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感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン7」第5話「ラッシュ」

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■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン7 http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s7/
放送 Dlife。全22話。

【※以下ネタバレ】


※シーズン7の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら→「X-ファイル シーズン7」あらすじ・感想まとめ

第5話 ラッシュ RUSH

あらすじ

バージニア州の小さな町で、不可解な事件が発生。保安官助手が、電灯で顔がえぐられるほど殴られ殺されたのだが、そばにいた高校生のトニーは、誰の姿も見ていないという。

 お題は「超能力(超高速移動)」。


 田舎町で、トニーという高校生が、立ち入り禁止の森の中で、クラスのボス気取りのワル生徒マックスやその恋人のチャスティティから、仲間に入りたければ秘密を守れと脅される。直後通りかかった副保安官がトニーの目の前で撲殺されるが、犯人の姿は無かった。

 モルダーとスカリーが事件の調査に来るが、凶器は軽い懐中電灯なのに、死体の傷はハンマーで殴られたようなむごたらしいものだった。二人はトニーを容疑者として尋問するが、犯人というより誰かをかばっているようだと考える。直後証拠の懐中電灯が保管所から消えるが、監視カメラは一瞬の影の様なものが映っているだけだった。結局トニーは証拠不十分で釈放される。

 やがて学校でマックスを落第にした教師が、公衆の面前で、突然動いた机や椅子によって壁に叩きつけられて殺される。その直後マックスが倒れ病院に運び込まれるが、検査の結果、軽度の脳震盪を何度も繰り返したり、骨やじん帯が異様に傷ついているなど、ベテランのレーサーやフットボール選手並の怪我を負っていることが解る。モルダーはついに、マックスが何らかの方法で超高速できる事に気が付く。

 一方、トニーはマックスが森の中にある洞窟で超高速移動の力を得た事を知る。洞窟の中で、マックスから縁を切りたいチャスティティ、トニー、マックスが争いとなり、結局チャスティティがマックスを背中から撃った後、同じ弾丸に自分を貫かせて死ぬ。

 その後モルダーたちは学者に洞窟を調べてもらうが何も見つからず、モルダーはティーンエイジャーだけに影響する未知の力が存在していたのではないかと推測するが、結局洞窟はコンクリートで閉鎖された。最後に生き残ったトニーにまだ超能力が残っている的な描写で〆。


監督 ロバート・リーバーマン
脚本 ディビッド・アマン


感想

 評価は△。


 「ハイスクールが舞台、親が権力者なので学校のボス気取りのワル生徒が、さらに超常の力を手に入れて大人を馬鹿にしてやりたい放題するものの、最後は因果応報の目に会う」という、どこかで見たような感じの展開で、大して面白くも無かった上に突っ込みどころが多い話で失望した。


 マックスたちが得た力は超高速での運動能力で、終盤にはチャスティティが、自分の持っている拳銃から発射した弾丸を余裕で追い越してしまうシーンが有る。拳銃の弾の初速は秒速300〜400メートルのため、単純に秒速400メートルで移動できるとして、時速1440キロメートルで移動可能という事になり、つまり音速を超えている。

 それは凄い話だが、そんな超高速に身に着けている物が耐えられるのか、という疑問が湧いて来る。劇中にマックスが履いていたスニーカーの靴底のゴムが溶けて現場に残っている、という描写が有るが、その程度で済むのだろうか。自動車のタイヤも急発進するときに煙を吹くが、靴は燃え尽き、衣服は大気との摩擦でぼろぼろになるか燃え出すのではなかろうか。また、人間が歩いて超音速で移動するとして、周囲に物凄い衝撃波を発生させるのではないか。

 また、そういう物理的な話を無視するとしても、マックスやトニーがこの異常な超高速を身に付けた原因が全く明かされないのはどうかと思う。劇中で森の中の妙な洞窟に入ったトニーが早回しみたいな状態となり、超常エネルギーを充電されたような描写があるが、結局「何故そのようなことが起きたのか」は解明されないままだった。確かに「真相は謎のまま」というのはX-ファイルの得意技ではあるが、「XXが原因なのでは?」という示唆も無く、「とにかく原因はまるで解らないものの、便利な超能力が身に付きました」で済ますのでは、まともなシナリオとは言いがたい。もう少し真面目に話を考えて欲しかった。

 さらに、今回の事件は結局モルダーとスカリーは何の役にも立たず、超能力者三人(マックス、チャスティティー、トニー)の内輪揉めで事件が解決してしまう。まあ、モルダーたちが超高速で襲われたらひとたまりも無かったといえばそうだが、ではモルダーたちの存在意義はなんなのか、という事になってしまう。正直言ってモルダーたち抜きで事件が解決してしまったのでは、X-ファイルという番組の意味が無い。

 最後にトニーが、実はまだ超能力を失っていない的な描写をして〆になるが、どうせ洞窟はなくなったのだから、トニーが今超能力を持っていてもいずれ消えてしまうのは明白で、「不気味な余韻」にもなっていない結末というのも困りものである。結局今回はシナリオの質が低くてさっぱりだった。


一言メモ

 サブタイトル「ラッシュ RUSH」は、通勤ラッシュとかの「混雑」ではなく、動詞の「急ぐ」の意味ですね。