読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン8」第4話「ロードランナー」

ドラマ


X-ファイル シーズン8 (SEASONSコンパクト・ボックス) [DVD]

■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン8 http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s8/
放送 Dlife。全21話。

【※以下ネタバレ】



※シーズン8の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら→「X-ファイル シーズン8」あらすじ・感想まとめ

第4話 ロードランナー ROADRUNNERS

あらすじ

http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s8/episode.html
EP4 ロードランナー
ユタ州の砂漠で、20代のバックパッカーが頭を叩き潰されて殺されるという事件が発生。しかも彼の体は90歳の老人のようだった。スカリーは検屍のアドバイスに呼ばれる。


 お題は「未知の生物、カルト集団」。

 ユタ州の砂漠で頭を叩き潰された男の死体が発見され、被害者は若者にも関わらず90代の老人の様に老いていたという。スカリーはとりあえず一人で調査に出かけ、現場には粘液(糖タンパク)が落ちていたため、ドゲットにX-ファイルに類似事件が無いか調べるように頼む。

 そのあとスカリーは人里離れた場所なのにバスが走っているのを見かけ、付近を調べて地図に載っていない町を見つける。町の住民はスカリーが医者だと知ると、こっそり車に細工して街から出られないようにし、さらに病気の若者の診察を依頼して来た。スカリーは若者の背中の腰辺りに傷があり、さらにそこから体内に巨大な寄生生物が入り込んでいる事に気付く。スカリーは二人で町から脱出しようとするが捕まり、町の住民は若者を殴り殺して頭から寄生生物を取り出すと、今度はスカリーに生物を植え付けてしまう。

 一方ドゲットはスカリーが行方不明になったと知り、現地の警察と協力して捜索を行なう。X-ファイルの中には、今回発見された男の死体と同様に背中に傷のある変死体が、90年代に4件も記録されていた(このエピソードの放送は2000年)。やがてドゲットはカルト信者の町にたどり着き、スカリーを助け出すが、スカリーの中の寄生生物が脳に達しようとしていたため、首を切り裂いて生物を取り出し撃ち殺す。直後に警察が到着し、町の住民は逮捕された。

 一週間後、回復したスカリーは退院する事になった。街の住民は寄生生物をキリストの再来だと信じているらしかった。スカリーは単独行動をドゲットに詫びて〆。


監督 ロッド・ハーディ
脚本 ヴィンス・ギリガン


感想

 評価は△。

 スカリーがカルト集団に捕まり、奇怪な「神」の生贄にされる、という宗教ホラーエピソードで、雰囲気は抜群でラスト前までは面白かったが、締めくくりに失敗したもったいない回だった。


 メインテーマは「カルト集団の恐怖」で、カルトのメンバーが人里はなれた場所で怪しげな神を信奉し、通りすがりの人間を次々と生贄にする、という設定はそれだけで怖い。若い女性が一人で、近い街まで数十キロという陸の孤島に取り残され、携帯電話は通じず、怪しげな人間たちに取り囲まれ、というシチュエーションは見ているほうがドキドキしてくるほどの恐怖設定である。しかも、これが絵空事では無く、アメリカなら普通に有りそう、というのがますます怖い。

 これだけでも十分なのだが、さらにカルトメンバーが信奉する謎の生物もえげつない。見た目は全長30センチの巨大ナメクジで、人間の背中から入り込んで最終的に脳に寄生する模様である。寄生された若者の言動から推測すると、このナメクジもどきは人間を乗っ取って体を支配するだけでは無く、結構高度な知性もあるらしく、取り付いた人間の口から自分を「人間以上のもの」と自称している。このあたりは、少しだけSF「二十億の針」に登場する異星生物を連想させた。

 ということで、スカリーが狂信者たちに捕まってナメクジもどきの生贄にされ、危ういところを頼もしいドゲットが救い出して解決、という大まかなあらすじはいいのだが、そのままで終わってしまい、結局「神」扱いののナメクジもどきが何だったのか解明されないまま終わってしまったのには唖然とさせられた。カルトメンバーがあんなナメクジもどきを「キリストの再来」とまで信じ崇めているのならば、それなりの理由があったはずなのに、生物について何も触れずに終了、というのはあんまりであろう。

 せめて「神」が取り付いた人間は物凄いカリスマ性を持ち信者たちを心酔させる力があったとか、催眠術的なモノで人間を操っていたとか、「神」が信者に長寿とかの恩恵を与えていたとか、といった説明があってしかるべきだと思うのだが、何もなしに終わってしまったので、カルトメンバーが何故次々と犠牲者を求めたのか解らない。劇中の描写では「ただナメクジもどきを生かすためにだけ生贄を求めている」ようで納得がいかない。カルトに所属する狂信者たちにまともな論理的思考を求めるのは無駄、という事かもしれないが、説明も何も無しというのは作り手の逃げだという気がする。ついでに言うと、冒頭に出てきた死者が物凄く老いていた、という状況についても解説無しで終わっているのはどうかと思った。


 その代わりというか、ドゲットの活躍ぶりは見事の一言で、地元警察と緊密に連携して仕事を進め、あっという間に町までたどり着き、さらに前回「爪痕」に引き続き相手の嘘を難なく見抜いてスカリーを救い出す頼もしさだった。特にスカリーをお姫様だっこしてバスに担ぎこむシーンには心底痺れた。しかし、バスをキー無しで起動させるところで、スカリーから出来るのかと聞かれて、「任せておいてくれ。シックスティ・セカンズで憶えた」というシーンはちょっと笑った。これは時事ネタで、「60(シックスティ)セカンズ」とは、このエピソードが放送された2000年に公開された車泥棒の映画のこと。刑事時代に習得したとかでは無く、映画を見て技術を身につけた、という台詞は本気かジョークかどっちにしろユーモラスだった。

 クライマックスで、ドゲットがスカリーの背中(というか首)を切り裂いて寄生生物を引きずり出すシーンはメチャクチャ気持ち悪いのだが、そんな背骨周辺を素人が無理やり消毒もしていないナイフで切りつけて、スカリーが良く生きていられたなと突っ込みたくなった。まあ、そのあたりは深く突っ込むべきではないのかもしれない。


 それにしても、サブタイトルの「ロードランナー」とは結局何だったのだろうか。まさかカルトメンバーがバスで夜中に道を走り回っていることを示しているのだろうか? こちらとしては、アメリカのアニメで「ミッミッ」とか鳴きながら道を走り回っている鳥を連想してしまうのだが……