感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第42話(シーズン2 第14話)「よみがえる記憶」

スパイ大作戦 シーズン2<トク選BOX> [DVD]

スパイ大作戦BSジャパン http://www.bs-j.co.jp/missionimpossible/
スパイ大作戦 パラマウント http://paramount.nbcuni.co.jp/spy-daisakusen/
放送 BSジャパン

【※以下ネタバレ】
 
シーズン2(29~53話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ
perry-r.hatenablog.com
 

第42話 よみがえる記憶 The Echo of Yesterday (シーズン2・第14話)

 

あらすじ

軍事産業界の大物とネオナチのリーダーを結託を阻止すべく、シナモン(バーバラ・ベイン)が動き出す。大物に近づき、ヒトラーに殺害された亡き妻の記憶を呼び起こすことができるのか。


ネオナチのリーダー、フランク大佐が、軍事産業界の大物ケルマンと手を組むことに…。ナチスの再来を阻むため、シナモン(バーバラ・ベイン)が若き写真家となりケルマンに接近、フェルプス(ピーター・グレイブス)はアメリカのネオナチメンバーに扮しフランクに近づく…。果たしてIMFは、ケルマンとフランクの関係を壊すことが出来るか!?

※DVD版のタイトルは「イメージをだぶらせろ」。


【今回の指令】
 ヨーロッパ随一の軍需工場の経営者であるオットー・ケルマンは、最近復興した新ナチの指導者マーカス・ヴォン・フランク大佐(Colonel Marcus von Frank)と手を結ぼうとしている。もし両者が結託すれば、ヴォン・ブランクが第二のヒットラーとなって世界に危機をもたらす可能性が高い。IMFは両者の暗躍を阻止しなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、ローラン、シナモン、ウィリー
 ゲスト:ダン(劇団の大道具係)、他一名


【作戦の舞台】
 欧州某国


【作戦】
 シナモンは、大学生の写真家という設定でケルマンに近づく。ケルマンの妻は1932年に自殺したことになっていたが、ヒットラーに殺されたというのが真相だった。シナモンは髪型や写真家という設定をケルマンの妻に似せて親近感を抱かせ、ケルマンの屋敷に入り込むことに成功する。

 同じころ、フェルプスは、アメリカからやってきたネオナチのメンバーとしてヴォン・フランクに取り入る。フェルプスはヴォン・フランクに、シナモンは何か怪しいと吹き込み、さらにシナモンが学生ではなく一週間前にイギリスに来たばかり、という証拠を持ち出す。

 ローランとウィリーはシナモンからの情報で、1932年当時のケルマン邸に有った家具を用意する。そしてシナモンがケルマンに一服盛って眠らせると、ローランたちは部屋の中の調度品を入れ替える。さらに薬で朦朧としたケルマンの前で、ローラン演じるヒットラーがシナモン演じるケルマンの妻を、売国奴だと言って撃ち殺す芝居を見せる。その後IMFチームは、ケルマンが意識を失ったすきに、また家具を元通りに戻す。

 そこにヴォン・ブランクとフェルプスが現れ、シナモンはスパイだと糾弾し、ヴォン・フランクは(フェルプスが用意した)銃でシナモンを撃ち殺す。その場面を見たケルマンは、先ほどのヒットラーが妻を撃ち殺したシーンを思い出し、怒りに駆られてヴォン・フランクを射殺する。そして自首するため警察に電話する。最後にフェルプスが、実は生きていたシナモンを助け起こすシーンで〆。


監督: レオナルド・J・ホーン
脚本: マン・ルービン


感想

 評価は○。


 スパイ大作戦でお馴染みの「ナチスの復活を阻止する」系のエピソードだが、あまり手の込んだ計略を展開するわけでもなく、面白さとしてはもう一つだった。


 今回の舞台はヨーロッパのどこかだが、ネオナチの復興と言っているし、読んでいる新聞はドイツ語だし、「お嬢さん」の意味でフロイラインと呼びかけているし、と、どう考えても西ドイツである。別に西ドイツなら西側の国だから、あいまいにしなくても良い気がするのだが、ネオナチ云々という話題で実在の国名を出すのはまずいということだったのだろうか。

 劇中ではターゲットの悪役の事を「【ヴォ】ン・ブランク」と呼んでいたが、綴りは「Colonel Marcus von Frank」なので、21世紀人ならば「【フォ】ン・ブランク」と呼ぶのは間違いない。このエピソードが日本で放送されたのは1960年代終わりだが、その頃は Von はヴォンと呼んでいたのか気になるところである。

 IMFの計略は筋書き自体はあまり大したことはなかったが、最後の大仕掛けが面白いというか、屋敷の中の調度品・手にした新聞その他を全て1932年当時のものに入れ替え、さらにローランがヒットラーに変装して、ケルマンの前で小芝居を演じて見せるシーンは、つい笑い声が漏れてしまった。この手の大げさなくらいの芝居でターゲットをだましに行くのが、スパイ大作戦の醍醐味と言えよう。

 劇中ではケルマンはただの親切な金持ちだったので、最後にケルマンが自ら警察に電話をかけて自首するシーンは、なんとなく哀れを催してしまった。

 ところで今回はバーニーは欠席(?)だった。秘密の小道具が必要ない作戦だったので、フェルプスが呼び出さなかったのだろうか。


 今回のゲストキャラのケルマンの声は久米明氏でした。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが車を道路に止めて、あらかじめ停車していたもう一台の車に乗り換える。車のダッシュボードの蓋を開けると、中には大きめの封筒と8トラックカセットテープが入っている。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なおこの録音は自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはようフェルプス君。写真の人物はマーカス・ヴォン・フランク大佐といって、最近復興した新ナチのリーダーである。そしてヨーロッパ随一の軍需工場を持つオットー・ケルマンは、その膨大な工業力を挙げてヴォン・フランク大佐の支配下に委ねようとしており、これが実現すればその強大な経済力をバックに第二のヒットラー、ヴォン・フランクが誕生することは、火を見るより明らかである。

 そこで君の使命だが、このオットー・ケルマンとヴォン・フランク大佐の暗躍を封じることにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、この録音は自動的に消滅する。成功を祈る。


シーズン2(29~53話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ

perry-r.hatenablog.com