感想:NHK番組「ニッポン特撮遺産〜続々登場!70年代テレビヒーロー〜」

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ニッポン特撮遺産〜続々登場!70年代テレビヒーロー〜 http://www4.nhk.or.jp/P4065/
放送 NHK BSプレミアム。2016年7月16日(土) 19:30~21:00 放送。

【※以下ネタバレ】

テレビに特撮ヒーローが登場して半世紀。子どもたちを熱狂させたあの名シーンはどうやって生み出されたのか?日本の文化遺産というにふさわしい特撮のスゴ技を探っていく。


仮面ライダーミラーマン帰ってきたウルトラマン!懐かしいヒーローの名&迷場面がギュギュッと詰まった90分。でも本当の“ヒーロー”はブラウン管の裏側にいた!当時の番組を支えた特撮のレジェンドたちの色あせない技を「本人自ら」再現。マットアローのキリモミ飛行、V3の爆破シーン、ミラーナイフの光の競演…。名場面に潜んでいた驚きの知恵。その真相に少年の心がよみがえる、そんな土曜の夜をお届けする。


【出演】哀川翔,天野ひろゆき,小島瑠璃子,高田延彦,藤岡弘、,鈴木美潮,【語り】垂木勉

内容

 1970年代に全盛期を迎えた特撮ヒーロー番組。その撮影テクニックを紹介していく。


(1)爆発

・砲煙

 煙がポンと出る仕掛け。黒色火薬を仕掛けておいて電線を繋いで爆発させる。


・疑地雷

 怪獣が吹き飛ぶシーンなどの仕掛け。怪獣の精巧なミニチュアを発泡スチロールで作り、内部にこの疑地雷を仕掛けて粉々に爆発させると、怪獣がヒーローに倒されて爆発するおなじみの場面が出来上がる。


・ナパーム爆破

 火柱が上がる爆発。ガソリンをビニール袋に入れておき、それを鉄の筒に入れて爆発させると、筒に沿って火炎が上に吹き上がる。


・セメント爆破

 爆破レジェンド「菊池潔」氏は引退しているので、その弟子の坂本佐幸氏登場。仮面ライダーV3のオープニングなどで見られる猛烈な爆発シーンの秘密を実演してもらう。あの煙がもうもうと上がる爆破は、セメントの粉を爆発させる。セメント袋をあらかじめ踏み固めて塊を作っておき、それを爆発させると、その塊が空中に飛び散って「角」と呼ばれるトゲ状の煙が生まれる。袋の踏み方にコツがある。

 今では爆破シーンはもうCG合成。街の中でドラマが展開するので、本物の爆破をやるのは無理になりました。


(2)飛行シーン

 ミニチュアの飛行シーン。特撮監督で飛行シーンに定評があり、「飛びの佐川」と呼ばれた「佐川和夫」氏登場。帰ってきたウルトラマンの中で飛行機が宙返りするシーンがあるが、どう撮影したのかご本人に再現してもらう。カメラを横に倒し、飛行機も横向きに寝かせておいて、それをクレーンでぐるりと回転させると、縦に宙返りしたように見える。今はもう飛行機はCG合成で飛ばす時代で、釣りのテクニックは使われていないとか。



(3)ライダーの変身シーン

 仮面ライダー一号本郷猛役の藤岡弘、登場。実は当初ライダー一号には変身ポーズは無く、ポーズを初めて取ったのは二号だった。最初はライダーはバイクに乗って高速で走ると、ベルトの風車が風で回転して変身、というだんどりだった。

 ところが藤岡氏が事故で降板し、急遽佐々木剛氏が二号ライダーとして登場する事になったが、佐々木氏はバイクの免許をもっていなかったため、ポーズを取って変身することになった。ポーズは大野剣友会の人が考えたが、「柔の星」という柔道映画の中にそっくりのポーズが有り、そこからヒントを得たのではとも。もしも佐々木氏もバイクに乗れたなら、ライダーの変身ポーズというものはこの世に存在しなかったかもしれない。



(4)光線

 特撮の光線の描写は、一こま一こま手で書いて合成していた。一秒24コマなので、4秒発射するだけでも96コマ。それを全て手書きなので物凄い手間である。

 光線のレジェンドとして「飯塚定雄」氏登場。映画「ゴジラ」の時代から美術関係で特撮に関わり、その後光学作画に転じて未だに現役。氏は円谷英二から「三大怪獣地球最大の決戦」で、キングギドラの光線を任されたが、首がうねうね動いているのでまっすぐの光線はとても作画出来ない。そこで稲妻状にジグザグに光線が飛んでいくという手法を思いつく。

 氏の哲学。正義の味方の光線は直線、悪の光線はゆがんでいる。

 もう今はフィルムに手書きでは無く、デジタルで画面に直接描き込んで合成していく。氏は60歳を過ぎてからデジタル技術を習得したという。



(5)機電

 機電とはきぐるみなどの電気仕掛けのこと。レジェンド「倉方茂雄」氏登場。ウルトラQのころから機電に関わっていたという。怪獣の口の開閉や、バルタン星人の目の光、メトロン星人の胸の点滅、などを担当した。バルタン星人の目は、光源では無くカバーのほうを回転させるることで目の光が微妙に変化している様を作り出した。


感想

 ライダーとかミラーマンとかアイアンキングとか懐かしかった。ウルトラマンタロウとか作品そのものは全然好きじゃないのですが、オープニングのメカの発進シーンは今見ても痺れました。

 特撮のレジェンドたちに、もう今は現場では使われていない技術を披露してもらうとか、なかなかのイイ番組でしたね。


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