という展開は、そんなことだろうとは思っていたが、なかなかショッキングでは有った。「トワイライトゾーン」の一エピソードにこんなタイプの話があったことを思い出してしまった。

 結局二人はスキナー以下の捜索隊のおかげで地面から掘り出され、なんとか命拾いをするが、「救急車に担ぎこまれて助かった」というオチもやっぱり幻覚だったりして、とかダークな事を考えてしまった。さて、二人を助けに来たスキナー以下のメンバーは、何故胞子を吸わないようにマスクを準備万端用意していたのだろうか。胞子を吸った途端すぐに幻覚に突入するわけだから、「胞子を吸わないように」と注意してくれる人間はいないはずなのだが……、ここだけはご都合主義というかで気になった。まあ誰かが助けないと、このエピソードをもって主役二人が殉職してしまい、番組が続けられなくなるから、致し方ない話ではあるのだが……


 今回の話では、モルダー(デビット・ドゥカブニー)とスカリー(ジリアン・アンダーソン)は、消化液という設定の緑のスライムみたいなものを顔に垂らされたり、土の中で半生き埋めにされてから掘り出されたり、と撮影がとても大変そうだった。