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感想:雑誌「昭和40年男 Vol.41」:1970年代のSFを総括した必見の内容、昭和40年辺り生まれにおススメ

アニメ 特撮

2017年2月号

昭和40年男 http://www.crete.co.jp/s40otoko/
発売日:2017年1月11日(奇数月11日発売)

【※以下ネタバレ】
 

巻頭特集 俺たちのSF

一般に「SF」と聞けば、クラークやハインライン筒井康隆小松左京らのSF小説や、映画『2001年宇宙の旅』などの名作が挙げられますが、幼少時からテレビを観て育った昭和40年男たちにとって、それらが身近な存在だったとは言いにくいところがあります。


むしろ幼少時から親しんだテレビ特撮やアニメ、ハリウッド映画など、当時次々に登場したエンターテイメント性の高いSF映像作品群を浴びるように観て育っており、もはやそうと意識しないほど自然にSFと親しんだ世代だと言えます。


そこで今回は、こうしたSF作品群が人気を集めていった背景について、当時の関係者たちへの取材を通して明らかにしつつ、それらが与えた世代的影響について、さまざまな切り口から考察しました。



総論
SFと昭和40年男


インタビュー
 アニメ・特撮研究家 氷川竜介
 SF翻訳家・書評家 大森 望
 『宇宙船』創刊編集長 村山 実


テレビ特撮
 テレビ特撮はSFの入口


アニメ
 搭乗型ロボットがSFにもたらしたもの
 『宇宙戦艦ヤマト』の衝撃
 アニメの常識を覆したメカ設定の真実
 旧作が持つSF性と新作への期待


映画
 ハリウッド映画にみるSF作品
 『スター・ウォーズ』の果たした役割
 『スター・ウォーズ』が生み出した革新的撮影技


アラカルト
 マンガはSFとどう向き合ったか
 『ミクロマン』が築いた独自のSF世界


●「昭和40年男」とは

 この奇妙な名前の雑誌は、対象読者を昭和40年(1965年)生まれ男性に限定した、という物すごいピンポイント指向の雑誌です。毎回、巻頭特集として、この世代の青春時代(1975~85年頃)に流行ったものを取り上げており、歌謡曲、プロレスラーのタイガーマスク、おもちゃ、漫画、角川映画、オカルトブーム、など、レトロチックなものが並びます。つまりある層の読者以外は完璧に無視しています。

 しかし、逆に昭和40男(およびその前後5歳の範囲の世代くらい)にはもう完璧直撃というか、「うぉぉぉ、懐かしいぃぃぃ、子供の頃、こんなものがあったよ!」というネタのオンパレードで、おっさん世代にはたまらない内容となっています。



●俺たちのSF

 最新号の特集は「俺たちのSF」と題し、1960年代末から80年代初頭までのSFに関連するものを、アニメ・映画・テレビ番組・漫画・小説、等、広範囲に取り上げています。特に、冒頭の1970年代頃の年表はもう力作というか必見ですね。見ていて胸が熱くなりましたもん。



●サブカルの歴史ネタは扱いが難しい……

 さて、こういうサブカルの歴史ネタというのは、大抵読んでみると不完全に感じて、どうしようもなく不満が残るものです。特にネットで見る類のものはおおむねそうです。まあ理由は簡単で、本気で調べだしたら、とてつもないレベルまで踏み込まないといけないから、とてもおいそれと手を出せるものではありません。だからネットに書かれているようなものは大抵ろくに調べもせずに、自分の経験とか体感だけを基に「あの頃はこうだった」とか適当なことを語ってしまう。

 だから、

・「エヴァンゲリオン以前にはアニソンという物は存在しなかった」
・「アラフィフ世代がSFに触れたのは宇宙戦艦ヤマトが最初」

とかを平気で書いてしまって、そして「全然違う」と文句を言われてしまうわけです。



●さてこの雑誌の特集は

 この雑誌の特集ははっきり言って力作です。冒頭の年表も凄いのですが、SFという物を狭くとらえず、「昭和40男が触れてきたSF的な物」と広範囲に扱っています。

 だから、ビッグタイトルの「宇宙戦艦ヤマト」や「スターウォーズ」に多くのページを割いてはいますが、それ以外にも

・「サンダーバードウルトラマンなどのテレビ特撮」
・「早川SF文庫の創刊などのSF小説事情」
・「人が乗った最初のロボット、マジンガーZ
・「SF漫画として「スターレッド」や「地球へ」など」
・「おもちゃ「ミクロマン」誕生秘話」
・「特撮専門誌「宇宙船」創刊事情」

など、実に様々な切り口でSFをとり上げています。


 もちろんこれを読んでも「物足りない」と感じる人もいるかもしれませんが、私にとっては感激の内容でしたね。小松左京の「日本沈没」の大ヒットあたりを取り上げるのは別に驚きもしませんが、「宇宙船」創刊秘話が出てきたり、「ミクロマン」の背景設定をSFと認定して取り上げるとか、もうここまでやってくれるか!という感じです。


 宇宙戦艦ヤマトについては、当時の影響力の凄さからかなりのページが割かれていますが、SFとして単純にほめたたえるのではなく、「19万8千光年」「波動エンジン」といったSF用語を評価しつつ、同時に「沈没した戦艦がそのまま宇宙船になって飛んでいく」「ストーリー中の矛盾」といったところも取り上げ、「SFでもありSFでなかったヤマト」といった複雑な面を取り上げたりしていて、読みごたえはかなりのものでした。



●結論

 昭和40年生まれとその前後で、かつSFやそういったものに興味のある人には絶対おススメの内容です。ぜひご一読いただきたいところですね。


ミクロマン完全版(電子特別版)01