【コミック】「少女決戦オルギア」美少女魔法バトルロイヤルがさり気なく完結


少女決戦オルギア(1) (ヤンマガKCスペシャル)

20年に一度、秘密裏に開催されるという「ゲーム」と呼ばれる魔法・武器・格闘なんでもありのバトルロイヤル。日本国内に100以上ある魔術団体から各1名ずつ参加する「宿主」の女子高生が、夜な夜な命をかけた戦いを繰り返していた。その参加者の一人・水巻舞子は、怪物に魅入られた親友・緋乃の命を救うため「ゲーム」で最後の一人まで勝ち残り、最強の怪物『サンダルフォン』を手に入れる必要があった。

少女決戦オルギア ヤングマガジン公式サイト『WEBヤンマガ
※第一話試し読み可能
http://yanmaga.jp/contents/syoujyokessen_orgia/

【以下ネタバレ】


 講談社の月刊誌の「ヤンマガサード」で連載されていた、美少女バトルロイヤル物「少女決戦オルギア」(江島絵理)が5月6日発売の2016年VOl.6で完結しました。雑誌を代表するような魅惑の内容だったのに、結末は何かあっさりしていてちょっと拍子抜け?


美少女たちの血みどろバトルロイヤルと百合の日々

 舞台は現代。日本中の魔術団体は、20年に一度「ゲーム」というバトルロイヤルを開催し、代表として送り込んだ女子高生たちを戦わせあう。そしてゲームの最終勝者は、あらゆる魔法を無効化する究極の怪物「サンダルフォン」の所有権が与えられることになっていた。各団体の代表の少女たち「宿主(マスター)」は常人では無く、自分たちの体に「怪物(アノマリー)」と呼ばれる存在を「降神(エンチャント)」させることで超常の力を発揮することが出来た。

 主人公「水巻舞子」は怪物「アスモデウス」を宿す宿主の一人。怪物に狙われ余命僅かな親友「緋乃」を助けるためサンダルフォンの力を求めており、友人たちに素性を隠して日々超常の戦いを繰り広げていたのだが……


 というのが初期ストーリー。なんかそこはかとなく(というか思いっきり?)「聖●戦争」を連想させる設定ですが、それを差し引いても凄く面白くて。美少女女子高生たちがきちんと制服姿で殺しあう、というシチュエーションだけでもう魅力的ですが、面白さはそれだけに留まりません。「宿主」たちはそれぞれ自分の体に「降神」させた怪物の力を持っているのですが、どんな力が使えるかは当然互いに隠しており、命懸けのバトルの最中に互いの能力を探り合ったり、圧倒的な能力を持つ相手に駆け引きで対抗するという頭脳戦の要素があり、単なる腕力・能力のぶつけ合いでないところが深みが有り、読んでいて唸らされました。


 また夜のバトルシーンは物凄く殺伐としているのですが、一転昼間の女子高生モードの間は凄くふんわりとした、女子高生学園物みたいな話が展開するので、そのギャップが楽しくて楽しくてしょうがありませんでしたしね。(特に舞子と緋乃の百合一歩手前の関係は見ていてウキウキ)。さらにその延長で、毎回本編のあとに番外四コマ「甘味喫茶おるぎあ」という作品が掲載されており、こっちは完全なギャグマンガで、メタ展開的にキャラクターたちが本編の展開についてコメントしたり、あっさり死んでしまった名もないキャラたちが「すぐ死ぬ〜ズ」というグループを作ってメインキャラたちに絡んできたり、と、本編がシリアスになればなるほどギャップが凄くて本当に笑えました。


中盤になると

 舞子は最初は緋乃のためにわき目もふらずに戦っていたのですが、そのうち別の宿主たちと接触するうち、隠されていた真実を知ります。最終的に勝ち残った宿主は、サンダルフォンを手に入れることになりますが、それはその宿主はサンダルフォンに乗っ取られる事を意味していました。勝ち残らなければサンダルフォンは手に入らないので緋乃を助けられないが、最終勝者となれば自分がサンダルフォンになってしまい緋乃と会えなくなる。舞子はこの袋小路に陥ってわけがわからなくなります。この手の殺戮物にありがちなヒドイ設定では有ります。


最終回

 別の魔術師団体の宿主がチート的にサンダルフォンを手に入れて、ルールを無視して真昼間に舞子や緋乃の学校を襲撃してきます。舞子は緋乃を守ろうとして瀕死の重傷を負ってしまい、もう死は目前に。ところが緋乃に好きと告白した途端、突然完全回復。アスモデウスは色欲系の魔神のため、緋乃に好意を打ち明けた事で突然パワーが完全解放され、サンダルフォンに負けないような力が身に付いたのでした。そして舞子はサンダルフォンの宿主を瞬殺して(えっ!?)、緋乃を救っておしまい。


コメント

 終盤までは凄く面白かったのに、ラスト二回が「ええっ? 何これ?」という急速早回し展開になってしまいあっけにとられました。もしかして打ち切り的な何かだったのでしょうか? 物凄く好きな連載だったので最後の駆け足的な決着が残念ではありました。うおおお、この美少女バトル空間にもっと浸っていたかったよぉぉぉ(涙)


少女決戦オルギア(2) (ヤンマガKCスペシャル)