読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン8」第14話「デッドアライブ Part1」

ドラマ


X-ファイル シーズン8 (SEASONSコンパクト・ボックス) [DVD]

■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン8 http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s8/
放送 Dlife。全21話。

【※以下ネタバレ】


※シーズン8の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら→「X-ファイル シーズン8」あらすじ・感想まとめ

第14話 デッドアライブ Part1 THIS IS NOT HAPPENING

あらすじ

http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s8/episode.html
EP14 デッドアライブ Part1
オレゴンで友人を誘拐されたリッチー。インターネットのチャットの情報を頼りにモンタナに来て、UFOを目撃する。そしてUFOを追いかけるうちに、逃げ去る人影を目撃。

 お題は「アブダクション」。


 シーズン7最終回(第22話)「レクイエム」、第1話「サーチ・フォー・モルダー Part1」、第2話「同 Part2」の続編。


 モンタナ州でUFOが目撃され、飛び去った跡から人体実験で瀕死の女性が発見された。その女性は昨年(2000年)春にオレゴン州でモルダーたちと共にUFOに誘拐されたテレサという人物だった。直ちに、スカリー・ドゲット・スキナーは現地に赴くが、その直後テレサは何者かに病院から連れ去られてしまう。

 ドゲットはカルト集団や儀式犯罪に詳しいFBI捜査官モニカ・レイエスを呼び寄せ、レイエスは「UFOに誘拐されたとされるテレサやモルダーたちは、実はUFOを信じるカルト教団に入信していて姿を消しただけ」という考えを披露する。さらにドゲットもそれに同調したため、スカリーは腹を立てる。しかしレイエスはそれでいて、地球外生物アブダクションについても否定もせず、また自分は宇宙のエネルギーを感じる力が有るともいう。

 深夜、荒野をドライブしていたレイエスもUFOを目撃し、また何者かが車で逃げさるところに出くわす。さらにその跡には、オレゴンでUFOに誘拐された青年の死体が残されていた。レイエスの目撃した車からUFOカルトのリーダー・アブサロムが浮上し、FBIはアブサロムのカルトが暮らす農場を捜査する。すると、消えたテレサが見つかるが、何故かテレサは大怪我が完全に回復していた。

 またFBIが押収したビデオテープの中にジェレマイア・スミス(※シーズン3・第24話「タリサ・クミ」、シーズン4・第1話「支配者」に登場した、治癒能力を持つ異星人)が映っていたため、スカリーは農場に取って返し、スミスと話す。スミスは自分がモルダーの治療をする直前にFBIが踏み込んできたと言い、また自分の身を守れと命じる。その直後、農場の外ではモルダーの死体が発見されていた。それを見て半狂乱になったスカリーはスミスに治療してもらおうと農場に引き返すが、農場の真上にはUFOが出現しており、UFOと共にスミスは姿を消していた。


監督 キム・マナーズ
脚本 クリス・カーター & フランク・スポトニッツ


感想

 評価は◎。

 シーズン冒頭の第1話「サーチ・フォー・モルダー Part1」、第2話「同 Part2」二部作以来、久々にモルダーの失踪事件を正面から扱ったエピソードで、そのテーマに相応しく実に見ごたえのある傑作回だった。


 「UFOにアブダクションされた人たちの帰還」というUFOテーマの王道的展開をベースに、新キャラのモニカ・レイエスの登場、ドゲットのキャラの掘り下げ、そして何よりモルダーの身を案じるスカリーの焦り、といった様々な要素が盛り込まれた充実した内容で大満足の一言だった。

 今回から(今後レギュラーになるらしい)モニカ・レイエス捜査官が登場した。レイエスは「儀式犯罪」が専門で、つまり悪魔教といった類のカルト集団の捜査についてのスペシャリストで、また、アブダクションを否定しない思考の柔軟性を持つという、女性版モルダーともいうべきキャラクターである。しかし、それだけなら良かったのだが、スカリーに「自分は宇宙のエネルギーを感じる事が出来る」とか真顔で告白する辺り、単に危ない人間が一人増えただけ、という危機感を感じさせてくれた。レイエスは、自分はニューオリンズ支部では浮いていた、とスカリーに語るが、宇宙エネルギー云々と言い出す人間を好意的に受け入れる職場も無いだろう。またアブサロムの尋問を見ていたレイエスが、いきなりニヤと笑みを浮かべるシーンは、味方サイドのキャラクターにもかかわらず、やたら気持ち悪かった。なんとも底が知れない人物の登場である。ちなみにレイエスは愛煙家で、好みのブランドは懐かしのスモーキング・マンと同じである。最近タバコ要素を持つキャラクターが不在なので、そういう設定になったのだろうか。

 またレイエスとドゲットの会話で、ドゲットの息子が誘拐された(そして多分死体で見つかった)ことが明かされる。ドゲットの息子が誘拐の犠牲者らしい事は、第5話「冥界の使者」で暗示されていたが、それが明確になった。また何故ドゲットがモルダーの失踪事件に熱意を持つか、についても、息子を失った自分とスカリーを重ね合わせている、と解って、結構良い人じゃんと思えた。

 さらに、懐かしのジェレマイア・スミスが突然再登場したのは、ちょっと嬉しかった。スミスは、まだ異星人とか秘密組織ネタが頻繁に使われていた時期のエピソード(シーズン3・第24話「タリサ・クミ」、シーズン4・第1話「支配者」)に登場した人物で、地球侵略を狙う宇宙人「入植者(コロニスト)」の一員でありながら、地球人側に好意的で、それゆえ宇宙人の処刑人バウンティ・ハンターに狙われることになった。「支配者」で行方不明となったため、当然死んだと思っていたのだが、実はしれっと生きていたわけである。スタッフも、あの時生死不明にしておいたおかげでまたキャラが再利用できて良かった、とか考えたかもしれない。


 今回のエピソードで一番印象的なのは、スカリー役ジリアン・アンダーソン+吹き替えの相沢恵子氏の演技だろう。カルトの指導者アブサロムに対して真実を話すように懇願するシーンも悲痛だったが、なにより最後の、スカリーが死体のモルダーを見て半狂乱になって「助けを呼ばなくちゃ!」と叫んでスミスの元に突っ走ったのに、そのスミスはUFOに誘拐されて消えてしまい、それを知って「こんなの嘘よ!」と搾り出すように言うあたりは、もう鳥肌が立つような感覚を憶えた。X-ファイルでこれだけ心が揺さぶられた回というの初めてで、完璧な次回への引きだった。


 ところで、スカリーたち四人が押収したビデオの映像を見ながら「これはどういうことだ?」というシーンが有るのだが、画面が暗すぎて何も見えず、四人が何に驚いたのかちっとも解らなかった。「どういうことだ?」は視聴しているこっちが言いたい台詞である。


一言メモ

 サブタイトルの原題「THIS IS NOT HAPPENING」とは「嘘だろう?」という意味。冒頭でUFOオタクのリッチーが光る物体の側で宇宙人?を見た時と、ラストでスカリーがジェレマイア・スミスの失踪を知ったとき、共にこの台詞を口にしています。