感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第31話(シーズン2 第3話)「地下室からの脱出」

スパイ大作戦 シーズン2<トク選BOX> [DVD]

スパイ大作戦BSジャパン http://www.bs-j.co.jp/missionimpossible/
スパイ大作戦 パラマウント http://paramount.nbcuni.co.jp/spy-daisakusen/
放送 BSジャパン

【※以下ネタバレ】
 
シーズン2(29~53話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ
perry-r.hatenablog.com
 

第31話 地下室からの脱出 The Survivors (シーズン2・第3話)

 

あらすじ

極秘研究のカギを握る2人の科学者がサンフランシスコの地下に監禁された。彼らを救出するためにIMFがとった作戦とは大がかりな地震の偽装工作だった。


最新鋭の爆弾製造のカギを握る2人の科学者が妻と共に誘拐され、とあるビルの地下に監禁される。残る1人まで捕まると製造法が敵国に渡ることになり、このままでも捕まった科学者夫婦は殺されてしまう。彼らを救出するためIMFは、リーダーのフェルプス(ピーター・グレイブス)が残る1人として捕まり、時間を稼ぐ中、残されたメンバーで大がかりな地震作戦の準備を進めるのだが…。

※DVD版のタイトルは「地下よりの脱出」。


【今回の指令】
 敵の諜報員エリック・スタバックは、アメリカが開発中の特殊爆弾の製法を奪うため、開発チームの科学者三人のうち、カーデル博士とストナー博士を夫人共々誘拐した。しかし三人目の科学者ウェブスター博士がいなくては製法の全容を知ることは不可能である。敵は当然ウェブスター博士を狙ってくるはずだが、誘拐が不可能と悟れば、既に誘拐している科学者たちを殺害するに違いない。IMFは誘拐された四人を無事救出しなくてはならない。



【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、ローラン、シナモン、バーニー、ウィリー
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 アメリカ・サンフランシスコ(チャイナタウン)


【作戦】
 IMFはシナモンにウェブスター夫人を演じさせ、友人役のローラン共々わざとスタバック一味に誘拐させ、敵のアジトの位置を特定する。シナモンは夫とは離婚寸前だと愛情が無いことをアピールし、金と引き換えに夫を呼んでやるといって、ウェブスター博士に扮したフェルプスを呼び寄せ、自分たちは金をもらって解放される。スタバックは部下にシナモンたちを尾行させ殺させようとするが、待ち構えていたバーニーたちが逆に尾行者を捕まえる。

 フェルプスはウェブスター博士を演じて、助かるために爆弾製造のための重要な化学式を渡すと言って時間を稼ぐ。一方、ローランたちはガス会社の社員を演じ、ガス漏れが起きたと言ってスタバックの地下アジトのあるビルから人を立ち退かせる。さらに疑似的な地震発生装置を使い、アジトのあるビルを揺らした後、さらに地下室の入り口にトラックで岩石を流し込みふさいでしまう。

 ローランは偽のラジオニュースを放送して、サンフランシスコに大地震が発生したと報じ、スタバック一味をだますと同時にフェルプスにひそかに暗号メッセージを送る。フェルプスはガス漏れしているので早く逃げないと死んでしまうと言い、壁を掘って下水道に逃げ出そうと指示し、主導権を握る。そしてフェルプスたちとスタバック一味は協力して穴を掘るが、完成するとスタバックたちは自分たちだけ先に逃げだしてしまう。

 それを見届けたフェルプスは、埋まった入り口の中にちゃんと用意されていた脱出トンネル(巨大な金属パイプ)から科学者たちを脱出させる。一方、スタバック一味は下水道を抜け地上に顔を出すものの、周囲は全く平穏で地震の被害などまるで見えないことに驚く。次の瞬間IMFメンバーに銃を突き付けられ、次々と捕まるのだった。


監督: ポール・スタンレイ
脚本: ウィリアム・リード・ウッドフィールド&アラン・バルター


感想

 評価は◎。


 IMFがいつものように大芝居で相手をだます話なのだが、そのシチュエーションが「大地震が発生して地下に閉じ込められた」と信じ込ませるという大仕掛けな物で、見ていて非常に楽しかった。


 今回の目玉となるのがIMFの秘密兵器である疑似的な地震発生装置である。ビルの壁にドリルで穴を開けてケーブルを差し込み、スイッチをひねるとビルがグラグラ揺れだして地震を演出するという機械である。ケーブルは「音波リード」という名前のようで、さらにバーニーは試験運転の際「40サイクルと80サイクルを交互にやっている」と説明する。また、冒頭でバーニーが甲高い音を発する金属棒をグラスに近づけると、グラスが木っ端みじんになり「同じ原理さ」と得意げな顔をする、というシーンがあることから、音の振動を利用した装置なのは確実である。荒唐無稽ではあるが、建設機械などでビルを押し引きするよりはスマートだし、またIMFぽいというのも間違いない。

 今回のIMFの作戦は「緻密」というより「力づくで嘘を信じ込ませる」方向で、地震発生装置使用の後、地下室の入り口にトラックで岩石を流し込んで埋めてしまうとか、地下室に可燃性ガス(に匂いは似ているが実は無害)を流し込んだり、偽のニュース速報をラジオで放送したり、と、あの手のこの手で悪党一味をだましに行く。さらにフェルプスが「地上は地震の被害で大変らしい。自力でなんとか脱出しないと」とか深刻そうな顔でスタバックたちに嘘を吹き込むとか、それらの様子が実に痛快だった。

 また最後に悪人たちがフェルプスたちを置き去りにして、自分たちだけ助かろうとトンネルを逃げ出すが、外に出てみると地震の被害の様子は全くなく、さらにそこに銃を突きつきけられて御用、という展開が、予想どうりながら面白すぎた。他のエピソードに比べるとかなりSFじみた要素が強い話だったが、これはこれで楽しい話だったことは間違いなく、物凄く好みのエピソードだった。

 ところで、ローランが偽のラジオニュースを放送する際、シナモンがフェルプスに伝えるキーワードをメモで提示し、それを見てローランが即興でニュース内容をしゃべった。キーワードは以下の通り。

・CORRIDOR(廊下)
・WALL(壁)
・DRAIN(送水管)
・145 DEGREES(145度(※華氏。摂氏では62.8度))
・ANGLING DOWN(?)

 しかしながら、これでフェルプスに何が伝わったのだろうか? フェルプス当人は納得した顔をしていたが、視聴者には何が何だかよくわからない場面ではあった。


 今回の悪役スタバックの声は、大木民夫氏でした。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスがビルの屋上にやってきて、壁にある金属製の扉に長さ20センチほどの金属棒を差し込んでひねると、扉が開く。そして中からオープンリールテープレコーダーと封筒(写真入り)を取り出し、レコーダーを再生して指令を確認する。指令は最後に「なおこのテープは自動的に消滅する」といい、次の瞬間テープが煙を噴き上げる。


参考:指令内容

 おはようフェルプス君。カーデル博士とストナー博士は、ある特殊爆弾を開発中の三人グループのうちの二人であるが、このほど二人は奥さん共々誘拐されてしまった。誘拐したのは敵の諜報員エリック・スタバックである。しかし第三の科学者ロバート・ウェブスター博士が欠けては特殊爆弾の製法がわからぬ以上、次に敵は当然ウェブスター博士を狙ってくるに違いない。が、それが果たせぬとわかった時、誘拐された二人の命は重大な危機に晒されることになる。

 そこで君の使命だが、万難を排してストナー博士とカーデル博士、およびその奥さんたちを無事救い出すことにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。


シーズン2(29~53話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ

perry-r.hatenablog.com