【デジタルゲーム】伝説の名作「イース」(日本ファルコム)は何が優れていたのか

イース THEアートブック

我々は「感動の時代」を生きている。ゼルダ”以外”のアクションRPG史【ゲーム語りの基礎教養:第四回】
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ではARPGを家庭用に広め、一大ジャンルに成長するきっかけを作ったゲームとはなにか。
――それが1987年に登場した『イース』だ。

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ゲーム語りの基礎教養 | 電ファミ記事おき場
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●ゲーム語りの基礎教養

 サイト「電ファミニコゲーマー」の連載「ゲーム語りの基礎教養」は、ゲームの歴史を追いかけていく企画なのですが、これが無性に面白い内容で、更新するたびにむさぼるように読んでいます。この手の「XXの歴史の振り返り」企画は、えてして筆者の独りよがりな、まさに「語り」になりがちで、読んでいて「それは違うだろう?」と違和感を感じずにはいられないものですが、この連載は一味違う。

 例えばドラクエ1を振り返るにしても、単純に「『ウルティマ』『ウィザードリィ』の二大シリーズを混ぜ合わせたから当たった」というような表層的な語りにとどまらず、「編集を行ったことが成功の理由の一つ」といった、独自の見解を見せており、毎回物凄い読みごたえがあります。



●昭和ゲーマーの共通語「イース

 今回(第四回)は前回に続き「アクションRPG」がテーマなのですが、「ゼルダの伝説」「ザナドゥ」と来て、後半は伝説の「イース」に多くの量を割いています。

 イースといえば、1980年代後半に現役時代だった昭和ゲーマーなら必ず語りたくなってしまうタイトル。この頃のパソコンゲーマーで「イースの画面すら見たことが無い」という人はまずいないはず。たとえ自分でゲームは所有していなくても、パソコンショップの店頭デモでエンドレスにイースのデモ画面を流していましたもんね。



イースがもたらしたもの

 そして今回はイースの何が優れていて、後世に語り継がれる作品となったのか、について分析を試みています。

一作目のキャッチコピーに謳われた「今、RPGは優しさの時代へ」


本作の「優しさ」は幾つかの要素が絡み合った総合的なものを、一つの言葉で表しているに過ぎない。たった一本で、正確にはストーリーが「二つで一つ」の続編『II』を合わせて2本でARPGのあり方に絶大なインパクトをもたらしたため、分析的な視点を介さずに「易しさ」という解釈で済まされているだけだ。

一つは、もちろん英語で「EASY」という意味での易しさだ。
まず、基本操作が易しい。


2つめの「優しさ」は、若い世代にとってのシナリオの優しさだ。
初代『ドラクエ』も『イース』も、「RPG少年マンガ化」を推進したのだ。


そして、最後の第三の優しさは、プレイ体験の優しさ。つまり――グラフィックと音楽だ。
まず、『イース』はビジュアルが美しい。
そして『イース』といえば、古代祐三氏によるサウンドだ

 ドラクエ1の分析と比べると、目から鱗といった衝撃はありませんが、一つ一つの論じ方に納得がいきます。あとビジュアルと音楽というのはもうねぇ、当時パソコンショップで映し出されたデモ画面でアニメ絵のリリアに見ほれ、古代ミュージックに聞きほれ、していたころのことがありありとよみがえってきて、ものすごく懐かしくなりました。



 そして〆方がカッコいいんだな。

イースII』は前作が「今、RPGは優しさの時代へ」をうたったことを踏まえて、「優しさから、感動へ」をキャッチコピーにした。ここまで読んだ方は、おわかりだろう。今でも我々はARPGに限らず、『イース』以降の「感動の時代」を生きているのだ。

 しびれるね。


イース大全集―Perfect Data of I ~ VI 日本ファルコム公認