感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン8」第5話「冥界の使者」


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■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン8 http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s8/
放送 Dlife。全21話。

【※以下ネタバレ】


※シーズン8の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら→「X-ファイル シーズン8」あらすじ・感想まとめ

第5話 冥界の使者 INVOCATION

あらすじ

http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s8/episode.html
EP5 冥界の使者
7歳で誘拐されたビリーが、十年後に突然、年もとらずに昔と同じ姿で戻って来た。検査の結果から本人と確認されたが、ドゲットが質問しても、誘拐犯について何も話さない。

 お題は「亡霊」。

 1990年、7歳の少年ビリー・アンダーウッドが失踪した。10年後ビリーが発見されるが、17歳になっているはずなのに、その姿は10年前と何一つ変わっていなかった。スカリーはこの異常な状況に注目するが、ドゲットはそれよりビリーを誘拐した犯人を逮捕するほうが重要だと歯牙にもかけない。しかしビリーは誰にも何も話さないままだった。

 やがてビリーの弟ジョシュのベッドにナイフが突き立っているのが見つかり、それにはビリーの血がついていた。父親はビリーを警戒し、アンダーウッド家は崩壊寸前となる。一方ドゲットは10年前にも容疑者として名前の挙がったロニー・バーネルを真犯人だと目星をつけ追いまわす。

 やがてビリーの弟ジョシュまで行方不明になり、またドゲットはロニーもまた真犯人に脅されていた事に気がつく。真犯人はロニーの母親の愛人カルだった。ドゲットたちはカルを逮捕し、誘拐されていたジョシュを救出した。しかしビリーは姿を消し、直後ビリーの白骨死体が地面から掘り起こされる。ドゲットは自分たちが見たビリーが亡霊だったと納得できないが、スカリーはもうドゲットに出来る事はなにもないと忠告する。


監督 リチャード・コンプトン
脚本 デヴィッド・アマン



感想

 評価は△。


 死者が戻ってくる心霊系のエピソードだが、雰囲気だけは良かったものの、最終的に真相が解ってみると話が支離滅裂すぎだと判明し、評価は低目。


 途中までは謎だらけで、「ビリーは何故成長していないのか」「どういう理由で帰ってきたのか」「何故しゃべらないのか」「ビリーの周りに執拗に現われる謎のマークの意味は何か」「ロニーは事件にどう関わっているのか」といった謎が次々と提示され、興味をそそられる。しかし事件が解決してみると、整合性も考えずに適当に謎を振り撒いただけのいい加減な内容だったと解り、思いっきり落胆した。

 ビリーの行動を見ていて、何らかの理由で弟を憎んでおり(自分が既に死んでいるのに、弟が幸せに暮らしているのが憎い、とか)、弟を殺すためあの世から戻ってきた、という救われないホラー話かと思っていたのだが、全然違っていた。弟のベッドにナイフが突き刺さっていたのはそういう方向にミスリードするつもりだったと思われるが、正直その真相の方がマシだった気がする。


 本エピソードの粗を上げればきりが無いが、ざっと思いつくだけでも、

・ビリーは何故10年経った今亡霊となって戻ってきたのか?
・ビリーが戻ってきた目的は?(犯人の告発? 家族に会いたかった? 死体を見つけて欲しかった?)
・ビリーが犯人を指し示すのに何故解りづらいマークをアピールするだけだったのか? 口でしゃべるか文字で書けば一発解決ではないか?(亡霊だから喋れなかったとしても、7歳なら文字が書けるはず)
・ジョシュのベッドにナイフが刺さっていた一件は何だったのか?
・何故ビリーはひょいひょい姿を消して周囲の人間を混乱させたのか?

等々。要するにビリーの行動に必然性も合理性も無いのである。最後に「既にビリーは死んでいた」と判明した時点で、視聴者にあの謎は全てこういう理由だったからか!と納得出来るような話であって欲しかった。デヴィッド・アマンの書くシナリオはこんないまいち話ばっかりである。


 捜査の途中でドゲットが財布から子供(男の子)の写真を取り出して見るシーンがあり、ドゲット自身が愛息誘拐の被害者であることが暗示される。今後の伏線としてどう生かされるか注目したい。


一言メモ

 サブタイトルの原題「INVOCATION」とは「祈願」の意味。ビリーの家族が息子が帰ってくるように祈っていた、という事だろう。日本語サブタイトル「冥界の使者」は、ある程度話が進めば、ビリーが冥界の使者、つまり幽霊と解ってしまうので、ネタバレすぎるのではないか。