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感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン7」第19話「ハリウッドA.D.」

ドラマ


X-ファイル シーズン7 (SEASONSコンパクト・ボックス) [DVD]

■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン7 http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s7/
放送 Dlife。全22話。

【※以下ネタバレ】


※シーズン7の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら→「X-ファイル シーズン7」あらすじ・感想まとめ

第19話 ハリウッドA.D. HOLLYWOOD A.D.

あらすじ

教会の地下に爆弾が仕掛けられ、その爆破で、爆弾を仕掛けた犯人が死ぬという事件が発生。犯人は昔、反体制運動で鳴らした活動家で、最近では古文書を偽造していたらしい。

 お題は「宗教」。

 冒頭。映画館で「モルダーとスカリー(役の俳優)が悪の枢機卿率いるゾンビ軍団と大立ち回りを演じる」というアクションホラー映画が上映され、それをモルダー、スカリー、スキナーが見ている。

 その18ヶ月前。モルダーとスカリーは、スキナーから教会の地下で爆発が起きた事件の捜査を命じられる。その教会は将来のローマ教皇候補と言われているオファロン枢機卿がトップを勤めていた。ところが、さらに二人は、スキナーの友人で映画プロデューサー兼脚本家のフェダーマンが二人をモデルにしたサイコスリラー映画を作るので、取材に協力するようにと命令される。モルダーは勝手気ままなフェダーマンの振る舞いにキレそうになりつつ、嫌々同行させることにした。

 教会の地下室では、1960年代に反体制運動で有名だったマイカ・ホフマンという男の死体が見つかり、さらにホフマンが未発見の聖書を偽造しオファロン枢機卿に売りつけていたことが判明する。また地下室で、フェダーマンは骸骨が何かの杯を組み立てようとしている場面を目撃する。杯を分析して見ると、古代言語のアラム語で、誰かが死者を復活させようとしている言葉が再生される。スカリーは、イエス・キリストが死者ラザロを復活させる際に発した言葉が刻まれた「ラザロの杯(はい)」という物があるという都市伝説を思い出す。

 スカリーがマイカの死体を解剖しようとすると、マイカが突然しゃべりだす幻覚を見る。さらに教会でもはりつけのキリストの顔が突然マイカに見える。モルダーたちはオファロンがマイカを殺したと考え逮捕しようとするが、その瞬間生きているマイカが現われる。モルダーとスキナーは拙速な捜査をスキナーに叱責され、四週間停職になる。モルダーたちは暇になったので、ハリウッドに行って自分たちがモデルの映画の撮影を見物する。

 16ヵ月後。モルダーは上映されている映画の出来が余りにも酷いので嘆く。実は直前に、オファロンがマイカを殺したという知らせが入っていた。モルダーがラザロの杯を映画スタジオに捨てていくと、偶然それがレコードプレイヤーの様になって音声が再生され、そこら中からゾンビが復活して踊りだすシーンで〆。


監督 デビッド・ドゥカブニー
脚本 デビッド・ドゥカブニー


感想

 評価は△。

 モルダー役のデビッド・ドゥカブニーが監督と脚本を勤めるスペシャル回。ドゥカブニーはシーズン6・第19話「アンナチュラル」でも脚本・監督を担当していて、「アンナチュラル」がなかなかの出来だったので今回も期待していたが、出てきたのは何がしたいのかサッパリ解らない意味不明エピソードで失望させられた。


 一言で言ってシナリオがメチャクチャで、一応コメディ系の話のつもりらしいのだが、途中でスカリーがマイカの死体が生き返る幻覚を見たり、はりつけのキリストの顔がマイカの顔に見える、という神秘体験的な展開があったりして、宗教系のエピソードの様な要素もあったりする。さらに教会の地下室では動き回る骸骨が杯を組み立てようとするファンタジーみたいな展開があり、その杯はキリストが死者ラザロを復活させた際の言葉が刻まれているらしいと解る「聖遺物探索モノ」の様なノリもある。最後に20世紀フォックスのスタジオで死者の群れが蘇ってダンスを踊りだすシーンなどはもうシュールなコントである。余りにも要素が雑多すぎて、一体全体ドゥカブニーは何を目指してこの話を書いたのか、皆目見当がつかなかった。


 コメディ要素としては、

・スキナーがモルダーとスカリーに事件のあらましを説明しているときに、後ろでフェダーマンがいちいち大きな声で独り言を言っていて、モルダーが嫌そうな顔をするシーン

・フェダーマンがモルダーに、自分の役はどんな俳優にやって欲しいかと希望を聞くと、モルダーが「リチャード・ギア」と答えるシーン(※デビッド・ドゥカブニーリチャード・ギアに良く似ていると言われることにかけた冗談シーン)

・ハリウッドの撮影現場で、モルダーがモルダー役の俳優に「キミのアレは普段ズボンのどっち側に?」と聞かれるお下品シーン

・モルダーがスカリーに電話でスキナーの陰口で「あのハゲが」と話したつもりが、電話がスキナーに繋がっていて「まだ私だよ」と返事されてしまい、きまり悪いシーン

・映画の中でモルダーとスカリーが色々あって抱き合って、モルダーがスカリーに告白したら、スカリーが「スキナーの方がアレが大きいから好き」とか切り返すお下品シーン

 などがある。


 このように、コメディ要素はちょっと面白くはあるのだが、その一方でオファロン枢機卿とマイカの事件はひたすらシリアスで、さらにマイカは大真面目に自分はキリストだと名乗り始めるなど、宗教系の事件の様な雰囲気なので、コメディ部分との温度差が違いすぎて同じエピソードの中の話とは思えなかった。またマイカが生きていたのなら、教会の地下にあったあの死体は何だったのかということについて全く説明が無いので心が落ち着かない。マイカが自分はキリストとして復活したと自称していたが、それと関係あるのだろうか? あの死体は何者で何故あそこにあったのか納得のいく説明が最後までなかったのは困りものである。またスカリーがマイカの復活を何度も幻覚で見たのはなんだったのかも解説が無いので、意図がさっぱり解らなかった。


 ラザロの杯にイエス・キリストの肉声らしきものが記録されている(らしい)、という設定は、小説「イエスのビデオ」(アンドレアス・エシュバッハ/ハヤカワ文庫NV)を連想した。基本的につまらないエピソードだが、この部分のアイデアについては文句なしに賞賛したい。


 しかしながら、最後の「20世紀フォックスのスタジオでゾンビが踊りまくって〆」というオチは、あまりにもあまりである。大体映画スタジオの床に死体がゴロゴロ埋まっているわけがなかろうし、シュールなお笑いのつもりだとしても、どう反応して良いか困る結末である。最初から最後まであまりにもまとまりのないシナリオであった。これにOKを出したスタッフは何を考えていたのかと苦言を呈したい。


一言メモ

 今回のサブタイトル「ハリウッドA.D.」の「A.D.」とは「Assistant Directer」=「副長官」のことみたいです。つまり全体としては「ハリウッドのスキナー」くらいの意味ですかね?


もう一言

 チャックがラザロの杯を調査したときに前半分に「僕はセイウチ、僕はセイウチ、パウロは死んだ、ククカチュー("I am the walrus. I am the walrus. Paul is dead. Coo-coo-ca-choo.")」という言葉が入っていたと言いますが、これはビートルズの曲「アイ・アム・ザ・ウォルラス("I Am the Walrus")」の歌詞の一部です。英語で台詞が聞ける、かつビートルズ好きなら冗談と理解できるのでしょうが、日本人視聴者には意味不明の台詞でしかないですよね。