感想:特撮「マイティジャック」(1968年) 第13話(最終回)「怪飛行船作戦」


マイティジャック Vol.1 [DVD]

放送 CS放送・チャンネルNECO。全13話。

【※以下ネタバレ】

1968年・円谷プロ・60分・カラー・スタンダード

当時のテレビ史上最高額である1,000万超の製作費を投じて劇場映画級で取り組まれ、円谷プロの最高傑作とも評される本格特撮ドラマ。近代科学の粋をこらして建造された万能戦艦マイティ号に乗り込み、悪の組織・Qから現代社会を防衛する11人の勇者たちの活躍を描く。

第13話(最終回) 怪飛行船作戦

あらすじ

 海外から招いたダンサー・コンスタンチン(松岡きっこ)がカメラマンの前で風船を持って踊っていると、突如何者かに風船を狙撃され、コンスタンチンは失神する。現場にはたまたまコンスタンチンのマネージャーと知り合いだった当たちが居合わせていたが、犯人には逃げられる。調べてみるとコンスタンチンが持っていた風船には猛毒のガスが詰められていた。

 MJ隊員は海上に飛んでいった残りの風船を追跡すると、海の中から次々と風船が浮上してくる場面にでくわすが、風船に爆弾が仕掛けられており、命からがら逃げ出す。Qは細菌ガスをつめた風船を太平洋に投下し、太平洋の魚類を全滅させるという計画を進めていた。

 当はコンスタンチンはQのスパイではないかとカマをかけてみるが正体を表さない。直後当の前にQの細菌ガス計画の一員・クモカワ博士ことサガワ(平田昭彦)が現われる。サガワは太平洋戦争中に当と同じ部隊の兵士だったが、当が特攻作戦に出撃する前にマラリアで倒れたため、代わりに出撃することになり、九死に一生を得たものの、顔に大怪我を負っていた。サガワは当が仮病で出撃を免れたと憎しみを抱いていた。

 コンスタンチンは当に、見知らぬ誰かに狙われていると訴え、当が逃がそうとするが二人ともQに捕まる。コンスタンチンはQのスパイでサガワの女だったが。裏切ったと見なされサガワに殺され、当は細菌ガスを満載したQの巨大飛行船に乗せられる。当は脱走して、飛行船内で撃ち合いとなる。飛行船は当が呼び寄せたマイティ号との戦闘になり大破する。サガワは飛行船から落ちそうになり、当が必死で助けようとすると、サガワは当を誤解していたことに気が付き、一人で脱出しろと言ってそのまま転落する。当はパラシュートで脱出する。マイティ号は捨て身の体当たりで飛行船を撃墜した。


感想

 評価は△。

 なんかこう、話の繋がりがガタガタでスムーズに視聴できず、どうにも違和感の残るエピソードだった。


 冒頭、当たちが勢ぞろいしている目の前でコンスタンチンが怪しい男にいきなり狙撃されるので、これはMJが行なっている何らかの作戦が進行中なのか?と思っていたが、全然そんなことは無く、当たちはたまたまそこにいただけ、という時点でハァ?という感じであった。そもそも当は表向き喫茶店ガリレイのマスターでしかないのに、何故ダンサーの招聘に協力しているのか訳がわからない。

 また一ダンサーが持っていた風船の中に細菌ガスが入っているという時点で妙な滑り出しだが、さらにその後Qが潜水艦から風船を海上に射出してMJのボートを攻撃する、というくだりも妙に回りくどくて、これは一体どういう話なのか、と頭が混乱してきた。

 その後も、当が唐突にコンスタンチンを疑いだして川上に風船を狙撃させるというシーンも珍妙だし、Qの幹部が部下たちに「実は風船で毒ガスをばら撒くというのは無し。本命はこの巨大飛行船でのガス散布なのだ」とか言い出した時点で、じゃあ成層圏風船爆弾云々と言っていたのはなんだったのだ、と突っ込まずにはいられなかった。

 しかも、珍妙な展開はさらに留まるところを知らず、当とコンスタンチンが閉じ込められた牢屋に外から風船がポイポイ放り込まれるシーンはのどかというか間抜けだし、平田昭彦が狂ったように風船を撃ちまくるシーンも、なんとなくバカみたいである。しかもこの後コンスタンチンは出なくなるのでどうしたのかなぁと思ったのだが、要するにここで細菌ガスで死んでしまったらしい。コンスタンチンは一体何の為に出てきたのだろうか。

 最後はとりあえず当が元戦友の平田昭彦と和解して、マイティ号が飛行船を体当たりで撃墜してめでたしめでたし、と言いたいところだが、恐ろしい細菌ガスを積んだドラム缶がそのまま海に沈んでしまったのでは、解決になっていないのではないか。ドラム缶が腐食してガスの原液が漏れ出したら恐ろしい事態になると思うのだが、そんなことを心配してるのは私だけなのだろうか。

 と、最終回にもかかわらず粗だらけのエピソードだったが、それはそうと松岡きっこが予想以上に美人だったので驚いた。


EX合金マイティジャック 万能戦艦マイティ号 Ver.2